影響力の正体 説得のカラクリを心理学があばく [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  •  私たちは生活するうえで日々、さまざまなことを判断し、行動している。判断することはとても多く、すべてを意識的に行うことはできない。だからけっこう自動的に判断している部分ってあるんだけど、そのルールを利用すれば簡単に他人に操られてしまう、という話だ。

     そのルールとは恩義、整合性、社会的な証拠、好意、権威、希少性というもの。

     今読んでいるのはもう終盤で、権威について。

     ミルグラムという名前が出てきた段階で、昔、大学の授業でやったことを思い出した。俺、心理学科だからね。

     学習の実験と称して、教師と生徒にわかれ、生徒役が記憶力のテストで失敗すると教師役は電気ショックを流すように求められている。最初は微弱なショックなんだけど、失敗がかさむとどんどん強くなっていって、最後には失神するほどの強いショックになってしまう。

     教師役は、どこまでそのショックをあげていくか、という実験でね。

     生徒役の被験者が目の前でどんなに苦しんでいても、権威として実験者が求めると教師役の被験者はどこまでもショックをあげていく、という話だった。

     そのあたり、学校できいた話よりも詳しく説明されていて面白かったな。

     ちなみにこの実験。実は学習の研究ではなく、権威者に命令されたら人はどこまで従うのか、ということを検証したもの。電気ショックで苦しんでいる生徒役はサクラ。実は電気ショックは演技だけで、電流は流されちゃいないという話。

     それでも、のたうちまわる人を前にして、教師役は悩みつつもどんどん電流を強くして行ったという。

     権威の恐ろしさ、私たちを操作する強さを物語る話だ。

     気をつけよう。

     気をつけようもないのが、影響力というものかもしれないけど。

  • <感想>
    自分の意見を主張する時に「後ろめたさ」みいな感情が沸いてくる。思ったことを言って、自分の求める条件を提示し、相手と交渉するだけなのに、なぜこんなに引け目を感じて譲歩してしまうのか。自分の心理プロセスが理解できずにモヤモヤしてたタイミングで出会った一冊。
    自覚のなかった感情の波を見事に言語化してくれている。こういう深層意識は自覚するだけでもストレス度数が違ってくる。メンタル的にも助けになった。自己啓発やメンタル系の本を読むより効果があると思う。

    「共同体から外される」という妄想が恐怖を生み、恐怖が視野を狭めてしまうのだ。裏返せば、独りでも何とかできるという覚悟があれば惑わされなくなる。


    <アンダーライン>
    ●恩義(ゆずりあいに潜むワナ)
    ●整合性(心の中の邪鬼)
    ●社会的な証拠(わたしたちの真実)
    ●好意(人なつこい泥棒)
    ●権威(誘導される意志)
    ●希少性(少数派のルール)

    ・恩義のルールが一方的に押しつけてくる「借り」
    ・恩義のルールは不公平な取引を引き起こす
    ・誰かに借りがあることを、ほとんどの人はとても嫌がります。お返しをする、という行為は、この社会ではとても大事なことなので、借りがあると落ちつかなくなるように刷りこまれているからです。
    ★★★最初にだれかが親切にしてくれても、それに対するお返しをあっさり無視してしまえば、お返しが結ぶ1つのつながりを完全に断ち切ることになり、その人のほうでも、いずれ親切になどしてくれなくなってしまうでしょう。
    ★人は、いったん他者に対して態度を明確にすると、その態度を維持したいという気持ちが芽生えます。言動に矛盾のない人間に見られたいのです。
    ★人は、公表した自分の決断にこだわる
    ・このガソリンの本当の値段を知っているとして、このまま少し時間をさかのぼったら、また同じ選択をするだろうか?
    ・相手を言いくるめようと思ったら、何か証拠を提供するより、ほかの人の行動を説明するほうがはるかに効果的です
    ・すべての条件が同じ場合、人が応援するのは、自身と同じ性、同じ文化、同じ地元の選手です
    ★★もしダンのすすめる車を買うことにしたら、契約を交わしたあと、わたしたちが販売店の駐車場から運転していくのは「車」であって、ダンではないのです。
    ・この権威者は、本当に専門家なのか?
    ★何かを愛することは、それを失うかもしれないことに気づくこと。
    ・いったん手にした自由は、戦わずして手放されることはない、です。
    ★★要するに、喜びを感じるのは、珍しいものを経験することではなく、それを所有することにあるのです。

  • 心理学者ロバート•B•チャルディーニによって、人に影響を与える6つの要素を分かりやすく説明している本。
    6つの要素は、普段私達が意識せず使うこともあるような内容でした。意識して使えば仕事が捗りそうなので、ぜひ使ってみたい。

