神狩り2 リッパー (徳間文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • いやあ、長かった。サクサク読めたので、思ったほどの時間かからなかったが、内容的にはこの1/4くらいの分量が適量な作品だった。しかも、あとがきで著者は、千六百枚を千百枚まで削って削って時間をかけて完成させた、と書いているから、もとの原稿は一体どんだけ冗長だったんだよってツッコミを入れたくなった。

    聖書を題材として、登場人物に色んな蘊蓄を語らせているし、脳のメカニズムについても科学用語を散りばめながらかなりのページを割いている。アイデア自体は面白いと思うのだが、とにかく説明長すぎ。内容も重複しまくり。

    ストーリー的には、神の正体を見極めようと挑み続ける異端者達の姿を描いている点で前作と同じだし(時間的には数十年後の話にっているし、前作は古代文字が、本作はリッパーが神に繋がるキーアイテムになっている)、神の正体を描かずに(描けずに)終わっている点で前作からの進展もみられない。そこを期待して読んだのに!

    本作の肝、リッパーについて、登場人物達は、「『神』に接触するのを可能たらしめるクオリア! 人をして『神』をありありと感じさせるクオリア! じつにそれこそがリッパーに他ならない。」「リッパーこそは「神遺伝子」の突然変異体を発現させる「感作」なのかもしれない。」「人間がリンゴを食べて『美味』というクオリアを得るように、アダムとイブはエデンの園のリッパーを食して『神』という禁断のクオリアを得た──『天使たち』というクオリアを得ることになった。」などと語らせているが、腑に落ちない。

    唯一面白かったのは、リッパーが作用して脳の処理能力が飛躍的に高まる部分の描写かな。スパコンの機能を拡張して再起動するような、かなり複雑なメカニズムがたったの数十ミリ秒で脳のなかに発動していくっていう描写は迫力あった。

    前作だけでやめときゃよかった。期待はずれな作品だった。

  • 30年前に書かれた前作からの続編。悪意に満ちた「神」を相手に戦いを挑む大人たちの物語。イェスが磷付にあったことやヒトラーがホロコーストに走った背景には「神」の暗躍があった。。的な分かりやすい中二病的設定が好きだった。
    少し設定が突飛で「?」なところもあったけど、ちゃんと現実と地続きな感じはあったし、ダイナミックな展開で飽きさせない楽しい物語だった。
    そして何より30年前に書かれた壮大なテーマに再挑戦する心意気が素敵。

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著者プロフィール

1950年生まれ。74年『神狩り』でデビュー。『地球・精神分析記録』『宝石泥棒』などで星雲賞、『最後の敵』で日本SF大賞、『ミステリ・オペラ』で本格ミステリ大賞、日本推理作家協会賞を受賞。SF、本格ミステリ、時代小説など、多ジャンルで活躍。

「2023年 『山田正紀・超絶ミステリコレクション#7 神曲法廷』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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