- Amazon.co.jp ・電子書籍 (244ページ)
感想・レビュー・書評
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日本軍のイメージを具体的な形で示した書籍で、知らなかったことを知ることができ、有益だった。戦地での日本人の様子が今と何も変わっていないところに、日本の社会のあり方と特性が関係していることが示されているのだと思う。
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本書では、近年の研究を踏まえながら、その戦史的経過、技術的進展、社会的変遷を辿り、国際体制の変化、「帝国」から「国民国家」への移行、女性の社会進出、福祉国家化などをもたらしたこの出来事を考察する。
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第二次大戦中の日本兵はどのような戦いぶりだったのか、日本側の資料に加えて敵側として彼らを分析していた米軍の資料を付きあわせて評価したという貴重な一冊。
おおまかな結論としては、当たり前のことだが日本兵の性質は今の日本人とそっくりだ。上官の命令には(たとえ理不尽な命令であっても)極めて忠実に従うが、上官の戦死により指示を失うと何をしたらいいか自分では判断できなくなる。一度成功した戦法は敵の学習により有効でなくなっても捨てられず同じことを繰り返す。など。
しかし悪いことばかりでもない。旧日本軍と言えばただ精神論ばかりで狂信的な攻撃や無駄な玉砕をしていたかのように語られることも多いが、玉砕を覚悟した攻撃はあくまでも最後の最後であって、かなりのところまで合理的な戦術を立て、米軍に対する分析もしていたということだ。ただ、物量の差はどうにもならなかったようだが。
かつて敵だった日米はいまや友好国となり、戦時中に互いをどう分析していたか、それが正しかったかどうか検証することが可能になっている。こういう研究はもっと行われ、かつ公開されていくべきだと思う。 -
米軍は日本陸軍をどう観たか。貧弱な武器とバンザイ突撃、というステレオタイプとはかなり違う。
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一ノ瀬俊也『日本軍と日本兵 米軍報告書は語る』講談社現代新書、読了。太平洋戦争下、本書は「アメリカ陸軍軍事情報部が、部内に向けて発行していた広報誌」掲載の「敵としての日本軍」を材料にその同時代米国人の日本軍(人)イメージを活写する。 http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2882434
物量の前に破れた精神主義を否定することはできないが、報告「敵としての日本軍」は、それだけに収まりきらない「日本軍と日本兵」の豊穣なイメージを浮かび上がらせる。日本人は開国以来、米国嫌いではなかったし、超人的な志気の高さはほとんど例外だ。
特攻や玉砕は非合理的の最たるもの。しかし綿密な分析は「日本兵に”超人”性は何もない。同じ人間としての弱点を持っている」と結論づける。対して同時代の日本軍は相手を悪魔化するだけで分析することはなかったのが対照的。この心性は今も続くか。