  • 人からYESを引き出すためのカラクリをいろんな事例や実験結果を用いてまとめた一冊

  • 2018/08/09
    何が作用するのか
    kindleにはこっちがあったのでこっち

  • 有名な心理学チャルディーニさんが書いた本。どうすれば人に影響を与えられるか?を書いています。同僚、先輩、後輩、クライアント全ての人に適応できます。本社にコンサルトで入っていた方の紹介で知りました。

    専門的=すごい
    人間性=すてき
    返報性=ありがたい
    一貫性=ぶれない
    厳格性=すまない

  • ちょっと古い版で、ざっと見たところ内容的にも一部省略されているようだが、第三版が紙の本しか出てないようなのでKindleで読むのであればこれしかない。

    「返報性、一貫性、社会的証明、好意、権威、希少性」という6つの力についても「恩義、整合性、社会的な証拠、好意、権威、希少性」と訳し直されている(「返報性」の方が「恩義」よりはいいと思うが)

    中心的なテーマとして、我々が「脳の負担軽減」のために半ば機械的に下している「イエス」という返答のうらに潜む心理学的なバイアスについて書かれている。カーネマンの「ファスト&スロー」がある今となってはやや古くなった観も否めないが、古典的な名著の一つではある。

    ・洋服屋ではセーターを先に売りたがるがこれは間違い。まず、高いスーツを売る。495ドルのスーツの後なら95ドルのセーターは高く感じない

    ・恩義
    試供品は昔から活用されてきた効果の高い販売方法
    「借りがある」という思いがあると、返報性の力は一層増す

    。整合性
    競馬でかけると、かけた馬が強そうに思えてくる。自分の行なった選択に対して首尾一貫すべしというプレッシャーに対抗するため、自分の決断は正しかったという態度をとる
    慈善事業への勧誘の電話の歳、普通に頼むと18%が同意するが、「今日の気分はいかがですか」と最初に聞くと120人中108人が肯定的な答え(元気、問題ない)を返し、そのうち32%が勧誘に同意した。(自分がよい状態にあると認めてしまうと、恵まれない人の力にならないことが気まずく感じられる)

    ・社会的な証拠
    われわれは他人と同じ行動をしていればそれが適切だと思い込みやすい。「自ら何かを創る人は5%で、残りの95%はそれを真似するだけなのですから、相手を言いくるめようと思ったら、何か証拠を提供するより、ほかの人の行動を説明するほうがはるかに効果的です」(カベット・ロバート)
    お笑い番組に挿入されている笑い声、チップの箱に入っている紙幣(皆、高額を入れると思わせる)、「売上ナンバーワン」などの宣伝文句(具体的にどこがよいかの説明はいらない。大勢がよいと思っていることが伝わればよい)、店の中には席に余裕があっても行列を作らせる

    ・好意
    相手に似ていることをアピールする。セールルマンはよく服装が同じ、妻の出身地が同じ、趣味が一緒、などアピールする。

    ・権威
    肩書や服装などに従ってしまいやすい
    深く考えないまま機械的に従ってしまう。権威からの情報が、ある状況下でどう行動すればいいかを決する便利な近道を教えてくれる


    ・希少性
    これが最後の一品です、などのセールストーク
    乳がんのパンフレットでは「毎月一回、たった五分チェックするだけで健康な体が得られる」というよりも、失われるものを強調したほうがよい「毎月一回、たった五分チェックしないせいで健康な体を失うかもしれません」の方が効果がある
    最初から希少な場合より、どんどん手にするのが難しくなってくるときのほうが欲望を募らせる結果になりやすい。間食をいつも注意している親のほうが子供にいうことをきかせやすい。その時の気分で注意すると、子供は既に手にした自由を失うように感じ、反抗的になる。
    希少性のプレッシャーを知ってもそれに抗うことは難しい。知ることは知性によるもので、希少性を前にした感情の反応に簡単に抑圧されてしまう。

    ジョン・スチュアート・ミルはこの世にある、知るべきことをすべて知っていた最後の人物とみなされている。ミルが亡くなった1873年というのじゃ重要な年号。現代社会では全体的な状況を十分に考えて分析するというぜいたくはほとんどでいない。頼りになる特徴一つにしか注意を向けなくなってきている。「イエス」を引き出すプロたちはこれを操作することで我々の判断を間違った方向に導こうとする

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著者プロフィール

Robert B. Cialdini|アリゾナ州立大学名誉教授、社会心理学者、Influence at Work社代表

「2020年 『ポケットブック 影響力の武器』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ロバート・B・チャルディーニの作品

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