チェ・ゲバラ伝 増補版 (文春文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 読みやすかったです。ボリビアに行ってからの章で名前が入り乱れてよくわからなくなったけど。

    コミュニストのイメージがふんわりあったものが、「革命家」であったのだなと腑に落ちた。体系だった思想より先に、大国から収奪される農民と自国を解放し、自立させることがまずもって目的としてあったのだ。
    「革命は武力闘争なしには成し得ない」という信念や、こういった人物が称揚されることに時代を感じる。50年近く経って「テロ」という政治的なレトリックが浸透している今では、チェのような人物がもし世に出たとしても、さらに巧妙な印象操作の中で沈んでしまう気もする。
    作中、搾取される大陸とラテンアメリカが表現されていて、はっとなってしまう。自由と平和を、怒りを持って求め続けることを、否定するべきでないと思う。

    著者の思い入れを強く感じるので、他の書籍もいくつか読むとよいのかもしれない。

  • ゲバラはかっこいい。イケメンだ。かっこよすぎて、ちょっと息苦しくなる。まぁ、筆者(三好徹さん)がかなり入れ込んでいるので、そのバイアスもあるのかもしれないけど、かっこよすぎる。学生時代にゲバラの本を読んだ記憶もあるが、久しぶりに伝記を読み返してみた。

    今の世の中では、ゲバラのような生き方はできないだろう。ゲバラの時代だって、「帝国主義の鎖から解き放つには武装闘争をもってするしかない(Kindle の位置No.450)」という(ゲバラの)信念や「革命は薬である。にがい薬である。だが、ときとしてそれは、よりにがい悪に対する唯一の薬である(Kindle の位置No.3125-3126)」という(カストロの)言葉が実際にかたちになったのはキューバぐらいだろう。ボリビアではゲバラの試みはうまくいかなかったし、コロンビアではFARCというゲリラ組織が国民の支持を失い、政府軍と和平が成立したあと、元ゲリラ戦士たちが市民生活に復帰するのに苦労しているというドキュメンタリー番組も見た。

    ゲバラが子どもたちに宛てたという手紙の中に、こういう一文がある。

    >世界のどこかでなにか不正が犯されたならば、いつでも強く感ずるようになりなさい。それが革命家の最上の特質なのです。(Kindle の位置No.4092-4093)

    「感ずること」は、今でもできるだろう。でも、それを実現するためのもっとも正しい手段が武力革命であるということは、今の世界では決して正しくないはずだ。今は、「社会起業家」と言われる人たちも、世界のどこかで、あるいは日本でも、不正や不公平などと戦っている。ゲバラが今の世の中に生きていたら、どういう人生を送ったのだろうか。どんな「革命家」になったのだろうか。

  • ・9/23 漸く読了.社会主義者のイメージが強かったけどつまりは帝国主義に対する革命を目指してたということなのね.でもどうしてもその後は社会主義共産主義にならざるを得ないのが納得いかないよね.でもこんなに有名な人の人生を知らなかったのはまずかったと思う.読んでおいてよかった.何が彼をここまで駆り立てたんだろう.反米ってだけで思想も体制も違う社会主義国と連携することに違和感がなかったのだろうか.アメリカの帝国主義もひどいけど中国ソビエトの民衆を抑圧する全体主義も彼が目指した革命ではなかったのではないだろうか.

  •  
    ── 三好 徹《チェ・ゲバラ伝 増補版 20140410 文春文庫》 [Kindle]
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B00JD3RT4K
     
    ── 五十間 忠行《ゲリラ戦争 ~ キューバ革命軍の戦略・戦術 196706‥ 三一書房》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B000JA8EFY
     
    ── チェ・ゲバラ/平岡 緑・訳《新訳ゲバラ日記 200711‥ 中公文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4122049407
     
    …… われわれがゲリラを開始してから十一か月、十二時三〇分までは
    何事もなく、むしろ牧歌的に過ぎた……。
    ── チェ・ゲバラ/高橋 正・訳《ゲバラ日記 19690830-19901115 角川文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4043170017
     
     Che Guevara 19280614 Argentina Bulibiya 19671009 39 /銃殺/Rafael Guevara de la Serna
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19671009 革命指導者 ~ ゲリラ隊長ゲバラの最期 ~
    /籍=Guevara de la Serna, Ernesto Rafael 19280624(?)
    /19671008 ボリビア政府軍に逮捕
     
    …… チェ・ゲバラのカメラに対する情熱は知る人ぞ知るエピソードだ。
    彼は葉巻を愛し、写真という表現方法を愛した。もちろん、葉巻愛好家
    は他の分野にも惜しみない情熱をそそぐ。
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=20070313
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%A5%B2%A5%D0%A5%E9
     
    …… まだ遊撃戦的段階にあるあいだは、ゲリラ戦士の年齢は、最大限
    40歳をこえるべきではない。もっとも、農民のなかには、40歳をこえて
    も堅強な身体を持つ者もいる。(19670614 Bulibiya Diary)
    http://d.hatena.ne.jp/esu-kei/20080201/p2
     
