本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
本 ・電子書籍 (12ページ)
感想・レビュー・書評
-
トルストイの大作。あまり小説は読まないのだが、野口悠紀雄氏の『だから古典は面白い』の中で紹介されていた一冊であり、とりあえず手に取ってみた。
面白い。登場人物ひとりひとりの心の動きの描写は、もちろん素晴らしいのだが、背景となっている帝政ロシアの貴族社会がどういうものであったのか、その生活様式や習慣、生活環境などが、よくわかるように詳しく描写されており、興味深い。都会と農村の生活の違いや、自然環境、貴族と労働者との関係など、新たな発見が多かった。かなりの分量ではあるが、話に引き込まれるため、どんどん読み進められる。翻訳も良く、読みやすい。
「(リョービン(農村地主貴族))田舎の人間は、自分の手を働きやすい状態にしておこうと努めている。だから爪もちゃんと切るし、時には腕まくりだってする。でもこの都会の人間たちはわざわざ爪を伸ばせるだけ伸ばして、皿のようにでっかいカフスボタンまではめて、もはや手では何ひとつできないようにしている」p93
「「恋愛結婚ですって? なんて古めかしい考え方でしょう。第一、いまどき恋愛なんていう言葉を使う人がいますかしら?」公爵夫人が言った。「仕方ないでしょう。そうした愚かな旧習も、まだまだ廃れてはいないのですから」」p345詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ロシア文学とはあ思えないくらい 読みやすい
-
主人公アンナの各場面における繊細な葛藤に心が揺れ続けることはもちろんなのですが、同じ貴族階級でも都会暮らしのオブロンスキーと田舎暮らしのリョーヴィンとの間で交わされる会話や心理描写の繊細さに鳥肌が立ちました。
たとえば、ここ。
「青春の初期に出会った友人同士らしく、彼らは気質も好みも異なるくせに、互いのことが気に入っていた。だがまた一面で、別々の活動分野を選んだ人々の間によく見られることだが、それぞれ頭では相手の活動を認めていても、心の中ではそれを軽蔑していた。お互いに自分のたどっている人生こそが唯一本物の人生であって、友人の人生なんていわば幻想に過ぎないと感じていたのである。」
またたとえば、ここ。
「そのとき突然二人は感じたのだった。自分たちは友達同士であり、一緒に食事をし酒を飲んで、本来ならますます親密な気分になるべきところなのに、各々別々のことを考えていて互いに何の用もないのだということを。オブロンスキーは会食した者同士が親密になるどころか極端によそよそしくなってしまうような経験を一度ならずしていたので、そんな時どうしたらよいかを心得ていた。 「勘定!」」
人生で一度や二度は味わったことのあるような瞬間で、こうした表現に触れるたびに気づけば彼らと同じ食事の場に居合わせてしまっているような臨場感と気まずさの中にいました。
続きも楽しみたいと思います。 -
当時のロシアの状況がよくわかる。解説によってさらに助かる。登場人物が錯綜するので、この手のものはいつものようにノートに整理しながら読んでいる。大筋、恋愛小説であるようなで少しまどろこしい。とりあえず途中経過の感想というところ。
-
素晴らしすぎて読み進めるのが勿体無いと思いつつ一気に読んでしまった。名作っつー看板や最高の小説ベストで必ずトップ3に入る評判から想像していた以上に読みやすく面白い。何気ない感情の動きや思考の流れ、内面と外面が行き戻る波のように交差する感覚など「あるある!」っつー微細な感覚を簡単に描写していて驚愕。なんという観察力なのだろう。アンナカレーニナがようやく登場したシーンの描写が凄い。文字を読んでいるのに目の前に起きているかのような、スローモーションを伴った映画のワンシーンを見ているかのような!表現力が半端ない。
-
2022年6月25日(土)から。Amazon Kindle Unlimitedにて。
-
ロシア古典読破に幾度かチャレンジしたがすべて挫折。ただこれなら最後まで進められそう。
-
美人が本当に美人らしく、ゴージャスで洗練されている!というのが、読んでてストレートに伝わってくるのが魅力。
著者プロフィール
トルストイの作品





