少女外道 [Kindle]

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  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 児童文学参加としてデビューし最近はミステリー作家として活躍、文化功労者としても表彰されるまでになっている直木賞作家皆川博子さんの作品『少女外道』を読了。

    僕ら戦後世代は全く感じた事がないが、戦時下の重苦しい空気の中でじわじわとその本来は生き生きとしていた生命力を発揮して行く場をけずられて行く少女達が見事に描かれている短編集だ。

    ミステリー作家の作品であるが本作はミステリーではない。戦時下に生まれた少女達が許されぬ恋の末に死を選ばざるを得なかったり、プレッシャーにあらがいながらもその悩みを人には言えずに苦しむ少女、欲望がひさやかにわき上がっているのにそんあことはおくびにも出せない時代の中で日々を送る少女などなど、オープンに自分の事を語ったり、進む道を選べなかった時代に苦しんだ女性達の物語が8編収められている。

    電話もない、ネットもない、出会いアプリもない時代、かつ戦争というとてつもない化け物が世の中を席巻していた時代に生きたた少女達の心のありようはあまりに脆く、しかし熱く、とても美しい。

    親に聞いても語られない戦時下で少女だった人たちの心の叫びを聞く事が出来るのもこういった説があるおかげだ。こういった小説を書く小説家の作品を触れないで生きるのはちょっともったいない。

    自分の心に潜むエロスと死のアンバランスな響き合いに導かれ人の求められる道とはちょっとだけ外れて生きる戦時下の少女達のお話を読むBGMに選んだのはBlossan Dearieの"Once upon a summertime". こういう不思議なジャズ歌手もいたんだなあ。
    https://www.youtube.com/watch?v=jg_o95Lxzus

  • タイトルもタイトルだけど、中身も負けず劣らずイっちゃってます。こういう、普通に生きていくには繊細過ぎる人達を見てると、あー普通に鈍感で良かったとおもうわけさ。
    どこまでいっても文章も登場人物も品があるのが、皆川センセイの信頼できるところ。選び抜かれた語彙の美しさの賜物なのかしら。これだけ抑制の効いた文章でこんなに過激なのは本当にお見事。

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プロフィール

皆川博子(みながわ・ひろこ)
一九三〇年、京城生まれ。東京女子大学英文科中退。
72年、児童向け長篇『海と十字架』でデビュー。
73年6月「アルカディアの夏」により第20回小説現代新人賞を受賞後は、ミステリー、幻想、時代小説など幅広いジャンルで活躍中。
85年『壁――旅芝居殺人事件』で第38回日本推理作家協会協会賞、86年「恋紅」で第95回直木賞、90年「薔薇忌」で第3回柴田錬三郎賞、98年「死の泉」で第32回吉川英治文学賞、12年「開かせていただき光栄です」で第12回本格ミステリ大賞、13年 第16回日本ミステリー文学大賞を受賞。
異色の恐怖犯罪小説を集めた傑作集「悦楽園」(出版芸術社)や70年代の単行本未収録作を収録した「ペガサスの挽歌」(烏有書林)などの傑作集も刊行されている。

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