- Amazon.co.jp ・電子書籍 (252ページ)
感想・レビュー・書評
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2013年出版ということだが、未だに売れ続けている大ベストセラー。
悩める青年と、アドラー心理学を説く哲人との対談形式になっていてとても読みやすい。
読んでいて抱く疑問や反駁を青年が即座に代弁してくれるのが最高に気持ちいいし、最後まで諦めずについていくことができる。
アドラーは心理学者だけれど、その思想はとても哲学に近いものがあった。あるいはキリスト教にも。
「私の心理学はすべての人のものだ」とアドラーが言う通り、これまで読んできた本にもいくらか似たエッセンスを感じるものがあったなぁと思った。「夜と霧」や「塩狩峠」なんか特に。
自分の中でアドラー心理学を完全に咀嚼することはまだ難しいので、以下引用を書き残しておく。折々読み返すこと。
【トラウマは、存在しない】
アドラーが「経験それ自体」ではなく、「経験に与える意味」によって自らを決定する、と語っているところに注目してください。たとえば大きな災害に見舞われたとか、幼いころに虐待を受けたといった出来事が、人格形成に及ぼす影響がゼロだとは言いません。影響は強くあります。しかし大切なのは、それによってなにかが決定されるわけではない、ということです。われわれは過去の経験に「どのような意味を与えるか」によって、自らの生を決定している。人生とは誰かに与えられるものではなく、自ら選択するものであり、自分がどう生きるかを選ぶのは自分なのです。
【あなたの不幸は、あなた自身が選んだもの】
あなたは人生のどこかの段階で、「不幸であること」を選ばれた。それは、あなたが不幸な境遇に生まれたからでも、不幸な状況に陥ったからでもありません。「不幸であること」がご自身にとっての「善」だと判断した、ということなのです。
【人は常に「変わらない」という決心をしている】
アドラー心理学は、勇気の心理学です。あなたが不幸なのは、過去や環境のせいではありません。ましてや能力が足りないのでもない。あなたには、ただ、"勇気"がたりない。いうなれば、「幸せになる勇気」が足りていないのです。
【自慢する人は、劣等感を感じている】
強い劣等感に苦しみながらも、努力や成長といった健全な手段によって補償する勇気がない。かといって、「AだからBできない」という劣等コンプレックスでも我慢できない。「できない自分」を受け入れられない。そうなると人は、もっと安直な手段によって補償しよう、と考えます(優越コンプレックス)。
【非を認めることは「負け」じゃない】
怒りっぽい人は、気が短いのではなく、怒り以外の有用なコミュニケーションツールがあることを知らないのです。だからこそ、「ついカッとなって」などといった言葉が出てきてしまう。怒りを頼りにコミュニケーションしてしまう。われわれには、言葉があります。言葉によってコミュニケーションをとることができます。言葉の力を、論理の言葉を信じるのです。
【「人生の嘘」から目を逸らすな】
アドラーは、さまざまな口実を設けて人生のタスクを回避しようとする事態を指して、「人生の嘘」と呼びました。
【「あの人」の期待を満たすために生きてはいけない】
ニヒリズムではありません。むしろ逆です。他者からの承認を求め、他者からの評価ばかり気にしていると、最終的には他者の人生を生きることになります。
そして、覚えておいてください。もしもあなたが「他者の期待を満たすために生きているのではない」のだとしたら、他者もまた「あなたの期待を満たすために生きているのではない」のです。
【対人関係の悩みを一気に解消する方法】
まずは「これは誰の課題なのか?」を考えましょう。そして課題の分離をしましょう。どこまでが自分の課題で、どこからが他者の課題なのか。冷静に線引きをするのです。
そして他者の課題には介入せず、自分の課題には誰ひとりとして介入させない。これは具体的で、なおかつ対人関係の悩みを一変させる可能性を秘めた、アドラー心理学ならではの画期的な視点になります。
【ほんとうの自由とはなにか】
カントの「傾向性」とは、本能的な欲望、衝動的な欲望ということです。では、そうした傾向性のおもむくまま、すなわち欲望や衝動のおもむくまま生きること、坂道を転がる石のように生きることが「自由」なのかというと、それは違います。そんな生き方は欲望や衝動の奴隷でしかない。ほんとうの自由とは、転がる自分を下から押し上げていくような態度なのです。
「嫌われたくない」と願うのはわたしの課題かもしれませんが、「わたしのことを嫌うかどうか」は他者の課題です。わたしをよく思わない人がいたとしても、そこに介入することはできません。無論、先に紹介したことわざでいうなら「馬を水辺に連れていく」ところまでの努力はするでしょう。しかし、そこで水を呑むか呑まないかは、その人の課題なのです。
【あなたは世界の中心ではない】
自分の人生における主人公は「わたし」である。ここまでの認識に問題はありません。しかし「わたし」は、世界の中心に君臨しているのではない。「わたし」は人生の主人公でありながら、あくまでも共同体の一員であり、全体の一部なのです。
