そして父になる DVDスタンダード・エディション

監督 : 是枝裕和 
出演 : 福山雅治  尾野真千子  真木よう子  リリー・フランキー 
  • アミューズソフトエンタテインメント
3.72
  • (168)
  • (349)
  • (286)
  • (45)
  • (11)
本棚登録 : 1681
感想 : 308
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4527427657267

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「スパイダーマンって蜘蛛だって知ってた?」
    「んーん、初めて知った」

    6歳の息子が、産院で取り違えられていたと知った2つの家族の話。
    病院側は「こういう時は100%交換を選びます」と言う(ほんとに!?っていうか前列があんの!?)。交換、つまり生物学的親子の組み合わせに戻すかどうかを判断するために交流する二家族…彼らの選ぶ道は。

    えー、まず福山雅治がいましてね、彼は都会の大会社で大きなプロジェクトを推進していたりするエリートで子供にも英才教育を施していて、小学校受験をさせているんです。
    対してリリー・フランキーは町の小さな電気屋を営んでいて子育てに大事なのは共に過ごす時間だと考えているのです。
    お母さん二人はまあそんなに隔たりがない感じで。

    序盤からもう、福山雅治が人の心が分からないのが悪いって感じで進んでいって、きっとこれ中〜終盤で弾劾されるんだな…と胃が痛くしながら観てました。自分もリリー・フランキーみたいにするの苦手な親なので。
    こう、辛い目に会うことが予想される作品は観てて苦しい。

    それはそれとして6年も共に育った子を、取り違いだったからと言ってハイ交換、みたいには絶対出来ない。
    どんなに苦悩したからと言ってそれは選ばないよ。育てたならそれは自分の子でしょうよ。
    息子たちに選択権も事情の説明もなかったのは気になるところ。親のエゴがテーマだからなのか?

    是枝監督作品、万引家族・海街diaryに続く3つ目ですけど、家族を描く方なんですね。
    明るいお話が好きなので、監督のファンにはきっとならなそうだけど、雰囲気ある絵作りだなと思います。

    ヘビーな内容でお腹いっぱいな気持ちになりました。

  • それぞれの親の気持ちが痛いほど。
    福山&尾野真千子夫婦の心情はなかなかリアルに想像できてしまいとても苦しい。

    こないだ辻村深月の「朝が来る」を読んだこともあり、血のつながりより大切なものはいくらでもあると思うけど、足元から根こそぎ覆される感じ、恐ろしい。
    小学1年生といえど子どもの意思を入れずに話を進めていくので、そういうものなのかなー結構子どもはちゃんとわかってると思うなーと思っていました。
    最終的には目に見えないけどあやふやだけど確かにそこにある絆を信じられる親子関係が表現されていてよかったです。

  • 難しいお話ですが、どんなに血が繋がってなくても、親子としてその子と暮らした時間が、本当の親子以上にかけがえのない物になっていると早く福山さん演じる野々宮さんに気付いてほしくて仕方なかったです。
    そしてどちらの親にもですが、本当の事を何故子供達に言わないのか!と何度も思いました。
    6歳だからまだ分からないかもしれないとか、真実を知るには残酷すぎるとか色々あるかもしれないけど、子供は敏感で自分のおかれた状況を一番分かってたりするのに。
    本当の親じゃないって言った上でそれでも離れたくないと子供が言ったなら、私なら血の繋がりがなんぼのもんじゃー!!この子は私の子や!私が産んだ子じゃー!と離さないのにな~とか色々思いました。
    その場合本当の自分の子はもう諦めます。そんな簡単な話ではないのも分かってますが、それぐらいこの6年という月日は短くて長いんだと思いました。
    ラストはどうなったんでしょうね?きっと元通りになったんでは?と勝手に思っています。

    あとリリーさんを観る度「凶悪」の高笑いが浮かび、私の中で結構なトラウマになってるな~と苦笑していたら、ピエール瀧さんまで一瞬ですが出演していて、そのシーンが実は一番印象的だったのも忘れられないです。

