- Amazon.co.jp ・電子書籍 (324ページ)
感想・レビュー・書評
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時代小説の体のミステリー。期待ほどではなかった。これ、直木賞とってるんじゃなかったっけ?
まず勧善懲悪の枠組みから抜け出せていないところで面白みに欠ける。重要な語り手であるシュウゴロウが、浅慮すぎる。唯一説得力を持っていたのが源吉かな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
主人公含め登場人物の生きざまが素晴らしい
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人が影響を受けるものは何だろう。
書籍だろうか。映画か。
スポーツか。芸術だろうか。
それとも日常のほんの些細な事か。
ありとあらゆるものに、人は影響を受け得る。
ただ何より人が影響を受けるのは、
人なのかもしれない。
書籍にしても、映画にしても、
スポーツも芸術も日常も。
そこにある人の気配に、
人の物語に影響を受けるのではと思う。
冤罪と思われる裁きによって、
切腹の時を待つ戸田秋谷。
城下から離れた村に幽閉される彼と交わると、
すべての人が変わるという。
清廉にして潔白。
切腹の日を待つ十年の時を、
黙々淡々、自身に課せられた使命をこなす。
あまりの正しさは、時に人を白けさせる。
彼は浮かんでるか浮かんでないかの微笑みで、
人を遠ざけない。
近隣の農民に慕われ、人に愛される。
あまりの真っすぐさは、
時に人に疚しさを感じさせる。
彼は人に寄り添い、受け止めようとする。
江戸時代の清らかな生き方に魅了されるとともに、
藩が抱える闇、過去の企みを明らかにする、
ミステリの魅力も持つ。
何が隠され、どんな秘密がそこにあるのか。
彼が冤罪となったこととどんな関わりがあるのか。
すべてが大きなうねりとなって物語を動かす。 -
武士の切なさを感じました。生と死を見つめる主人公とその周囲の人々、後半1/3くらいは涙せずにはいられませんでした。
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しびれた。ラストは涙が止まらなかった。
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舞台や設定が変わっても人としてどう生きるか?というテーマは変わらないですね。ラストの会話シーンで、くそう、その一文を入れたか…ってのがあって、ズーンと重さを伴って自分の心にのしかかっております…。
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この種の時代小説はあんまり読まないのだが、たまに読むのも悪くない。
忠義、恩讐、身分制…やはり封建社会というのはドラマ創出の材料には事欠かないな、と。
キャラ設定はオーソドックスだが、安定感があって好感が持てる。
ミステリ仕立てになっている面もあり、頁を繰る手が促される。
せっかく「家譜」「蜩の記」という二つの文書編纂という要素があるのだから、これらを作劇にもっと有機的に絡ませれば、より深みが出たのかな、という気はした。