子どもの心が聞こえますか? [Kindle]

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  • マガジンハウス
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  • 大学教員の著者が、教え子の学生から子ども時代の記憶を聞き取っていて、とても興味深かった。小、中学校時代、親や先生から言われて嬉しかった言葉と、逆に嫌だった言葉など。
    私も日々、生徒に色々と声をかけるわけだが、思春期に身近な大人からかけられる言葉の重要性に身が引き締まる思いになった。
    言うまでもないことだが、褒められたことは大抵嬉しかった記憶として残る。ただ、努力の過程を見ずに「天才だね!」などと言われると逆に嫌だと思うこともあり(私も見た目のことを褒められてもあまり嬉しくないのでその気持ちはわかる)、ただ褒めれば良いというものでもない。相手をよく見て、知り、とっておきの褒める言葉をたくさんかけてあげたい。頑張ってる子には、頑張っているね、ちゃんと見てるよ、と言ってあげることがどんなに大事かわかった。
    逆に、どうしても叱らなきゃいけないことも多々あるが、頭ごなしに否定されたり、しつこすぎたり、同じことをしている人がいるのになぜ私だけ?とか理不尽だったり、そういうのは嫌な記憶としか残らない。叱り方、注意の仕方って本当に難しいと思った。
    そしていじめについて。いじめは命を奪うこともあるから、今の学校では本当にいじめに敏感で、いじめ事案があると学校は組織的に対応するし、しつこいくらい定期的にいじめアンケートを取ったり、いじめは絶対に許さないというメッセージを子どもたちに送り続けている。しかし、いじめのような行為は全部が全部罪ではなく、大人が子供に「いじめは悪だ、仲良くしなさい」と強制したところで本当の関係性は築けない。子どもたちの間にコミュニケーションのぶつかり合いがあれば、大人としてそれを受け入れ、気持ちの整理をしてあげることも大事で、通過儀礼でもあると。いじめた側の子どもの心に目を向けることだって大事だと。
    確かにそうだなと思った。
    しかしいじめが通過儀礼だ、必要悪だ、となるとそれはまた違うので、ほんとに難しい。
    しかしこのような、大人になりかけの若者たちの、子ども時代の心の声を聞くというテーマ、非常に興味深くて私の仕事の上でも参考になりました。

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著者プロフィール

東京都出身。慶應義塾大学環境情報学部准教授、コンゴ大学客員教授(コンゴ民主共和国)。専門は、異言語・異文化コミュニケーションを基盤とした英語教育、カリキュラムデザインとその教授法。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程を修了、現職。「教育」と「コミュニケーション」を研究する長谷部研究会を率いており、「学校は社会の縮図」であると捉え、「教育の原点に立ち、そこから各自のやりたいことの本質を徹底的に見いだすこと」に実践的な立場から取り組んでいる。卒業生は国内外で多岐にわたり活躍している。学生たちからは「迷いの森の出口を教えてくれる魔法使い」「SFCのビッグママ」「ママヨーコ」と呼ばれ親しまれる。著者自身、不登校、いじめや病気、高校、大学受験失敗などを経験し、そこからの問題意識で、20代半ばから寺子屋(私塾)を立ち上げ、「子どもたちを死なせない、活き活きと活かす教育」に取り組み続けている。35歳で大学入学、40代で大学修了後、現職につく。著書『今、ここを真剣に生きていますか?』(講談社)、『「自分」をカタチにする授業』(同)、『子どもの心が聞こえますか?』(マガジンハウス)。

「2014年 『いくつになっても「いきいきとした自分」でいられる方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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