善悪の彼岸 (光文社古典新訳文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 読んでいると、それぞれの文章は理解できるのだが、全体をまとめようとするとなかなか難しい。
    おそらく根底にあるものはあるのだが、小生には読み取れなかった。ではつまらないかというと、逆におもしろかった。結局なんだったのか、ということではなくて、この本を読みながらあれこれ考えるのがよいのだと思う。
    最初のほうは、人間の意志についての本なのかと思って読んでいた。人間は自分で意志を決定していると思いたいのだが、実際には思い込みや自分を取り巻く環境によって決定されているのであって、自分で決めているわけではない。
    哲学者というものについても考察していて、どうやらニーチェは、哲学者というものは他人に理解されないものだと考えている模様。他人が理解できるようなものは、哲学ではない、ということで、これは哲学者に限らずみんなそうじゃないかという気もする。もちろん程度の問題ではあるのだが。
    大切なのは自分の頭で考えることであって、ニーチェを読んでいると、いろいろと考えることになるのがいい。

  •  実は『道徳の系譜学』を読んでいて、こっちが先だなと気がつき慌てて読んだ。

     割と難解なものも読む気力はある方だと思っていたが、このアフォリズムは相性が悪いというか、たしかにおお!!と言うこともあるのだけれど限りなく挫折しそうになった。根本にあるのは道徳というのは自らが高い方にあるものからの見方であり、本来は善悪を超えたところが自由だと言うような内容なのだとおもうのだがなかなか入ってこない。

     まあ、女性を例えに使ったあたりのことなどは、非常に偏ったものの見方だよなあと正直読む気が失せるレベルである。

     なのでなんかわからんけど、ニーチェ読んでみたい!と言う人にはあまりおすすめしない。辛かった。

     ニーチェのことを面白く紹介してくれる人の本は面白いのに、その原典がこうだととまどうな。。。わたしの読解力の問題なのだろうが。

    ”愛によってなされたことは、つねに善悪の彼岸にある”

    ”個人の狂気はかなり稀なものである。ーーーしかし集団、党派、民族、時代となると、来るっているのがつねなのだ。”

     ところどころくるんだけどね。

  • 強烈に解るところと、まったくピンとこず、理解できないところがあるのは、昔読んだときと変わらない。

  • 善悪を超えてとも言うべき本書において、善と悪という二元論が、そもそも存在するのか怪しく、認識の遠近法に過ぎないというのは、大いに正しいように感じる。
    そして、真実とされるものを亡き者にしようと展開される哲学はまさに、善悪の彼岸である。

    以下、覚書。
    ・力への意志
    ・近代における「自由な精神」の誤り
    ・悪循環の神 -永劫回帰-
    ・快楽と苦痛によって物事の価値を推し量ろうとするのは前景的なやり方である。
    ・大いなる苦悩が人を創造的にし、勇敢にする。
    ・位階の秩序
    ・仮象への意志

  • 多くの人間が不可侵なものであると考えている道徳規範を禁忌なしに批判し、まさに「善悪の彼岸」でニーチェの主張が綴られる。

    踏み込んでいるがゆえに嫌悪感を抱くような表現があったり
    アフォリズムによる文章が本質を捉えることを難しくしていたりと
    なかなか手強い作品。

    なお、あまりにも有名な「深淵」についてのくだりは本書が出典。

  •  「神は死んだ」。死んだのは誰なのか、いや何なのか、そしてなぜ死なぬばならないのか。知ることを超えて目覚めるには痛みと苦悩に耐えなくてはならないかもしれない。そしてその後の人生において、そこを住処として生きよということだろうか。

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著者プロフィール

フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(Friedrich Wilhelm Nietzsche)
1844年10月15日 - 1900年8月25日
ドイツの哲学者、古典文献学者。近代がはらむ問題を一新に受け止め、古代以来の哲学との対決に挑み、実存主義の先駆者、生の哲学の哲学者として知られる。その思想は20世紀に続く様々な思想に衝撃と影響を与えた。
代表作に『悲劇の誕生』『道徳の系譜』『ツァラトゥストラはこう言った』『善悪の彼岸』など。

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