あなたもわたしも世界の中心にいるわけではない。自分の足で立ち、自分の足で対人関係のタスクに踏み出さなければならない。「この人はわたしになにを与えてくれるのか?」ではなく、「わたしはこの人になにを与えられるか?」を考えなければならない。それが共同体へのコミットです。
【自分には価値があると思えるために】
人は「わたしは共同体にとって有益なのだ」と思えたときにこそ、自らの価値を実感できる。これがアドラー心理学の答えになります。
【若者は大人よりも前を歩いている】
しかしこのとき、たとえ家族から「ありがとう」の言葉が聞けなかったとしても、食器を片づけながら「わたしは家族の役に立てている」と考えてほしいのです。他者がわたしになにをしてくれるかではなく、わたしが他者になにをできるかを考え、実践していきたいのです。
他者を「敵」だと見なしたままおこなう貢献は、もしかすると偽善につながるのかもしれません。しかし、他者が「仲間」であるのなら。いかなる貢献も偽善にはならないはずです。あなたがずっと偽善という言葉にこだわっているのは、まだ共同体感覚を理解できていないからです。
【「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当てよ】
われわれはもっと「いま、ここ」だけを真剣に生きるべきなのです。過去が見えるような気がしたり、未来が予測できるような気がしてしまうのは、あなたが「いま、ここ」を真剣に生きておらず、うすらぼんやりした光の中に生きている証です。
人生は連続する刹那であり、過去も未来も存在しません。あなたは過去や未来を見ることで、自らに免罪符を与えようとしている。過去にどんなことがあったかなど、あなたの「いま、ここ」にはなんの関係もないし、未来がどうであるかなど「いま、ここ」で考える問題ではない。
【人生最大の嘘】
人生における最大の嘘、それは「いま、ここ」を生きないことです。
あなたはこれまで。「いま、ここ」から目を背け、ありもしない過去と未来ばかりに光を当ててこられた。自分の人生に、かけがえのない刹那に、大いなる嘘をついてこられた。
【無意味な人生に「意味」を与えよ】
アドラーのいう「人生の意味は、あなたが自分自身に与えるものだ」とは、まさにそういうことです。人生一般には意味などない。しかし、あなたはその人生に意味を与えることができる。あなたの人生に意味を与えられるのは、他ならぬあなただけなのだ。と。
あなたがどんな刹那を送っていようと、たとえあなたを嫌う人がいようと、「他者に貢献するのだ」という導きの星さえ身失わなければ、迷うことはないし、なにをしてもいい。嫌われる人には嫌われ、自由に生きてかまわない。
つまり、「わたし」が変われば「世界」が変わってしまう。世界とは、他の誰かが変えてくれるのではなく、ただ「わたし」によってしか変わりえない、ということです。アドラー心理学を知ったわたしの目に映る世界は、もはやかつての世界ではありません。
もう一度、アドラーの言葉を贈りましょう。「誰かが始めなければならない。他の人が協力的でないとしても、それはあなたには関係ない。わたしの助言はこうだ。あなたが始めるべきだ。他の人が協力的であるかどうかなど考えることなく」。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2度目、学ぶところは多い。
幸せは貢献である。納得した。
ヒトは誰かに必要とされていると感じた時
幸せを感じるというものだ。
他者をなくして、悩みというものは存在しない。
ということは、他者との関係を良くするしか方法がない。
勇気を持って行動をする。
勇気がなくては改善への一歩は踏み出せない。
このままで良い、やめておこう。自分は正しい。
そのような考えでは、決して幸せになることはないだろう。
他者貢献を念頭に置き、生きていきたい。 -
想像を遥かに超えて、良かった。『嫌われる勇気』って言うタイトルから、ゴリゴリの精神論を振りかざしてくるかと思い手が出ずにいたが、非常に凪を想起されるような穏やかな押し付けがましいところなんてない、素晴らしい作品だった。哲人と青年の対話形式で話が進んでいくのも読みやすくて、小説を読んでるような感覚。
眼から鱗なテーマがよりどりみどりだが、あえて一つ選ぶとしたら『勇気づけ』というアプローチ。褒める事は他者に自分には能力がないという信念を形成していく、自分の主観によって「私は他者に貢献できている」と思うことが、己の価値を実感することなどの言葉がずしっと胸に響いた。
後は、人生は今ここに、の刹那的なものという熱い言葉が最終章に現れ、やられました。
しかし、青年は自分の悩みや葛藤を恥ずかしいほどトレースしていて、論破されてる姿に焦る俺。 -
友人が対人関係で悩んでいたので、本書を紹介してみました。
ついでに私も久しぶりに再読してみました。
元々私の座右の銘は「継続は力なり」なのですが、
本書を読んでから、それに「人事を尽くして天命を待つ」を加えました(笑)。