  • だんなさんも観たいということで、折り合いをつけているうちにかなり時間が経ってしまって、
    ようやくの鑑賞。
    全てを鑑賞しているわけではないが、
    今まで観た是枝監督作品で、子供をテーマにした1本としてはいちばん好きかも。
    いろんな捉え方があると思うけど、ここでのラストは、あれ以上にはならないんじゃないかな、と思った。
    わたしはあのエンディングに希望を見出しました。
    救われたと言うか。

    今回は福山と尾野真千子、リリーと真木ようこが夫婦というのもよかったと思う。
    これで福山と真木ようこが夫婦だったら、龍馬伝になるもんね。
    それにしてもリリーと真木ようこの夫婦がまたうまい。絶妙。

    福山雅治を「父親」として観る日が来るとは。
    それが本当に違和感なくて、役者としての真骨頂を見せてもらった気がします。
    そんでもってラスト、泣けました。
    カメラに残っていた写真の件。
    さすがにあのシーンでは泣かされた。

    悲しいかないろんなことがあってはじめて気づかされること。
    すごく残酷だし、本当に耐え難いことだろうけど、
    それがなければ、もしかしたら一生気づかずに進んだかもしれないこと。
    きれいごとではない現実を通じて、いろんなことを考えさせられる内容でした。

    「父」の話なので、女の私が観たらどうなんだろうと思っていたけど、
    「父」の話は同時に「母」の話でもあり、その複雑な心境を尾野まちがこれまた見事に演じていて、脱帽。
    ほんとに役者揃いで、そう言えば樹木希林も出ていたし、ここでも國村さん!!まさに4本連続登場にこちらも脱帽。
    日本の映画界になくてはならない方ですね。アツいです。

    個人的には、今は亡き夏八木勲さんにも胸熱。

    http://onionmovie.jugem.jp/

  • 仕事であれば正解を探すことが大事であろうが、家族であればそれよりも一瞬一瞬に向き合うことと、その時間の積み重ねを大切にしたいと思った。慶太が良多をカメラに納めたように。

    尾野真千子が福山雅治と少し揉めているシーン、わざと明るい声で話しつつ、手に持った編み棒でラグをトントン叩く演技が忘れられない。本当に上手い役者揃い。

  • 是枝監督の作品は自分だったらどうだろうと考えに考えながら観ると最高の映像と間合いなんだと改めて思った。興味がないテーマの時は訳が分からないけど。

    「似てるとか似てないとか、そんなことにこだわっているのは、子どもとつながってるって実感のない男だけよ」っていうのは、すごく共感したけど、なんだか男の人目線で自戒の念を込めて作られた台詞なような気もした。母親はそんなことがないから、思いつきもしないような。

    でもそれって母親になったことのある人しかわからないのかもしれない。それは決して出産をした人ということではなくて、毎日毎日、子どもの幸せを願い続けて生きたことのある人しかわからないと思う。自分に似てるかとか、血がつながってるかとか、そういうことじゃない。女だって子どもを産んだだけで母親になれるわけじゃない。父親と同じ。だけど、出産をすることで、男の人よりもそのスイッチは入りやすいんだろうなぁ。変なしくみだなぁ、親子って。

  • * 実家に帰っていてやることがなく、録画してあったのを改めて見たやつ。2回目だったんだけど結局一人で号泣…。
    * 慶多が健気すぎる。あのくりっとした目で、言い合う両親に挟まれて両方を振り向くシーンとか、本当に大人の顔色を伺っていてなんとも健気。そして最後のカメラに残ってた写真も…ここで涙腺崩壊。
    * 対する琉晴は「帰りたいって言ってごめんなさい」ってとこで泣かされる。とにかくこの映画は子供が泣かしてくる。
    * この取り違えの事実を子供に伝えなかったのは何故なんだろう。実際は省略されてるだけで伝えた設定なのかもだけど、だとしたらそこはとても重要なシーンなのではないのか。
    * 3歳だったらきっともっと迷いなく取り替えられてたのかもだし、15歳だったらもう生みの親とは会わないって選択もあったかもだけど、6歳って設定がどっちの選択も辛くしていて、絶妙だったんだなと思った。
    * そして真木よう子のウィンクが最高。