     河上三兄弟 ~ Kawakami, Toshio Yuuzou Kazuo ~
     
     河上 敏雄 実業 1920‥‥ 東京 横浜 20020522 82 /元第一実業会長
    /肝がん/喪主は長男浩一
    https://mairi.me/-/1087450
     
     三好 徹  作家 19310107 東京   20210403 90 /籍=河上 雄三(和雄の兄)
    /Miyoshi, Tooru/ジャーナリスト、推理小説、スパイ小説、歴史小説
    ── ⦅聖少女 ⦆1967年下半期 196801‥ 直木賞⦅天使シリーズ⦆誤嚥性肺炎
    https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210406/k10012958981000.html
     |
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/search?idst=87518&key=%A5%B2%A5%D0%A5%E9
     
     河上 和雄 法学 19330426 東京   20150207 82 /81 元東京地検特捜部長
    /東京大学法学部、ハーバード大学卒/東京地検特捜部長・法務省矯正局長
    /最高検公判部長/弁護士/コメンテーター“ご意見バン”駿河台大学法科大学院教授
     
    http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=20070429
    blog.hatena.ne.jp へのリダイレクト回数が多すぎます
    http://linkis.com/d.hatena.ne.jp/adlib/ny1c8(20210406)
      
    ♀河上 □□ 前妻 19‥‥‥      2002‥‥ ? /脳出血/和雄の妻/旧姓=?
    ♀千葉 紘子 歌手 19441119 札幌  /2007‥‥ 河上 和雄の後妻/旧姓=?
    http://www.chibahiroko.com/
    https://twilog.org/awalibrary/search?word=%E6%B2%B3%E4%B8%8A%20%E5%92%8C%E9%9B%84&ao=a
     
    http://ln.is/d.hatena.ne.jp/adlib/ny1c8
     名々流転 ~ 昭和天皇記念日 ~
    https://tx696ditjpdl.blog.fc2.com/blog-entry-832.html(20070429)
     
    (20210406)三好徹 ゲバラ
     

  • キューバ革命の英雄チェ・ゲバラの伝記のような本。
    ちょい著者の思い入れが強すぎる気もしますが、チェ・ゲバラに対する予備知識の少ない僕にはなかなか勉強になりましたし、面白かったです。
    彼の青春時代と、いかにして革命思想に目覚め、カストロたちとともにキューバ革命の中心を担って行き、革命を成功へと導くか。バティスタ政権打倒後のキューバにおいて、一政治家として新たな闘いに奮闘する姿。帝国主義に徹底して反抗し、キューバを離れる決断をして書いた「別れの手紙」、そしてコンゴとボリビアでの革命蜂起の失敗、最期の瞬間まで、チェ・ゲバラという稀代の革命家の一生が大凡わかります。
    とことんまっすぐで正義感が強く、強い意志を持ち、勤勉で、冒険心に富み、博愛的であった、この本の中のゲバラはあまりに魅力的。
    少なからず著者の思い入れによる誇張はあるでしょうが、きっとゲバラ自身が書いている「理想のゲリラの姿」に一致するんでしょう。

    キューバ革命の闘いを書いた一冊としても面白いです。キューバに行く前に、読んでおいてよかったと思いました。

  •  キューバ革命の闘士というイメージで有名なゲバラの伝記。書かれたのはゲバラが死んで4年後の1971年というからリアルタイムに近く、時代の熱気がまだ残っている印象だ。この本は翻訳ではなく日本人である著者が自分で現地取材や関係者へのインタビューなどを行った上で執筆されたもの。そのためかゲバラが日本を訪問した際の行動は必要以上とも思われるほど詳細に書かれている。

     アルゼンチンの名家に生まれて医者になりながら、中南米を放浪して貧しい庶民の暮らしを体感し、闘争に人生を捧げた革命家(本書によれば革命家という肩書きは本人の意図するところではないようだが)。キューバが社会主義国になったため社会主義者と思われがちだが、基本的には反米活動家と言った方があっているようだ。

     すでに語り尽くされたことだが、キューバで革命を成功させ国家のNo.2の地位を手にしておきながら、あっさりとそれを捨ててボリビアのゲリラと合流し戦って命を落としたというその生き方は、ただひたすらかっこいいとしか言えない。

  • テレビで名前を聞いたことがあったので読んでみました。別に革命や共産主義に目覚めたわけではありません。

    革命とまではいきませんが、今の部署でこういう組織だったらいいなという構想はあります。今の身分では確実に叶えられそうにないと思っています。でも、今でも何かできることがあるのではないか、そう思わせてくれるような本でした。

    そういう思いを忘れないようするために、デスクトップのスクリーンセーバーをチェ・ゲバラの写真にでもしようかと思います。変な風に捉えられること必至だと思いますが。

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著者プロフィール

一九三一年東京生まれ。横浜国立大学経済学部を卒業後、読売新聞社を経て作家生活に。六七年『風塵地帯』で日本推理作家協会賞を、六八年「聖少女」で直木賞を受賞する。推理・サスペンス小説、スパイ小説、歴史小説、伝記小説など広範囲なジャンルで硬筆な筆をふるう。

「2019年 『ガラスの階段 特捜検事 新編集版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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