小さいおうち [DVD]

監督 : 山田洋次 
出演 : 松たか子  黒木華  片岡孝太郎 
  • 松竹
3.62
  • (45)
  • (178)
  • (157)
  • (17)
  • (2)
本棚登録 : 788
感想 : 173
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988105068957

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 原作のイメージ通り。
    ...って原作のほうは大分前に読んだけど、程よく忘れてて。
    ちゃんと楽しめた。
    松たか子の色気、黒木華の素朴さ、吉岡さんのランニングが激似合うところ、全部のキャストが良かった。

  • 奥様の気持ち タキの気持ち
    どちらも分かるから
    観ていて 切なくなる。
    どちらもやむなきことゆえに。

    晩年のタキの独白とも言えるノートは
    やはり誰かに赦しを乞いたかったのだろう。
    当時の奥様と同じ年代になりやがて越えていくその月日に若い時にはわからなかったものが輪郭を浮き立たせて迫り彼女を自責の念に苦しめたのだろう。

    松たか子が良い。
    慕う男が戦地に旅立つ直前の溢れ出す想い、心乱される機微が艶っぽい。貞淑な人妻であり、良き母の顔の内に潜むそれを自分でも抑えることは出来なかった。
    時代が戦争へとまっしぐらの先が見えないトンネルへ入りこんだ一家族の小さな物語。
    「はじめたものは いつか終わるものよ」そうタキに言い放った時子の表情が印象的だった。

  • ★~ お女中は見た! ~★

    いくら戦時中で
    若い男がいないとはいえ
    板倉でいいの?
    なんで?

    そんな魅力あるかなぁ?

    どうせなら

    時子とタキが
    貴重な若い男を奪い合い
    壮絶なバトルとなれば
    面白かったのになぁ~

    勝手に妄想

  • 山田洋次監督らしい安定した映画。

    役者が豪華で、皆キャラクターが活き活きしているのが良い。個人的には片岡孝太郎と松たか子が好きだった

    題名どおりの家庭がテーマというよりも、時子夫人と板倉の不倫恋愛が中心となっている。

    関係としては
    ①時子夫人、板倉
    ②話し手のタキ、大甥・健史
    ③女中タキ、時子夫人

    というのが大きな関係だと思うのだが、
    ①が物語のエンジンとなることで、
    原作の③の関係についてはあっさり。

    自分は原作は読んでいないけど、原作では
    ③の関係が一番重いテーマで、ちいさいおうちという
    家庭におさまる女性に憧れる部分が面白くなるのでは
    ないかと思い、重要な何かが映画では省略されてしまっているのではないかと思った。

    僕は、映画を見た後にタキは板倉が好きだったのでは?と思った。

    大甥・健史が子供の恭一に会いにいく最後の場面は、火曜サスペンスの犯人を明かすような展開にみえた。

    また、妻夫木の大学生が無理がある上に、とても平成の大学生とは思えない、おじいさんが想像する若者のような言葉づかいに、違和感。
    もちろん彼女もかなり古風。書店でスマホを取り出すまで、昭和の設定かなと思ってしまう感じ。

  • 名匠・山田洋次の82作目となる監督作で、第143回直木賞を受賞した中島京子の小説を映画化。昭和11年、田舎から出てきた純真な娘・布宮タキは、東京郊外に建つモダンな赤い三角屋根の小さな家で女中として働き始める。家の主人で玩具会社に勤める平井雅樹、その妻・時子、2人の5歳になる息子の恭一とともに穏やかな日々を送っていたある日、雅樹の部下で板倉正治という青年が現れ、時子の心が板倉へと傾いていく。それから60数年後、晩年のタキが大学ノートにつづった自叙伝を読んだタキの親類・荒井健史は、それまで秘められていた真実を知る。時子役を松たか子、晩年のタキを倍賞千恵子が演じた。若き日のタキに扮した黒木華は、第64回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(女優賞)に輝いた。黒木華さんは 純粋無垢でお手伝いさん役 セリフは殆どなく、存在感を消すような清楚な感じもピッタリでした。淡々ととした穏やかで 素敵なお家に住む人たちには 全く戦争の色を感じなかったが それが 余計悲しみに変わっていった。
    戦後の自分達は 戦争が起こっていた事実はあっても遠い事のように現実味を感じないが 戦前を戦後の視点で捉えて 晩年のタキの自叙伝によって知り得る。
    淡々とした映画なのに 何故かラストは泣けてしまった。

