タルト・タタンの夢 〈ビストロ・パ・マル〉 (創元推理文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • フランス伝統料理のタルト・タタンが題名にある。代表作なのだろう。そう思って読んだが、少し趣が違った。
    タルトタタンとアップルパイとは何が違うかが、気になる。気になる題名にはいつも興味を唆られる。
    リンゴが上に乗っている(焼くときは下だが)のがタルトタタン、リンゴがパイ生地で包まれているのがアップルパイといったところだ。
    その夢とはなんだろう?
    短編風七作が続いていくので、全部で一つの作品だ。料理の描写がリアルで、作り方や食べるプロセスでちょっとした謎解きを三舟シェフが行う。
    軽い感じの謎解きで、料理が好きな方は良いが、ミステリー好きには物足りないだろう。この組み合わせは時々目にするが、本作は平易な文章で読みやすかった。

    フランス料理店の名はパマル、フランス語で悪くないと言う意味らしい。控えめな感じが、この作風にもマッチしている。
    パマルに来る客たちの人間模様も上手く描かれている。

    七作の内、題名に食品や料理名が入っていないのは1つだけだ。タルトタタン以外では、仔牛の腎臓でクセのあるロニョンドボー、パイ生地でアーモンドクリームの焼き菓子ガレット・デ・ロワは王様のお菓子という意味らしい。フェーブは遊び心もあり楽しめそうだ。羊の乳で作ったチーズのオッソ・イラティ。ガレットは日曜日に食べたがデロワではなかった。豆を主としたシチューのカスレ。そして、チョコレート。
    読んでいると全部食べたくなってくる。ロニョンドボー以外だが・・・。

  • ビストロ・パ・マルシリーズ。
    フランス料理にまつわるミステリー短編集。
    お料理ウンチク系の小説は大好き。
    ヴァンショーを飲んでホッとしたくなるし、タルトタタンが食べたくなって買いに行ったりと、影響されまくりです。

  • 「ビストロ・パ・マル」というフランス田舎料理屋、パ・マルは、フランス語で「悪くない」という意味である。カウンター7席、テーブル5つ。そこのシェフが、三舟で、フランスの田舎のオーベルジュ(宿付きレストラン)やレストランを転々として修行してきた。無精髭を生やし、髪を後ろで束ねた無口なシェフ。フランスでは、三舟という名前から「おまえはあの三船敏郎の親戚なのか」と言われて、サムライとも呼ばれていた。副シェフ志村は、高級ホテルのメインダイニングで働いてきた正統派フレンチの料理人。ソムリエ金子、ギャルソン高築の四人のレストランでおこる物語。
    出てくる料理は、田舎風だったり家庭風だったり。フランス語で名前が出てくるので、イメージができないので、料理を調べながら読んで行く。それは、それで面白い。
    無口と言われるシェフは、お節介を焼いたり、料理のいわれを語る。そのことで、スッキリして、ヴァンショー(シナモン、スパイス入りのホットワイン)を飲む。そのヴァンショーは風邪の時に飲むというから、日本で言えばタマゴ酒みたいなもの。
    タルトタタン(リンゴのタルト)リンゴがバターでキャラメル状になって、リンゴの酸味とキャラメルのほろ苦さが、サクサクのタルトに載っている。それを家庭料理で出されて、下痢になった話から、ミフネシェフは推理するのだった。
    オオムギとホタテのスープで、生姜風味という体に優しい料理は食べてみたい。
    ムギを痒風にして食べるというのも、フランスの田舎料理。
    好き嫌いの激しい粕屋氏は、食べられるものよりも、食べられないものの方が多い。そこの家庭料理は、レバーは血抜きせず、サラダの玉ねぎは晒していないので辛い、里芋はぬめりをとっていない。
    愛情がないからだと思い込んでいたのだが。ロニョン・ド・ヴォーは、子牛の腎臓の料理。丁寧な下ごしらえがいる。
    ガレット・デ・ロワは、王様ゲームのようなもの。フランスでは、1月6日に食べるお菓子。
    オッソ・イラテイは羊のチーズ。それに黒いサクランボのジャムをつけて食べると美味しい。
    スイカに酒を入れて、酔っ払うことで、罠にかける。悪いヤツがいる。
    ガチョウのコンフィ(油に食材を浸してじっくりと煮る)で作ったカスレ(豆料理)には、別れたフランス人の恋人が作ってくれた。苦い思い出は、誤解だった。
    ノンブルプルミエ(素数)のチョコレート屋さんは、素数の数のチョコレートを売る。その理由は。
    ふーむ。料理を通じて、謎解きをする。本で読むと、やはり料理のイメージが生まれない。たどたどしい。ドラマでは、ミフネを西島秀俊がやっているので、シェフのイメージは随分と変わる。

  • 馴染みのないフランス料理がたくさん出てくる。シェフはともかく、語り部の男の子にあまり魅力を感じなかった。ワザとプライベートなエピソードを抜かしているのか、あんまり食べるのも好きそうでもないし。シリーズ化されているらしいので、そのうちに語られるのかしら。

  • シンプルだが奥深いコースディナー。

  • ビストロ・パ・マル、行ってみたい!高築君がいいね。料理名が何それ?って思いますが、話の中できちんと説明されているので、想像が出来ました。食べた事ないけどー

  • ミステリとあったので読みづらいのかなと思っていたが、人間模様が織りなす不可解な事件?を料理を通して解決していくという趣旨で大変楽しく読めた。
    悩みの種類が多様でタイトルの意味を考えながら読み進められて良かった。

  • 文藝に近藤さんの短編が出ていてそちらが面白かったので初めて作品を読んでみた。
    とにかく出てくるお料理が美味しそう。
    フランス料理がお好きなのかな?かなり専門的な部分まで突っ込んだ内容でした。
    推理小説なんですがハートフルな短編で読みやすかった!
    近所のビストロに行ってワイン飲みたくなった、飲めないけど。 

  • フランス料理の知識が全然なくて、想像も難しかったけど、美味しそうな雰囲気は十分分かりました。家庭料理ってことですが、フランス家庭料理ってすごいんですね。
    ストーリーは短編集で、ハートフル推理小説。
    ぶっきらぼうなシェフの、きらりと光る推理がテンポ良くまとめられていました。この作家さんの持ち味ですよね。

  • テレビ東京で放送されているドラマ「シェフは名探偵」の原作本。ドラマもおもしろいが、これはきっと原作の方がよさとうと思い、3冊まとめて買ってみた。
    フランス料理の専門用語がちらほら出て来て、厨房の裏側が垣間見えるところも面白い。
    さ、次も読もう!

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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