- Amazon.co.jp ・電子書籍 (338ページ)
感想・レビュー・書評
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超弦理論の専門家による一般向け解説書。著者の平易な説明のおかげで面白く読むことが出来たが、やはり理解は出来ず雰囲気しか掴めないのが悔しい。重力理論や量子力学、素粒子物理学の教科書などでも読めば、少しは分かるようになるのだろうか…?
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大栗先生(@PlanckScale)の著書。超弦理論の入門書。
ブルーバックスらしくいきなり本題ではなく、理論発展の栄枯盛衰が
順を追って記載されている。
構成は下記の通り。
・第1章 なぜ「点」ではいけないのか
・第2章 もはや問題の先送りはできない
・第3章 「弦理論」から「超弦理論」へ
・第4章 なぜ九次元なのか
・第5章 力の統一理論
・第6章 第一次超弦理論革命
・第7章 トポロジカルな弦理論
・第8章 第二次超弦理論革命
・第9章 空間は幻想である
・第10章 時間は幻想か
「弦理論」と「超弦理論」の違いや「なぜ9次元なのか?」といった疑問にも答えてくれている。
(元々、力学・量子力学・特殊相対論までしか勉強していない自分は、疑問にも感じていなかった内容)
超弦理論はまだ発展途上の理論であり、
最後には「空間・時間は幻想である」という、一般常識からは程遠い景色を見ながら読み終わる。どこか別の次元に連れて行かれたような感覚につつまれた。
今後の超弦理論の発展を積極的にフォローしていきたい。
以下、ハイライト部分。
ハイライト(黄) | 位置No. 263
「場」という概念は、この遠隔力を説明するために考えられたものでした。物体と物体の間には場と
いう実体があり、それが力を伝えていると考えるのです。たとえば、磁気の力を伝えるのは「 磁場」
で、電気の力を伝えるのは「 電場」というわけです。
ハイライト(黄) | 位置No. 590
脱出速度が光速になってしまう表面のことを「事象の地平線」といいます。
ハイライト(黄) | 位置No. 595
ブラックホールの存在が加速器実験の邪魔をするようになるのは、粒子のエネルギーをLHCの一京
倍にしたときと見積もられています。
ハイライト(黄) | 位置No. 601
プランクの長さまでいくと、無限大の問題をよりミクロな世界に先送りにしてきたくりこみは、つい
に行き止まりになります。もはや先送りはできません。ここからは、もっと根本的な方法によって、
無限大の問題を解決しなければならないのです。
ハイライト(黄) | 位置No. 731
無限大の原因がそもそも存在しない。素粒子に拡がりを持たせた段階で、弦理論は無限大の問題を解
決していたのです。
ハイライト(黄) | 位置No. 792
弦理論の時点では、電子やクォークなどのフェルミオンが含まれていなかったのです。 しかし、そ
のあと登場した超弦理論では、ボゾンだけではなく、フェルミオンも弦の振動状態として理解できる
ようになりました。そこが、弦理論と超弦理論の違いなのです。
ハイライト(黄) | 位置No. 869
超弦理論では、弦が普通の座標の方向に振動するとボゾンになり、グラスマン数の座標の方向に振動
するとフェルミオンになります。超空間に超対称性があると、ボゾンとフェルミオンの間にも必然的
に、入れ替えが可能な対称性が現れます。
ハイライト(黄) | 位置No. 898
超対称性で予言される粒子が発見されると、超弦理論を検証する道も開け、私たちの空間に対する通
念も根底から揺さぶられることになるでしょう。
ハイライト(黄) | 位置No. 1120
本章でご説明する「ゲージ原理」は、自然界の力の理解に革新をもたらしました。それまで別々の力
だと思われていた重力と電磁気力、さらには二〇世紀に発見された新しい力である強い力と弱い力の
背後に、共通する深い原理があることがわかったのです。
ハイライト(黄) | 位置No. 1682
科学の研究が何をもたらすかをあらかじめ予測することはできないが、真のイノベーションは人々が
自由な心と集中力を持って夢を見ることのできる環境から生まれることは確かである。 -
今年61冊目
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現在の物理学の目的は、量子論と相対論をシームレスに貼り付けて統一理論を作り上げることである。本書は、その最有力と予想されている超弦理論の解説書。非常に面白かったのだが、この理論が正しいとして、果たしてその正しさを人類は証明できるのだろうか。行きつく先はゲーデルの不完全定理にぶち当たるなんて落ちにならないことを祈る。