  • けっこう良い映画だと思うけど、前半最高で後半というか主人公の気持ちの描写の面で「ん?」と引っかかった点があって、他の人のレビューを読んでも「ん?」となる映画でした。(今回ちょっとだけネタバレに触れます)

    オマージュ元のバージニアリーバートン作『ちいさいおうち』は、子供の頃いや今も大大大好きな絵本で、何回も読みました。この映画(小説)と話は全く違いますが、家の周囲の状況(歴史上の出来事、戦争)は変わっても、家(の中の人の営み、生活)は変わらない…といった点が共通点かと。(ちなみに山田洋次監督の前作『東京家族』で蒼井優ちゃんが『ちいさいおうち』を手に取る伏線シーンあり)

    逆に絵本と全く違う点は、小さいおうちが最後にどうなるかです。この最大の違いがこの作品のメッセージ性なんじゃないかと思う。

    すごく良かったのは、妻夫木が戦後民主主義教育で育った中の歴史としてしか戦前戦中のことを知らないのに対して、大伯母のおばあちゃんが実際の生活、市民の目線ではそうではなかったんだよという話になってる点。これは方向性や状況は違うけど、『この世界の片隅に』なんかと近い。あちらは呉の田舎、こちらは東京山の手の金持ち。

    私が疑問に思ったのは主人公おばあちゃん倍賞千恵子、若い頃のタキちゃんは演技モンスターの黒木華ちゃんですが、この人はレズビアンじゃないの?という点。
    松たか子と吉岡秀隆との三角関係云々なんだけど、黒木華ちゃんが好きなのは吉岡くんじゃなくて松たか子の方じゃないの?と。
    これはもしかしたら私の方が読み違えてるのかもしれないけど、劇中だと吉岡くんが好きだって描写はなくて、松たか子の方にドキドキしてる描写はあったはずです。だからラストで、吉岡くんと黒木華に対して「あの二人はお似合いだったよ」って言われても、「ハァ?そのカップリングはなくね?」って思ってしまって、主人公の恋愛ものとしては乗れなかった。だいたい恭一くんって当時子供なので、同性愛的感情は理解できなかったのではと。
    劇中で黒木華ちゃんが身体接触を嫌がらないのは恭一くんと橋爪功で、このふたりは子供とおじいちゃんだから男性の性欲があまりないからです。逆に嫌なのは螢雪次朗さん。
    あと、途中で出てくる松たか子の親友、中嶋朋子、この人は劇中でもレズビアンっぽいんですが、原作だとタキちゃんに吉屋信子さんの文章を見せるらしい。吉屋信子さんもレズビアン。

    ということで、私はこの映画はレズビアンの恋愛映画だと思ったんですが、他の方のレビューではそう言ってる方があまりいなさそうなので「ん?」と。原作を読んだらもうちょっと理解できるのかも。

    最近の持論として、山田洋次監督は寅さんを殺したがってたんじゃねえの?と思ってるのと、この時期の山田作品は「死」を強く意識してるよなーと思う。倍賞千恵子さんは山田作品の唯一無二のヒロイン(マドンナに非ず!)ですが、この映画ではついに倍賞さんが死にますね。
    あと、山田監督って戦前戦中はずっと大陸にいた方なので、この頃の内地の生活って体験してないはずで、それがこの小説を映画化したかった動機なのかなと思いました。