そして当時、本書に従って意識した具体的な内容は
・原因論(トラウマ)を否定し目的論に焦点を当てる
・課題の分離
・労働による他者貢献
の3つです。仕事の上でもプライベートでのお付き合いの上でも意識して行動してきました。
イメージとしては、いつも自分の頭の上に矢印があって、それが自分の方?相手の方?どっちを向いてる?と自問自答する感じです。
とはいえ、近しい人にほど感情に捕らわれないようにするのが難しくて全く偉そうなことは言えないのですが、それでも確実に昔よりも日々楽しく思うままに、そして自信をもって生活が出来ていると感じています。
今回再読し、改めてそれを実感しました。
目的論に焦点を当てれば努力する気力が湧くし、課題の分離を意識すれば他人にイライラすることが減り、他者貢献をすれば(そのために人事を尽くすのです)自信がつきます。
私の受け止め方が合っているかはわかりませんが、今回再読したことで改めて考えさせられる部分もみつかったりして、やっぱりよい本だなあ~と実感しているところです。
また何年か経ったら読み返そうっと。 -
現在、自分の得意なこと/できることがわからなくなったので再読。
幸福とは貢献感である。
加えて自由であること。(痛みを伴う自己犠牲は貢献しても幸福ではない)
何をしたらいいのかわからない時には、他者貢献という基準を持ち、今・この瞬間を丁寧に真剣に生きる。
他人全てに心を開かなければならない、ということではなくて、他人との関わりは自分が主体で決めて良いので、毎回傷付けて来たり、正しさを押し付けてくる人との縁はスパッと切っちゃえばいい。
最近、「その時その時精一杯生きてるのに
振り返った線(人生)は思い描いたようなものではないな」と落ち込むことがあったけど
人生は線ではなくて
刹那的であり
その瞬間できることをしていくしかない、
むしろそれで完結しているんだよということに気づけた。
大きな目標に邁進するのが良い人生なんじゃない。
このタイミングで再読できてよかった。 -
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同感です。
青年はまさに、自分。
自分が疑問に思ったことを、青年は代弁してくれているようで、完全に理解できたとは言えないけど、とても分か...同感です。
青年はまさに、自分。
自分が疑問に思ったことを、青年は代弁してくれているようで、完全に理解できたとは言えないけど、とても分かりやすかった。
時間を置いて、もう一度読み直したらより深く理解できそう。2018/05/29
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今更ながらですが評判通り、人生の必読書。個人的な気になったポイントをまとめると、承認欲求に縛られず、目的論で生き、奪い合いおける競争には身を置かない事が人生を豊かにする秘訣。
読書メモの詳細は下記noteをご覧ください!
https://note.com/masatake0914/n/n54b9a81bbabd?creator_urlname=masatake0914 -
アドラー心理学について、哲学者と青年の対話形式で解説した本。
人は、目的に従って感情を作り出していること、他者と自分の課題を切り離し、他者に踏み込み過ぎず、また他者からの評価にとらわれないこと、自分が共同体に貢献している意識を持つこと、など、哲学者が青年に語っていきます。
よく青年が激昂するのと、対話形式だからか、個人的には読みづらかったですが、そんな心の持ち方もあるんだな、と新鮮ではありました。 -
素晴らしい。フロイト、ユングに比べて知名度は低く、また哲学の範疇にも入らないし、縁遠い存在でありがちなアドラーの心理学について、ここまでわかりやすく説明しているというのがまず凄い。生意気盛りの青年が哲学者にくってかかり、なかなか納得しないという構成が秀逸。「そうだ、青年、いけぇ~!」と応援しながら読める(笑)。プラトンが書いたソクラテスの対話篇をイメージされたというが、まさに。
個人的には、かつて学んで影響を受けた「当事者意識研修」において、根底はやっぱり交流分析とこのアドラーの心理学だったんだなと、ストンと落ちた感覚もありました。
人により受ける印象はそれぞれだと思いますが、そこらへんの自己啓発書とは一味違う。とりあえず読んでみても損はないかも、と思う1冊です。 -
自己受容、他者信頼、他者貢献
自分の課題なのか他者の課題なのか分離→人生をシンプルに
承認欲求→見返りを求めず他者を信頼し自ら貢献
どこかでみた、
「他者貢献が目的なのか手段なのか
-人の為に動くことで自分が満たされるのか
-自分を満たすために人の為に動くのか」
これを思い出した
はっきりとした答えはまだ出てないけど、自分はどちらなのかうっすら分かった気がする
後半まるで自分のことを言われているかのようで
少しこわかった(笑)
どれも納得できたので、人生の教科書にする!
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