邪悪なものの鎮め方 [Kindle]

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  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • もやもや…と思っていたことをすっきりと説明してくださる文章が快かったです。
    これはこうだ!と言い切っているものもあれば、これはこうだって割りきらなくて、ぐちゃぐちゃのままでいい!って言い切っているものもあって、それがすばらしかった。

    (以下、引用)
    常識は「真理」を名乗ることができない。常識は「原理」になることができない。常識は「汎通的妥当性」を要求することができない。これら無数の「できない」が常識の信頼性を担保している。人は決して常識の名において戦争を始めたり、テロを命じたり、法悦境に入ったり、詩的熱狂を享受したりすることができない。
    (ワタシ:ホントにそうだよねぇ…)
    (略)
    人間の知性のもっとも根源的で重要な働きは「自分がその解き方を知らない問題を、実際に解くより先に『これは解ける』とわかる」という形で現れる。
    (引用終わり)

    ずっと前に赤瀬川原平さんの「直感力」という本を読んだときに、「そうだよね、直感って後から考えてみても、けっこう正しかったりするよね」と同意したのですが、「霊的感受性の復権ーそんなの常識」編に書いてある、言語化できないけれど「なんとなくそう思う」常識の信頼性のついての話は、とても納得できるものでした。
    その他の文章も、それぞれにそうだよねぇ、とうなずきつつ、楽しく、ぐいぐい読んでしまえました。

    それから、名越康文さんの解説にあった、
    「トラウマに善悪の区別をつけない」「毎日機嫌よくすること」というところの文章を読んで、「そうか!」となんだかとても励まされました。

著者プロフィール

1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に、『街場の教育論』『増補版 街場の中国論』『街場の文体論』『街場の戦争論』『日本習合論』(以上、ミシマ社)、『私家版・ユダヤ文化論』『日本辺境論』など多数。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。

「2023年 『日本宗教のクセ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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