    他の俳優さんだと、松たか子とブッキーの演技(というよりセリフ回し)はあんまり好きじゃなかった。黒木華ちゃんも現代劇だと恐ろしく上手いんだけど、『小さいおうち』『母と暮せば』あと『西郷どん』など訛りのあるキャラだとあんまり好きになれない。
    一番感動したのは米倉斉加年さんの晩年の演技が見られたこと。米倉さん、『男はつらいよ』シリーズだと準レギュラーでたまに出るんだけど、めちゃくちゃ面白いです。

    追記:レビューを書いたあと、外部サイトにて原作と比較してる方の批評を読んだらだいぶ理解できました。原作から改変しなかった方が山田監督らしかったのではないかというのと、改変したことで「家族」というテーマでは山田監督らしくなっています。
    個人的には改変したことで、映画版はダメになっていると感じました。

  • 直木賞作家、中島京子の同名小説を山田洋次監
    督が映画化した作品です。
    恋や嫉妬など登場人物の複雑な心情を繊細に描
    いています。大伯母のタキを看取った大学生の
    健史は、タキが残したノートを読み返します。
    それはかつてタキが赤い屋根ね平井家での日々
    を記した自叙伝だったのです。戦争の気配が迫
    るなか芽生えた奥方の秘めたる思いと、平井家
    を案じるゆえに犯したタキの小さな罪が60年
    の時を超えて明かされていきます。
    リアルな時代情景の美しさに引き込まれ男女間
    の秘密に揺れる心情や戦争の悲しさなどと相ま
    って、とても感情が揺さぶられた映画です。
    久石譲の音楽も素敵だと思いました。

  • 絵本と小説がモチーフになっていたとは知らなんだ。

    可愛らしいけど、どこか不穏な「おうち」の中を見たくて思い切って鑑賞。
    昭和モダン、帝都、中流家庭、女中は見た。大好きなキーワードが沢山飛び出すものの監督ならではなのか、派手な演出が皆無なのが良い味を出している。黒木華ちゃんの、純粋で気立ての良い女中役がまた見事にハマっており終始安心して観ることができた。(こんな子と友達になってみたい笑)
    こないだの「春の雪」やないけど、ここでも優しくて綺麗な日本語が使われとった。

    物語は後半「日本人みんなが不本意な選択を迫られていた」時代へと突入していく。
    そんな時代の中、出征する部下に「おうち」のご主人が「(国に対して)一番つまらない使い方だな。君に人殺しをさせるのは」と静かに放ったのが悲しく心に引っかかった。

  • タキちゃんの心中察するときついなあ。いつまでも小さいおうちに仕えていたかったと言っていたし奥様のそばにいられるだけで良かったはず。一方奥様を想えばこそ彼女の想いを遂げさせてあげたい気持ちもあった。でもそれだけの思いの丈があってもタキちゃんは終始出過ぎたことをせず女中に徹して、奥様の恋愛は自分が立ち入る領分でないことを弁えていたように見える。だからこそ最後の最後で(あの控えめなタキちゃんが!)出過ぎた行動をとったことが泣けてくる、ぐっとくる。一回こっきりの自分の願望を通そうとした行動が奥様を失意に追いやることになるなんてなあ。やるせない。

  • 当時原作を読んだときの感想はこちら:
    http://booklog.jp/users/fumix/archives/1/4163292306
    正直、当時どんな感想を残したのかすっかり忘れていた。
    観終わって、改めて前に記したものを読み返したら、
    やっぱり同じことを思っていた。
    それくらい、この作品の印象が大きかったのを思い出している。

