なるほど、これがざまぁ展開というやつですか。一巻でこれをやっていたら引いていたかもしれませんが、尚文視点による三冊分の恨み辛みが蓄積されていたので正直なところすっきりしました。元康は今後どうするのでしょう…?
カラーページから勝手にフィトリアは敵側だと予想していたのですが全然違った。強力なお助けキャラだった。尚文視点で話が進むので勇者三人が悪いと思ってしまいがちですが、尚文から歩み寄ろうとしたことはあるのかと情を抜きにして指摘する第三者が現れたのはとても良いことですね。これまでの仕打ちを考えればなんで被害者が妥協しなければならないのだという言い分は尤もですが、世界を救うという大偉業を本当に成し遂げたいならば勇者同士で意地の張り合いをしている余裕はないというのも実に御尤も。そこで拗ねないでフィトリアに恩があるからと実際に話し合おうと努力してみる性格がこの主人公の好きなところの一つです。
この四巻だけでフィーロが戦闘力も精神面も大成長しましたね。フィトリアの特訓と、ごしゅじんさまとは別の意味で大切な存在ができたというわかりやすいものに加えて、度々カースシリーズの影響で尚文の負の感情を共有する形になっていたのも一因でしょうか。痛がりのフィーロが尚文を思い遣るシーンは不覚にも涙ぐんでしまいました。フィーロは天使の見た目をした天使だった。
盾の力がチートのようでいて全然チートできないところがとても好きです。カースシリーズを解放しようとグロウアップして強力なスキルが追加されようと、常にそれを上回る敵が現れるというドラゴンボール形式、わくわくします。フィトリアにあれほどカースシリーズは使うなと釘を差されたのに、直後の戦闘で使わなきゃ死ぬと即断で使う決断力は尚文の強さですよね。そしてあれほど嫌っていた剣槍弓も、なんやかんや理由を付けて身を挺して守ってしまう度を越したお人好しがやっぱり勇者。
尚文が迫害される過程を細かく描いてきた反動なのか、クズとビッチへの逆襲がものすごくしつこく書かれていて笑うというよりは苦笑い。しかし冒頭に書いた通り今までが今までなので、やっと一矢報いることができたかとなんだかほっとしてしまいました。尚文というよりは女王様がやりたい放題でしたが、各国から責められつつ戦争を抑えていたとなれば尚文以上の心労が窺えるのでこれは仕方ない。
メルティが実に良いツンデレでした。ただの暴力女ではなくひたすら素直になれない、しかし尚文以外には好意がバレバレという正統派ツンデレ幼女は今後も登場してくれるのでしょうか。尚文との関係は恋愛云々というよりは兄妹といった感じで微笑ましくて好きなので、この先も奴隷商や武器屋さんくらいの頻度でも登場してほしい。
冤罪が解消され盾の勇者への迫害も収束を迎えたようなので、とりあえずはこの巻で一段落といったところでしょうか。しかしまだ波は収まっておらずグラスとの戦闘も控えているので、まさに俺たちの戦いはこれからだというやつですね。国VS尚文ではなくなる次巻からはどのように展開していくのか楽しみです。願望としては他の勇者と仲良くなってほしいなぁ…