漫画貧乏 [Kindle]

著者 :
  • 佐藤漫画製作所
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感想・レビュー・書評

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  • 佐藤秀峰本人のWeb漫画サイト設立・独立までを綴ったエッセイ。かなり偏りのある情報なので話半分に聞く必要はありそうだけど、生々しい「漫画で食っていく」うえでのお金の話が多くて興味深かった。
    アートにおいて努力は作品価値とほぼ無関係だけど、漫画が出版社からの受注生産業である限り経費は負担してほしいよねという気持ちは分かる……、けど、どうしたらいいんだろうな

  • これもまたセールになっていたので購入。よく見たら、えらい古い本やった。2012年4月やから、6年くらい前か。

    漫画業界のブラックさはボチボチ知られてきているし、売れなかったときの悲惨さは『バクマン。』でも描かれている。まあ『バクマン。』は立身出世物語なので、売れない悲惨さの割合は少ないけど。

    でも、漫画は売れればデカイが売れないことのほうが遥かに多い世界。黒岩よしひろがブログで『原稿売りたし』という記事をアップしているのは記憶に新しい。黒岩よしひろと言えば、『鬼神童子ZENKI』のようなヒット作もあり、それなりに売れた作家でもある。それでもこれだよ。

    ・原稿売りたし
    https://www.hotpepper.jp/strJ001144833/course/

    これくらい、漫画業界は厳しいのだろう。一方で一発当たればデカイ。ワンピースの尾田栄一郎なんかはもう一生働かなくてもいいくらい稼いだだろうし、鳥山明も黙ってても金が転がり込んでくる。青山剛昌だって、仕事が趣味です、って言っても問題ないだろうなぁ。大当たりしたら「やりたいことをやるために仕事する」って感じになってる。

    非常にギャンブル的ではあるが、大当たりした人だけが外に出てくるので、憧れる人は憧れるのだろうね。

    その漫画業界のしんどさを赤裸々に語っている点で、本書の存在意義は大きい。こうやって主張することで変わっていくことは多々あるのだろう。

    こうやって主張して現状を変えていくのは、ヒットした人でないと言えないこと。ヒットさせないと主張すら出来ない。これはどの世界でも同じ。力のない人間に権利を主張することは出来ない。

    だからこそ、ヒットした人はもっともっと色んな所で声を上げてほしいし、もっとディスクローズして欲しい。それが漫画で大きな利益を得ている人の責務でもあると思う。

    漫画業界(だけじゃなくて出版業全体)が、今後は先細っていく可能性は高い。と言うか、二極化していくんじゃないかと。だからこそ、業界全体を持ち上げるためにもディスクロージャーは促進していかないといけないと思うし、それが出来るのはやっぱり今売れてる人、なんだよね。

    それをやるのは自分の立場を危うくすることでもあるので、無条件には難しいとは思うけど。それだけの力があるので、ぜひやって欲しい。

    で、本書に戻ろう。

    佐藤秀峰氏は新しいことに色々と取り組んでいる。本書もその一環なのだろうけど、気持ちは分かる。間違っていることは間違っている、正しいことは正しい、と言わないとメシも不味くなるタイプなのだろう。僕もそれに近いところはあるので、理解は出来る。ここまで実直じゃないけど。

    その分、生き辛いだろうな、とも思う。正直すぎて。これが全てではないだろうし、不倫による離婚などもやらかしてるし、氏のやっていること全てが正しいとも思わないけど、それでも本書やホリエモンの著書のゴーストライター問題とか海猿映像化問題とかも考えると、本当に正直な人なんだろうな、と。

    それだけに、生き辛いだろうし、敵もたくさん作るだろうなぁ。

    素直に書いているだけに、本書は非常に大きな価値がある。ぜひ他の漫画家も、こうやって内情をオープンにして欲しいと思う。

    そうだなぁ、出版社と揉めた漫画家としては、
    ・安西信行
    ・雷句誠
    ・一色登希彦
    あたりにぜひ(笑)あ、久米田康治も揉めてたっけ?他にも色々いそうだが、鳥山明や尾田栄一郎には、「売れる前と売れたときの出版社の対応の違い」なんかを語ってほしい。あ、青山剛昌なんかもそのへんは強そうだ(笑)

  • こんなに厳しいとは思っていなかった。漫画家ってのはすごい。

  • コミック

  • 出版業界裏話。
    ナナのリテラシーと通じるところもある感じだけど、もっと生々しい。
    何事も先駆けは叩かれるんだよね。日本は特に。

  • Kindle版が無料だったので、読みだしたら、一気読み。漫画の絵柄はあまり好きじゃなかったけど、「ブラックジャックによろしく」はおもしろかったことを覚えている。やりたいことをやり続けるために、真剣に考える。経営者感覚と紹介していたものがあったけど、まさにそうなんだろうなあ。

  •  佐藤秀峰は、性格に難のある狷介な人物という印象があった。
     本書を読んで、マンガの未来を真剣に憂えている人物だと、認識を新たにした。
     紙媒体のマンガ単行本は、将来的にLPレコードのようなコレクターズ・アイテムになるのではないか、という指摘に唸らされた。
     マンガ表現が滅びることはない。これは確かだ。
     しかし、旧来のマンガ出版は絶滅危惧種のようなものだろう。
     紙芝居から貸本劇画を経て、商業誌に遅咲きデビューした水木しげる先生の生き残りテクが、マンガ家たちに望まれる端境期。

  • 再読。新しいことをつくるのは人はこういう激しい人なんだろう。

  • おもしろかった!
    今まで(一発当てれば)夢の世界だと思っていた漫画家という職業も、経済という大きな歯車の1つでしかないということが分かった。
    意欲のある若者の才能を利用することでまわっていた世界(若者側もそれを良しとしていたのだが)が変わり始めているのだろう。
    漫画や雑誌はそれが顕著だが、他の業界もまったく一緒で、何かに依存せず自立していかないといけないのかと思った。
    サラリーマンの自分には耳が痛い。

  • 理不尽さや狡猾さが許せない純粋さはわかる。
    自由業は仕事依頼がないとどんなに有能でもそれまでなので、苦労は多そうだ。
    さくらももこが細かくて衝突が多かったとちびまる子のスタッフが書いてるのを読んだことがある。長谷川町子みたいに描くだけ描いて丸投げした方が生きやすい。
    でも、汚さを許せない真っ直ぐさ、自分の作品を愛している人は嫌いじゃない。
    才能溢れる人なのでウェブでも読みたい。

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