かわいそうだね? [Kindle]

著者 :
  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • いや〜、これは好きだわ。
    そこまでストーリーに起伏があるわけでもない話、2編が収録されており、どちらも良かった。綿矢氏の筆力恐るべし。
    やはり考え方そのものに共感できるというか、表題作の後半、我慢に我慢を重ね自分を押し殺し耐えてきた、主人公の心の容量が溢れ出し凄まじく決壊した際の大阪弁が、たまらなく萌えます。キレキレでフリースタイルの如く出てくる言葉が好き。
    2話目のヤバい彼氏の口から溢れる知性の片鱗と裏腹、垣間見える品性の無さ。この絶妙なバランスも素晴らしい。先日読んだ、嫌いなら呼ぶなよもイカす作品で、今回、綿矢氏の大ファンになった。

  • 面白かったです。
    「かわいそうだね?」女性作家さんならではの女性の心理を描いてると思います。この感情は男性にはわからない。ドロドロ感がたまらない。
    「亜美ちゃんは美人」こちらも女性同士の感情が描かれているが読後感はスッキリ。世の中には美人は多いが、美人とはそういう孤独感とかあるものなのか。#

  • 「かわいそうだね?」を読んでいくうちにふつふつと溜まりだすモヤモヤを登場人物のコテコテの関西弁が一掃してくれた。

  • 2024.4.12 オーディブルにて読了

    どっちも面白かったけど、特に亜美ちゃんは美人が好みでした!
    綿谷りささん、女性を観る観察眼が鋭いなぁ。

  • 短めな一冊。
    「かわいそう」という言葉、上から目線だなと常に思っていたのですが、もしかしたら「結局は他人事」な言葉なのかもしれないと思いました。

    1つ目より2つ目のお話、「亜美ちゃんはかわいそう」がどちらかというと好きかな。

  • 10年前に読んだ本が本屋でなぜかプッシュされてたから嬉しくなって買ったやつ
    読み直すとなんとなくそんな話だったな〜と思ったし、大人になったからちょっと解像度が上がった気がするのも嬉しいね

    底意地悪くて、愛があって、痛快ですごい文章だった
    文章がジェットコースターみたいな景気良さがある
    ただ、話の主題が恋愛軸の女の人間関係っていうのが最近の自分の気分とは合わなかくて、ちょっと重かった

    地震が起きた時、いち早く自分の身の守り方考えつつも、誰からも守ってくれない心細さが両立するシーンが先週の自分そのもので笑った

    私含め、女たちみんな幸せになろうな

  • ・かわいそうだね?

    彼氏が元カノと暮らすことになった。それに反対するなら別れると言われ、ストレスを溜めまくり色々頭で考えまくり時には押しかけて元カノと対面し自分を納得させ、でも不安で彼の携帯を盗み見…
    と読んでるこっちもだいぶストレスが溜まった。
    どう着地するのか気になりまくって頑張って読んだけど、終わりが割と突拍子もなかった。
    スッキリする結果なのかもしれないけど、こちらとしては元カノがもっと痛い目みて彼に嫌われるくらいの結果でないと納得できないな…
    いやでも彼氏もそうとうだめなやつだしよかったのかも。
    かわいそうという言葉は相手のことを思って使うこともあると思うけど、どうしても見下してるように聞こえてしまうので使い方が難しい。

    ・亜美ちゃんは美人

    これも予想外の展開でびっくり。
    とびきりの美人に生まれたからには中身も伴わないといけないわけで、なかなか大変そう。
    亜美ちゃんのように美人というだけでちやほやされて人とのぶつかり合いがなく来てしまうとこうなってしまうのね。小さい頃から苦労する美人もいるわけで、そういう人は辛い経験を知ることで完成された美人になるのかも。

  • タイトル作含む中編2作。
    「可愛そうだね?」
    付き合ってる彼氏が,就職できずに困っている元カノを自分の部屋に住まわせてやると宣言された女・樹里江。理不尽なことに怒りつつも,彼に嫌われたくなくて,彼の正当性を理解しようと苦悶する。しかし....。
    物語というより,設定でほぼ全てであり,悶々とする樹里江の内面の葛藤を語り聞かされる展開。そういう意味では話に入り込めず,読み進めるのが少々苦痛。最後はちょっとスカッとしたかも。
    「亜美ちゃんは美人」
    誰もが見惚れる類まれなる美貌に恵まれた亜美と,入学した高校で出会った坂木蘭はずっと自他共に認める親友だった。しかし実は坂木は亜美を苦手に思っていたのだった。次々に現れる素敵な男性を通り過ぎて,一体どんなすごい人生が待っているのかと思われていた亜美が選んだ男とは。絶世の美女でもその人なりに苦悩があるのだという話か。

  • 若いのに賞をとった方だったので、期待して読んだが全く面白くなかった。仕事を失い就活中の元カノを同居させる彼氏、葛藤しながら我慢する彼女だが、二人のメールのやりとりや、部屋を突撃した時に下着が干してあることに切れて、封印していた関西弁で激怒する彼女に、我慢して読んでいた私は頭に来て家族に当たってしまった。反省。どうして賞が取れたのか、私には謎。おすすめしません。

