- Amazon.co.jp ・電子書籍 (475ページ)
感想・レビュー・書評
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日本の経営学者で世界で評価されている数少ない先生の名著です。ナレッジマネジメントというと、ITを使った暗黙知を形式知化するツールの話かと思う人もいるかもしれませんが、そうではありません。知識は暗黙知と形式知の間の絶え間ない変換によって創造され、その変換プロセスを「共同化(Socialization)」「表出化(Externalization)」「連結化(Combination)」「内面化(Internalization)」の4つの変換モードからなるとし、それをスパイラルアップして知識レベルが高まるとした「SECIモデル」を提唱しています。また、トップダウンでもなくボトムアップでもない、ミドルマネージャーが経営トップと第一線の現場を結び付けて成功に結びつける「ミドルアップダウン」も提唱しています。ちょっとアカデミック過ぎ?とも思いますが、野中先生は有名なのと、ナレッジマネジメントは知っておくべきと思うので、読んでみる価値は高いと思います。もっと簡単に野中理論を知りたいという方には、「知識経営のすすめ」(筑摩新書)というエッセンス的な本もありますので、そちらを。
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古き良き日本といった感じ。西洋哲学と日本文化の違いから導入するのはいかにも冗長的で本質とは離れているのではと感じるが、論文として説得力をもたせるための手段としては理解できる。
本書では日本企業のミドルマネージャーに焦点をあて、彼らの「暗黙知の共有化と形式知化」「トップビジョンの現実化」「プロジェクトの調整管理」機能こそが日本企業の強みだと分析している。
「ビジョンの浸透と実行」(ビジョナリーカンパニー)「ナレッジの共有と自己学習」(学習する組織)等、最近の経営学でも焦点の当てられる特徴を早くから取り上げており、先行研究として大変価値あるものである。一方のところ、なぜそれが「ミドル」なのかという研究が古い。日本の大企業で働く身としての主観にはなるが、ミドルに与えらる権限の範囲でこれらを実行しようとすると、根回しや調整ごとに時間がかかりすぎてビジネスとしてなりたたない。ビジネスモデルの変遷時に(外部との人材の交流がない前提で)「現場で認識」→「ミドルが把握、根回し」→「トップ層のビジョンの変更」→「ミドルによる解釈の変更」という過程を経ていては、そもそもビジネスがなくなるように思われる。ここが昨今の日本企業の弱さなのではないだろうか。 -
中間管理職こそ組織的知識構造の増幅機能を果たす
中間管理職、あまりいいイメージはありません。上から無茶を言われ、下から好き勝手なこと言われ、ただただ板挟みになっているようなイメージです。存在意義とは何だろか、と考えることもありますが、本書のように暗黙知と形式知の橋渡しを担うと言われると、少しは合点がいきました。
自分にはできるでしょうか。膨大な仕事に埋もれて存在意義を忘れないように、暗黙知と形式知の橋渡し、意識したいと思います。 -
事例が昭和。変わらんこともある気がするよ。
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20114/05/06
単行本¥2160→Kindle¥599