殴り合う貴族たち (角川ソフィア文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • この本を読んだきっかけは、その印象的なタイトルに他ならない。なにせ殴り合うというのは不穏でしかない。この時代の貴族に詳しい人は当たり前かもしれないが、私にとってはとても新鮮だった。タイトルどおり、貴族社会は乱暴者だらけだというのが率直な感想。雅とか、しとやかとか真反対の世界だった。専門外なので人間関係を追うのが難しい部分もあったが、筆者も思わず「バカ息子」と称するエピソードもあり、非常に読みやすかった。
    この時代ならではの親子関係の複雑さが、粗野で幼稚な貴公子を産んでいるのではないかと読んでいて思った。また、もちづきの…と詠んだ道長同様、驕り昂っているという貴公子が存在するのが当たり前だったのかも。従者がやったこととはいえ、花山法皇の門前投石には呆れかえった。石を投げて嫌がらせなんて、小学生のような振る舞いだ。二度見ならぬ二度読み?するほどの粗暴な所業の数々。
    この状態で大河ドラマを見てどんな感想を抱くか。

  •  門前を不用意に通るとリンチ、借金取り立てのためにリンチ、そして特に理由のないリンチ。平安京思ってたよりダイハード。
     当事者というべき王朝貴族達の残した日記を出典に、ひ弱でもなければそれほど上品でもない貴公子達の、次から次へと紹介される暴力と自力救済に満ちた事件の数々。目次の項目を見て瞠目し、内容を読んでまったくその通りなのでまた瞠目する、と言う調子。
     紫式部が『源氏物語』に描かなかったものに焦点を合わせ、平安時代のあんまり平安じゃない側面を覗かせてくれる良著。面白かったです。

  • 貴族に対しては蹴鞠や短歌といった優雅なイメージしか持っていませんでしたが、結局彼らはただのヤクザ集団(いい意味?で)だったのだとよく分かりました。この本に登場するヤクザはどれもキャラの濃い人ばかりで、大変面白く読ませていただきました。高校の時に読んでいたら古文に対する印象が大きく変わっていたかもしれず、少し悔しい思いがあります。そういう意味で高校生にお勧めしたい本No.1かもしれません。

著者プロフィール

1997年東北大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。2003年神奈川大学大学院歴史民俗資料学研究科博士後期課程修了、博士(歴史民俗資料学)。神奈川大学日本常民文化研究所特別研究員、同大学外国語学部非常勤講師。著書に『陰陽師』(中央公論社)、『平安貴族と陰陽師』『呪いの都 平安京』(以上、吉川弘文館)、『殴り合う貴族たち』『王朝貴族の悪だくみ』(以上、柏書房)、『天皇たちの孤独』(角川書店)などがある。

「2008年 『王朝貴族のおまじない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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