  • 2013年 日本
    監督:是枝裕和
    出演:福山雅治/尾野真千子/真木よう子/リリー・フランキー
    http://soshitechichininaru.gaga.ne.jp/

    赤ちゃんの取り違えもの、というと昭和のドラマや映画では結構定番ネタだったと思うのですが、まさかこの時代に、と作中でも当事者たちがもらすように、平成になってからはあまり見かけなくなった題材かも。しかし孕んでいる問題はいつの時代でも普遍的。「産みの親」か「育ての親」か、はたまた「血」か「情」か。経済状態の格差、教育方針の違い、子供にとってはどちらで育つことが最終的に幸福なのか。

    一方の家庭は、一流大学を出て一流企業に勤める有能でカッコいいエリートの父親(福山雅治)と専業主婦の母親(尾野真千子)、当然子供には習い事をさせ、小学校からお受験。もう一方の家庭は古びた電気屋を営む父親(リリー・フランキー)と、子だくさんのためパートで働く母親(真木よう子)、けして裕福ではないけれど子供はヤンチャでのびのび育つ。

    このへんの設定はある意味ステレオタイプで、勝ち組エリートの主人公はあからさまに相手を見下しているし、発言も高慢。しかしだんだん実はそんな彼にも、自身の父の離婚後、血のつながらない後妻に育てられた過去があり、父とも不仲、妻のほうはもともと庶民派で、結婚したもののエリートの夫に対して引け目を感じているらしきこと、それぞれに抱えていた問題が浮き彫りになってきます。

    女性としては(生んでませんが)やはり母親たちのほうに感情移入してしまい、夫はそっちのけで連帯しあう母親同士のほうに共感しました。いちばん泣けたのは、子供を交換することを決めたあと河原で二人が抱き合う場面。自分でお腹を痛めてない男には絶対わからない感覚でしょう。

    福山雅治はシンガーとしても役者としても特別好きも嫌いもない存在でしたが、この映画の彼はとても良かったです。仕事人間で高慢な彼が、だんだん人間味を取り戻してゆく過程がとても自然でした。とりあえず今日本でいちばんカッコイイ45歳なのは間違いない(笑)。兄役で登場した高橋和也は同じ69年生まれだったはずですが、見た目すごいギャップが・・・(いや彼は彼で良い役者ですけどね!アイドル時代から演技派でしたし、橋口監督の『ハッシュ!』は素晴らしかった)。安定の樹木希林、どんな映画にもちょい役で出てきちゃう井浦新など、他の脇役も豪華でした。

    映画の中での彼らは、ひとまずある結論を出しますが、この先子供たちが成長するにつれまた問題は起こってくるだろうし、結局どうすることが正解なのかは誰にもわからない。選択を後悔することもあるかもしれない。けれど、たとえ平凡な家族でも実際にはただ血の繋がりだけに甘えていてはきちんとした関係は築けないし、そもそも夫婦は他人同士が家族になるわけで、結局遺伝子よりも、記憶や時間のほうが人間に与える影響は大きいのだと個人的には思います。良い映画でした。

  • 2013年 日本

    監督 是枝裕和

    福山雅治、尾野真千子、リリー・フランキー

    カンヌでスタンディングオベーションになったって評判になってましたねぇぇ
    この作品は監督が福山を思い脚本したって、、、ほんとかな?

