モモ 時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語
- 岩波書店 (1976年9月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
感想・レビュー・書評
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最近読んだ河合隼雄氏の「幸福論」で言及されていたので、懐かしくなって40数年ぶりに!再読した。物語として面白いだけでなく、時間に対する考察が深く、色々と考えさせられる。
エンデに「タイムパフォーマンスについてどう思いますか?」と聞いたらどんな回答が返ってくるだろう?
自分なりに答えられるようにしておきたい。 -
時間が経てば経つほど、ひとびとには「モモ」が必要な気がしてくる。
名言集やあらすじ、エッセンスではなくて、「モモ」を読み切る時間やモモを知って眺めることが必要なのだと思う。
今、「モモ」に没頭できる余裕のある人がどれほどいるだろうか?
生活上の余裕のなさだけでなく、「モモ」を読む落ち着きや集中力、読解力のある人が減っている気がしてならない。 -
モモなら、みんな時間が時間銀行に預けられていて、もとのみんながいなくなったとして、どうするのかなと思いました。自分もみんなと合わせるのか、本当にひとりになるのか。マイスターのところへ行った時、モモちゃんは亡くなってしまったのかと思ったけれど、最後はみんなに時間を返して。自分の世界を持って、他人への興味も持っていて、小さなモモちゃんの大冒険。ここからどれだけでもお話が出来そうな。
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ベッポじいさん、ジジ、どちらも
「生きること」を真剣にしている人にも関わらず
時間どろぼうには抗うことができなかった。
まるで現代社会の構造をそのまま予言するかのような精緻な描写。
今こそ世界中の人々が再読する必要を感じる。
何度読んでも決して古びることのない名作。
生きることの本質を問う珠玉の一冊。
自分の生きかたを見つめ直すのに、これほど適した本を他に知らない。 -
ファンタジーに織り込まれた鋭い風刺。
この作品が約50年前に書かれたのは驚きです。
もっと、いろいろ、思いやることが大切なんだろうなあと思わせてくれた。自分はまちがいなく灰色の男たちの一味になってしまうだろうな。 -
小学校の時にまわりが夢中になってた本
階段の踊り場での記憶がなぜか色濃い
で、私は読まずじまいだった本
聞くという力
母としてのわたしにたりてないなと思いつつ
読みすすめました(笑)
哲学的なような、風刺のような
そういう雰囲気に入れずにいたけど
最後の方、すごかった...
子どもの頃ならもっと楽しかったかな
でも、読めなかったかも? -
あいての話をじっと聞くという才能を持つモモが、時間を「生きること」をうばわれた人びとを助け出していく。
自分のためになると時間を倹約する心が殺伐としていく様は、効率はよくなっているはずだが忙しいという現代社会を表徴しているよう。
時間がないと焦っているときほど、落ち着いて思い返したくなる。 -
渋谷に「森の図書室」というブックカフェがあり、そこで読んだ。
カフェには興味本意で行ってみただけのつもりだったが、せっかく入店したからには何か店の本を読もうと思い見渡すと、『モモ』がなぜかあちこちに見当たった。
フリーゲーム『四月馬鹿達の宴』に引用されていると聞いたたこともあり、前から気になってはいたので、読むことにした。
浮浪児ながら、豊かで生き生きした毎日を送るモモと、その仲間達。そこに灰色の男が現れ、人々の生活を無味乾燥であくせくしたものに変えてしまう。
利便性を良しとし追求する、都市民に対しての警告的な意味を感じさせる。数値化できず、合理性の論理では説明できない、豊かさの価値を知らせてくれる。
少なくとも僕の中で、「モモ」は、天使みたいに綺麗な美少女ではない。髪はボサボサの浮浪児である。だが、それでこそ、数値化できない豊かさを伝えてくれる人物として適切に感じられた。しかし、子供っぽいあどけなさが描写されていて、ちゃんと可愛らしい。
人々は灰色の男を忘れてしまい、価値観だけが変わってしまうという設定も秀逸だ。灰色の男はファンタジックな要素だが、この設定によって、物語の意味と現実とを照らし合わせてみたくなる。
自分が信じている、良い生活が本当に豊かなものなのか、考え直して見たくなった。そのくらいの説得力は確かにある内容だと思った。