- Amazon.co.jp ・電子書籍 (537ページ)
感想・レビュー・書評
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Audible読了
シンプルなストーリーで、お得意の銀行や町工場もやや遠慮がちにしか出てきません。終盤のヨセもやけにあっさりしていて池井戸作品独特の噛み応えみたいなものは希薄だったように思います。
その中でも学ぶべきことは多く、物語は入社4年目の若手社員が大手ゼネコンひしめく官製談合の世界に放り出されるというものですが、そこで出会うフィクサー的人物にすこぶる好感を持たれます。つまりかわいがってもらえるというやつです。これに明快な説明はなく、実直さや情熱、正義感だけではない、公正な感覚だったり時に諫言できる育ちであったり、努力を放棄したわけではないですが縁や地運といったような言語化したり学びとるに少々難しいものも作用しているんじゃないかな、なんて思いました。
もうひとつ印象的なのは、サラリーマンは代わりのきく部品みたいなものですか?と問う主人公に対しフィクサーの回答。
「部品そのものさ。私だってそうだ。お前もだ。ただし部品というのは仕事という目的の話に限ってであって、同時に私たちは人間だ。サラリーマンである以前に人間だ。そこが大切なんだ。」と説く。
文章だとごくありふれたフレーズですが、私は敢えて社会の歯車になることの、その喜びが正直に表現されているなと受け止めました。他の作品でも例えば『コンビニ人間』なんかで思いましたが、みなが何者かになろうとして苦しむ中で、その欲から解き放たれたような人物像を見ると具体的に何がというわけではなく、空気のようなものが自分の中をすーっと通っていく、そんな感覚になります。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ゼネコン、談合のことがよく分かった。しっかりとしたストーリーだが、オチは予測された。
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会社員ってこんなに胃がキリキリするお仕事なのね、お父さんいつもお疲れ様。
コスト削減だけではいつか限界がくる。
庶民も安い方についつい飛びつくけど、安いことのみに価値を見出すから談合になってしまうのかな。
価格の裏にある物事を考えるの大事と思った。 -
今なお残る談合。
単なる情報交換なのか、入札価格の釣り上げなのか。
競争力がついてきたゼネコンであるが、日本の市場規模を思うと先行きは明るくないよね。