    エリートで高層マンションに住んでる良多(福山雅治)と群馬の片田舎で電機屋を営んでいる雄大(リリー・フランキー)の息子たちが生まれた時に取り違えが起きていたってお話。
    両家族が会い、子供同士がお泊り入れ替わりから始まり、最後には正式に入れ替えるのか。
    そして、今までエリート街道まっしぐらで子供の不出来が理解できなかった良多が雄大やその家族との触れ合い、そして子供の写してた何気ない写真。
    そして何気ない子供のしぐさなどから父親へとなっていく。
    タイトルそのまんまの映画です。

    福山演じるエリートがま~~~ぁ、ほんまに憎たらしいエリートでDNA判定して取り違いが確定した時の「やっぱり、そうなのか」って言葉が忘れられません。
    最初に雄大のおうちに行った時の「おいおいおい、これはないだろう」って言葉。そして妻の母に「相手の人、どんな人だった?」と聞かれたときに「電機や」って。
    人を人として見るのではなくポジショニングで判断する人。
    やだね~~~~
    やだっぷりが上手い!!

    ただ、真木よう子がなぁ、、、
    取り違い相手の雄大の妻はもう少し世帯疲れした人であって欲しかった。
    真木よう子は口汚くてもきれいだから、なんかねぇミスキャスト!!

    あと、、、雄大の息子(良多の実子)琉晴が一人こてこての関西弁だったのが気になった。
    「なんで?なんで?」って言うところ。
    調べてみたけど、やっぱりわかんない。
    もしかしてって思えるのは、、是枝監督って子役には台本を渡さずにシーン毎にシチュエーションを説明し、アドリブで演技させてるとか。
    琉晴役の子は関西の子なのでそれで関西弁だったのかな?
    つられてリリー・フランキーも時折えせ関西弁になってたのかな?
    真実はわからない。

    是枝監督を観るのはたぶん初めてで、福山ってここんとこガリレオのイメージしかなかったので、期待せずに観たけど、意外と面白かったわ。★4でもいいくらい。

    その後、どうなったかが話題っぽいけど、元のさやに納まったんだろうなって私は思います。だってやっと良多は慶多のパパになれたんだもん。
    慶多、、、かわいいなぁ♪

  • ええ。映画やった。
    福山雅治 の 一流会社の 仕事で がんばっていて
    父親という役目が 十分に果たせない。
    そして、リリーフランキーの 電気屋さんのおやじ。

    好対照な 父親が 演じる。
    やはり、父親って 難し過ぎる。
    フランキーが 『父親は代替えできない』と言っていることが、
    この映画の エッセンス。
    『父親は 時間だよ』という言葉も 突き刺さる。
    日本の父親が 忘れているものに トゲを刺す。

    尾野真千子の陰性的な 母親と
    真木よう子の陽性的な 母親。
    子供に対する 距離感。
    そして 敗北感が色濃く出ている。

    脇役が そろっている。
    風吹ジュン、樹木希林。
    それぞれの おかれた位置。

    6年間は 一体なんだったのか。
    子供とのふれあいの大切さが見えてくる。

全308件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

著者)是枝裕和 Hirokazu KORE-EDA
映画監督。1962 年東京生まれ。87 年早稲田大学第一文学部卒業後、テレビマンユニオン に参加し、主にドキュメンタリー番組を演出。14 年に独立し、制作者集団「分福」を立ち 上げる。主な監督作品に、『誰も知らない』(04/カンヌ国際映画祭最優秀男優賞)、『そ して父になる』(13/カンヌ国際映画祭審査員賞)、『万引き家族』(18/カンヌ国際映画 祭パルムドール、第 91 回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート)、『真実』(19/ヴェネ チア国際映画祭オープニング作品)。次回作では、主演にソン・ガンホ、カン・ドンウォ ン、ぺ・ドゥナを迎えて韓国映画『ブローカー(仮)』を 21 年撮影予定。

「2020年 『真実 La Vérité シナリオ対訳 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×