    「山本五十六」以来、私たちが学び、そう思っていた「戦争」までの日々の印象が、
    根底から変わる作品のひとつ。
    「戦争」は決して突然始まったわけではなく、むしろ昭和の初めは豊かで、希望があり、
    人々は今と変わらない様子で生活していたことを、この作品で知ることになります。
    この物語は、あくまで女中として仕えた主人公タキが、奉公した先で起こる、ちょっとした
    人間模様の回想なんだけど、そこに「戦争」という重く時代を左右する出来事がひたひたと近づいてくる様子がたまらなく、
    戦中戦後を経て、生涯を通じてその秘密を背負い、生きてきたタキの姿。
    ラストの妻夫木くんの台詞と、晩年のタキを演じる倍賞千恵子さんの背中に、どうしても涙が堪えられませんでした。

    昨年観た「東京家族」が、自分にとっては本当に感動的で、自分の中で歴代に残る作品くらいの印象だったので、
    この作品がまた同じ山田洋次監督と知り、映画化が決まった時点ですごく気になっていた作品。
    決して派手さはないし、若い人にはとっつきにくいかもしれないけど、出演陣は間違いなく、去年観た「東京家族」組が
    また違った形で登場しているのが、私にはなじみやすくて印象的だった。
    おっと、ここでも橋爪功氏。今回も吉行和子さんが奥様ですか(今回はお元気そうで何より)
    板倉さんの役が吉岡くんだということは知ってたけど、まさか蛍も出てくると思ってなかったのでちょっと得した気分。
    ほんとにちょっとだけだったけど。
    去年「終戦のエンペラー」でとっても印象的だった片岡孝太郎(「こうたろう」と書いて「かたたろう」らしい。最近一発で名前が読めないのが自分に腹立たしい。)氏。昭和がとってもお似合いだと思った。古風と言うより、古きよき昭和の品格がある感じ。

    この作品を観ようと思ったのは他でもない、黒木華ちゃん(「はな」と書いて「はる」だと知って驚いたのは年末に観た舞台「semier」にて)が、若き日のタキを演じると知って。「東京オアシス」以来、とっても気になる役者さんだったので、この作品を観る前に舞台を拝見して、ますますその演技が気になる存在。初めの頃は蒼井優ちゃんに似ているなーと思っていたけど、今は唯一無二な存在です。ドラマ版「まほろ~」や「舟を編む」は全然違うキャラで、ほんとに幅が広くて、これからどれだけ引き出しが増えるんだろう。
    関西出身なはずなのに、東北訛りも上手で、吉岡くんと東北弁で話すシーンは、なぜか胸熱。きっと自分も北海道出身だからだろうか。

    華ちゃんもさることながら、松ちゃんが秀逸で、それにしてもこのふたりは本当に声がよくて、
    それだけでも気持ちがいいんだけど、華ちゃんはまだ若いのにほんとに実力派で、しかも松ちゃんが抜群の安定感だから、
    最後まで物語に引き込まれたまま観ることができた。
    晩年のタキを演じる倍賞千恵子はどうなんだろう・・・って思っていたけど、不思議なものでタキに見えるあたりがやはり役者さんなんだろうなあ。
    妻夫木くんは現代の子らしく、でも優しいよなーって。
    「東京家族」のときの印象でついつい観ている自分がいた。
    そういえばあのときの彼女役は蒼井優ちゃんだけど、かといってあの役を黒木華ちゃんかと言われたら、やっぱりあれは
    蒼井優ちゃんなんだよなあ・・・。

    ラストは映画で観たほうがすとんと胸に落ちた。
    板倉が描いた絵など。

    余談だが、昭和の雰囲気がほんとによくて、個人的にはカルピスの紙包みが印象的。
    こまかいところまで、丁寧に作られている印象。

    http://onionmovie.jugem.jp/

全173件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1931年大阪府生まれ。54年、東京大学法学部卒。同年、助監督として松竹入社。61年『二階の他人』で監督デビュー。69年『男はつらいよ』シリーズ開始。他に代表作として『家族』(70)、『幸福の黄色いハンカチ』(77)、『たそがれ清兵衛』(02)、『家族はつらいよ』(16)など。2012年に文化勲章を受章。

「2019年 『男はつらいよ お帰り 寅さん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×