鬼畜の家 榊原シリーズ (講談社文庫) [Kindle]

著者 :
  • 講談社
3.48
  • (3)
  • (8)
  • (10)
  • (1)
  • (1)
本棚登録 : 79
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (318ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 本当に鬼畜だな。家族まで巻き込むところが、もうどうしようもない。何かに取り憑かれたような感じなのか?

  • 正直「鬼畜の家」というタイトルは私には近づきたくないものを感じるのだが、以前はじめてこの作家さんの「敗者の告白」をツイッターですすめられて読んだときに「東大法学部卒→弁護士として活動したのち60歳で執筆活動を開始」というプロフィールで俄然興味が出て、ぜひほかの作品も読んでみたいと思っていた。今回の作品はそんな著者さんのデビュー作。

    開始早々「鬼畜」の名に恥じない(!?)鬼畜ぶり。ふつうの感覚では理解しがたい異常な家族。
    異常すぎてリアリティーがちょっと…という声もあるようだが、私は逆にそうは思えず妙にリアルだった。

    だって、ほら、実際の事件でもこの家族関係はどうなっていたんですか?と疑問しかわかないその家の住人たちの白骨が次々発見される薄ら寒い事件とかまれに起こって報道されるじゃないですか。
    この著者さんの弁護士時代にこういう事件にかかわりがあったのかどうかは知らないけれど、妙なリアルを感じながら読んでいた。そこはこの人の筆の力でもあり、実際に仕事を通してみてきたものの貯蓄のなせる技なのかもしれないと私には思える。

    そんな文句ない鬼畜ぶりが脈々とあぶりだされていくストーリーに私は胸糞悪い思いもしながら読んでいったが、最後の最後にえ~っ!と盤上を見事にひっくり返された。

    あとから考えれば、なるほど、ミステリなんだからこういう展開は大有りのはず。結局は私の苦手な嫌ミス部類なんだけれど、これは不思議と途中で読むのを放棄できなかった。どこかの感想で見かけたのだけれど「ちゃんとひねりの利いているイヤミス」と評している方がいて、たしかにその通りだと思ったし、そこがこの本の最大の魅力であることに違いなく、それを読まないのはもったいないと思う。

    ただ再三いうのだけれど「鬼畜」という名に恥じない鬼畜ぶりなので、読んでいて気持ちのいいものでは決してない。登場人物はこの家族もふくめ、かかわりを持った家族、人物までことごとく異常性を備えている。閉じられた家族という世界で想像しうる性的なことも含まれるので、そういうのがダメな方はこの本は敬遠することをお勧めする。

    私の子供がクラスメイトにこういう家族の子供がいると知ったら、ぜったにかかわるな、あの家の子とは遊んじゃダメというタイプだ。
    けっきょく類は類を呼ぶということかな。

    ====データベース===
    「おとうさんはおかあさんが殺しました。おねえさんもおかあさんが殺しました。おにいさんはおかあさんと死にました。わたしはおかあさんに殺されるところでした……」

    我が家の鬼畜は、母でした――。保険金目当てに次々と家族を手にかけていく母親。 巧妙な殺人計画、殺人教唆、資産の収奪…… 信じがたい「鬼畜の家」の実体が、唯一生き残った末娘の口から明らかに。母の異常犯罪とは!

    島田荘司選 第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞。
    島田荘司が見いだした、元・弁護師による衝撃のデビュー作。
    『衣更月家の一族』、『殺意の記憶』と続いていく榊原聡シリーズの第一作。
    デビュー後『衣更月家の一族』『螺旋の底」と毎年本格ミステリ大賞候補作となっているミステリー界の新星となった元弁護士。この著者だからこそ描けた、リアルかつ恐ろしい人間の欲望。そして驚愕の真相!

  • 面白かった!一気に読んでしまいました。
    ある女と3人の子供。
    彼らに関係のある様々な登場人物へのインタビュー形式なのですが、読むたびに新たな事実が判明していくので飽きずに読み進められました。
    まさに鬼畜の所業その内容だけでも驚きなのに、最後にとんでもないどんでん返しがあって、呆然としてしまいました。
    話は重いし残酷だし読後もイヤな気持ちが残るし…
    けれど、ぐいぐい読めてしまう。
    そんな不思議な魅力のある小説だと思いました。

  • ホラー系が好きなら読んでおいて損はない一冊だと思った。

    話の展開としては、メインが事情聴取形式で、まれに主人公視点の章が登場する形である。珍しい展開だなと感じていたが、実はこの展開の仕方にはある仕掛けが施されており、真実を知った時はかなりびっくりする。また、伏線もたくさん散りばめられており、終盤に訪れる伏線回収章では恐ろしさとともに、作者の術中にうまくはめられたという爽快感のようなものを感じた。

    話の内容としては、前半は読むのも辛いような鬼畜な内容である。欲に塗れた人間の、他人の尊厳が損なわれることを厭わない行為は、読んでいてかなり気持ちが悪かった。ここまでは「黒い家」の劣化版的な印象を受けてしまったが、進んでいくうちに印象はガラリと変わる。後半の、徐々に謎が明らかになっていく展開は、想像がつかないような事実へと読者を誘う。気になって一気読みしてしまった。

    最後に、著者の深木さんは60歳から執筆活動を始めたというのが衝撃である。なぜなら、伏線を上手に張り巡らせ、読者を騙す新進気鋭の若手作家の作品だと思っていたからである。感性がお若いのだろうと、尊敬の念を感じた。

  • こわーーーー。
    後半まさかのどんでん返しでぶったまげた。
    って、真犯人が思ってた人物ではなかったことじゃなくて、
    真犯人の恐ろしい程までの執念にぶったまげた。

    こういうのって女ならではって言うか、
    女の執着心ほど怖いものはないなーと思わせるストーリーだな。

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

みき・あきこ1947年東京生まれ。東京大学法学部卒。元弁護士。60歳を機に執筆活動を開始、2010年に『鬼畜の家』で島田荘司選第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞。『衣更月家の一族』『螺旋の底』が第13回・第14回本格ミステリ大賞にノミネート、『ミネルヴァの報復』が日本推理作家協会賞にノミネートされるなど、注目の作家。他の著書に、『敗者の告白』『殺意の構図』『交換殺人はいかが? じいじと樹来とミステリー』『猫には推理がよく似合う』『消人屋敷の殺人』『ミネルヴァの報復』『消えた断章』『罠』など多数。

「2023年 『欺瞞の殺意』 で使われていた紹介文から引用しています。」

深木章子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×