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テレビなどで超ひも理論(Super String Theory)という言葉を一度は聞いたことがあるかもしれない。
これは物理学の理論の一つであるが、全ての物理的な現象を記述できる方法を提示してくれる理論として有力と考えられている。
物理学と聞くとNewtonやEinsteinなんかを思い浮かべる。両者は力学というこれも物理学の理論の一つでありが、この力学の構築に多大な貢献を残した。
力学はなんてことはない、ものを手で動かすと動きます。という現象を数学的に記述した理論である。押す力が強ければ強いほど、押された方は速く動く。
りんごは木から地面に落ちるのだ。決して空に向かって落ちる(?)ことはない。
これは地球がりんごを引っ張っているからなのだ。
一方で、日常生活で使用している物理的な現象がもう一つある。
それは電気である。これは物理学で少し仰々しく電磁気学と呼ばれている。
携帯電話を充電できるのもこの理論のおかげである。
電気は2つの電気(プラスとマイナス)が互いに引っ張り合い、同じ電気同士だと離れる方向に力が働く。この力を数学的に記述したのが電磁気学である。ちなみに電磁気学といえばMaxwellという物理学者が有名である。
実は自然界にはもう2つほど力が存在する。
これは日常生活であまり経験はしないのだが、強い力と弱い力と呼ばれる。
強い力は、陽子をくっつけておく力であり、弱い力は放射線と関係がある。
ちなみに、強いとか弱いは、電磁気力と比較したときの強弱である。
つまり力関係でいったら
強い力>電磁気力>弱い力
である。
あれ?重力は?と思うかもしれないが、重力は上の3つ力と比較すると非常に弱い力となる。
つまり、自然界の力の順番は次のようになる。
強い力>電磁気力>弱い力>>>重力
重力はびっくりするほど弱いのだ!
なぜか?なぜ重力だけこんなに弱いのか?
未だ誰も知り得ていない物理学最大の難問である。
この問題に解答を教えてくれるのが、先の超ひも理論だと期待されている。
この超ひも理論何がすごいのかというと、とある方程式を解くと、とある条件では重力以外の力が方程式から勝手に現れるのだ!
なんと美しい!
物理学は、最小の理論で自然界を記述したいと考えている。そして、自然はそうなっていると信じている。
今までは、電磁気学はMaxwell方程式、重力はEinstein方程式、強い力はYang-Mills理論等々、現象によって方程式を変えないといけなかったが、超ひも理論を使えば(基本的に)必要ない。なぜならば方程式を解くと方程式が教えてくれるのだから。
とはいいつつ、解ければという条件がつくけれど。
使う数学を恐ろしく高度で、現実的に解くことができるのかとう問題もある。数学的にまだまだ調べないといけないところがあるそうだ。
さきほど「とある条件」と書いたが、この条件とは実は次元の数である。
日常で感じることができる次元は縦横そして高さの3次元に時間の1次元を加えた4次元である。
なぜ3次元(+1次元)なのだろうか?
これも物理学は神様が決めた、とは考えない。
神様といっても、何かしらの数学的(物理学的)な制約があり3次元になったと考える。(そうなっていてほしいと考える)
実は超ひも理論こそが神様の制約だったのだろう、と考えることができる。
なぜならば、特定の次元しかこの理論は役に立たないからである。他の次元を採用すると理論が破綻して現実の現象をうまく記述できない。
その次元こそ・・・・・まさかの10次元(+時間の1次元)!
10次元っ。圧倒的次元。。。。
何かのギャグかと思いたくなるが、至って真剣である。
11次次元でないと理論が破綻するのだ。
現実の4次元に加えて7次元もどこに行ったのか?
本書でその答えを読んでいただきたい。 -
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2017/08/25-- 再読
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2015/11/13-- 再読
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2013/09/01-- 初読
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