  • 図書館で借りて読んだ。

    2篇を収録。共に、若い女性が主人公で、その恋愛や友情を描く。同性として共感しつつ、嫌悪する場面も多い。同作家の作品を読むのは「蹴りたい背中」に続き二作目だが、面白くない訳ではないし、むしろ面白いのだが、前作と同様、心に響かないし、残らない。芥川賞作家の作品なのに、私の感性が鈍いのか?星3つの評価としたが、実際は2.5というところ。

  • 最後の最後、樹里亜が暴れてくれる爽快感を味わうために読んでいたのかもしれない。その次におもしろかったのはアキヨから送られてきたメールの文面。
    女ってかわいそうでかっこよくて惨めで勇ましい。

  • 一作目は、彼氏の家に、元カノが同居するというお話。読み始めの気持ちはドロドロで、元カノが彼氏の家に同居しますといった宣言した時点で別れてほしかった。

    しかし、すぐに別れを切り出さないように書いたのが、作者の綿矢さん。

    彼氏と元カノは、アメリカに留学して住んでいたという設定にしたところがまたすごいところ。
    アメリカで過ごしていたから、日本でもこの生活スタイルをする。残念ながら、日本では許されることではない。こうした矛盾がさらにモヤモヤの圧迫をかけ、読者の気持ちの痛い時間を長引かせる。
    元カノの状況を理解したつもりで、「かわいそうだね」という同情をする。
    モヤモヤ、ドロドロが続き、読むのが苦痛になってくる。
    それでも最後はスカッとして気持ちよかった。

    2作目は、同級生の友達が美人でかわいすぎるお話。これはこれで、また違った辛さや痛みがある。
    美人のお友達は、傷ついているお友達に気がつかない。お友達は天然で、天真爛漫。
    読んだ後は、どちらも「かわいそう」な人。

    「かわいそう」という言葉は、他人事、人ごとに思えてしまう。反対に、同情したらいけないのかと思ってしまう。同情したところで、何の意味の役目を果たさない。そんな感じがした。

  • 装丁が綺麗。
    冬は本が読みたくなる。ので、久しぶりにKindle。彼氏の家に元カノが上がり込んできて、いろんな理由をつけて受け入れる主人公に「なんだかな〜」ってもやもやスッキリしないなーって思いながら読んでいたんだけど、最後、超スッキリして笑えて凄くよかった!
    「亜美ちゃんは〜」は、セーラームーンの亜美ちゃんと同じ字面だなーと思いつつ。最後がもう少し欲しかった!読みやすさではこっちだけど、読了感は表題作の方が好き。

  • 2編とも面白かった。
    アキヨみたいな女が彼氏の周りにいたら
    最悪すぎる。話通じない甘ったれ女。
    亜美ちゃんは美人は読んでて胸が痛くなるけどほっこりした。2人とも幸せになってほしい。

  • 刺さる言葉や展開は少ない本だった。
    前半の話の方が感情移入できて辛かったかな。
    歳を重ねるごとに、男女が一緒にいるためにはお互いの好きという気持ちの維持だけじゃなくて
    生活とか、情とか、譲れないものとか、他のたくさんのものとの調和が必要。

  • 主人公の女性が、最初は健気に彼氏を信じていたのに、途中で吹っ切れてたくましさを取り戻すストーリーが痛快。ラストの修羅場シーンは見応えあり。

  • なかなか読み応えのある小説だった。
    綿矢りさは好ましいけれども大雑把な感じで
    あえて読みたいとは思わなかったのだけれど
    この一冊は読んで良かったと思った。

    表題作「かわいそうだね?」
    結末は少々不服だったけど
    人物描写が的確で面白い。どうなるのだろう……と
    思いつつ読んだ。そこが読みどころではないんだけど。

    「亜美ちゃんは美人」
    もう一遍収録されているこちらのほうが
    特異な小説だった。
    亜美ちゃんと私の関係性が筋なのだが
    私の気持ちがつぶさに描かれ、
    私の気持ちの対象となる亜美ちゃんの内面は
    生では描かれない。それは取りも直さず私が
    親友の亜美ちゃんに共感したり心底理解したりすることがないからで……
    女同士の残酷で親密な関係を良く描いていると思う。

  • かわいそうだね?
    (和書)2012年04月25日 23:04
    綿矢 りさ 文藝春秋 2011年10月28日


    最近の小説はほとんど読んでいなくて、大江健三郎賞を取ったと言うことで久々に読んでみた。

    思っていたより面白い。

    ここ数日、実存主義者の本を読みたいと思い図書館を渉猟している。サルトルの小説など読んでみたい。

    良かったと思う。

  • ”でも自分の人生が狂っているなんて絶対に認めない、どの人の人生もきっと適当に狂っているけれど、狂っている部分なんて恥だから、みんな見せないようにしているだけ。”

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

綿矢りさの作品

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