「知的野蛮人」になるための本棚 (PHP文庫) [Kindle]

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  • PHP研究所
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感想・レビュー・書評

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  • もう少し基本書の書名が挙げられていると考えて読んだ。少し、考えている内容と違っていた。この人のようにものを考えるには相当量の読書量が必要である。書名を上げながら少し引用して著者の考え方が書かれたもののように感じた。その考えが出てきた基本書のようなものを知りたかった。
    〇私から見て、一番の「本読み」は、松岡正剛氏です。それから、斎藤美奈子、鹿島茂、立花隆、佐高信の各氏。
    〇物語で、物事を理解する。
    〇本のど真ん中を開いて、何を確かめるのですか?時間が足りずに雑に作って出している本は、真ん中あたりに誤植が多い。それから、自分が知っている分野の固有名詞がでたらめな場合もダメ。
    〇「本は見た目じゃない、内容だよ」というのも 大嘘 です。
    〇難しい本を買えばいいのです。『世界十五大哲学』(PHP文庫)だったら、1週間はかかります。メルヴィルの『 白鯨』『立花隆の書棚』『松岡正剛の書棚』
    〇理解できないことが生じた時に「誰かが説得してくれる」と無意識のうちに思って、自分の頭で考えることをやめてしまうのが「順応の気構え」だ。
    〇ひとりの人間の能力や経験には限界がある。この限界を突破するためには、他人の知識や経験から学ぶことが重要である。そのためにもっとも効果的な方法が読書だ。
    〇『ぼくらの頭脳の鍛え方──必読の教養書400』『イケズの 構造』『暗い絵・顔の中の赤い月』
    〇東大、京大、早稲田、慶應などの偏差値の高い大学を卒業した人で、いつまでも出身大学にこだわるのは現在の職場で自分の場所を見つけられない「劣位集団」に属しているから、というのが私がこれまでみてきた経験則。
    〇「学歴ロンダリング」などという思想(哲学)的に貧困な事柄にエネルギーを費やすより、実力をつけ、ほんとうの友達をつくる努力を、今いる場所でしたほうがいい。
    〇学生の本分は勉強である。そのことについて、きちんと語ることができないにもかかわらず、趣味である課外活動についてアピールするという姿勢自体が、職業記者としての資質に反する。
    〇① 取 違 孝昭『詐欺の心理学』(講談社ブルーバックス、1996年)②高木彬光『白昼の死角 新装版』(光文社文庫、2005年)
    注意深くその意図や意味を問い直すことである。難しいことだが、だまそうとする人から逃れる方法はそれしかない〉
    〇①藤本佳久『例題と演習で学ぶ──文系のための数学入門』(学術図書出版社、2009年) ②ゲーデル/著 林晋、八杉満利子/訳・解説『不完全性定理』(岩波文庫、2006年)
    〇杉浦日向子とソ連/編著『もっとソバ屋で憩う──きっと満足123店』(新潮文庫、2002年)ソバの世界について学ぶと、サラリーパーソンが自らの能力を向上させるヒントをつかむことができる。
    〇青井博幸『ビールの教科書』(講談社選書メチエ、2003年)千 野 栄一『ビールと古本のプラハ』(白水Uブックス、1997年)
    〇基本的にこの助言は正しい。男女に関係なく、嫌がることを強要する人は好かれないからだ。
    〇職場でも草食系と思われていた人が管理職になると極端に高圧的になったり、部下をねちねちいじめたりすることがあるが、それは、他者攻撃に際しての抑制機能を欠いているからだ。
    〇〈まず、男性の魅力は、経済力とコミュニケーション能力です。男性の魅力として経済力が重視されるのは、今でも、結婚したら収入の大部分は男性に頼ろうという従来型の意識をもつ女性がメジャーだということでしょう。男性自身にもその意識は高く、男女とも約七割がそう考えています。当然だと思うかもしれませんが、欧米では1、2割にすぎませんから、日本特有な状況だといえるかもしれません〉〈次に、コミュニケーション能力の問題ですが、先ほどお話ししたように、これについては、恋愛経験の多い男性と少ない男性の間の格差が広がっています。というのも、今もまだ、昔と同様、声をかけてリードするのは男性から、というのが根強く残っているからです。となると、声のかけ方、誘い方、外見の気にし方などが重要で、これらはいずれも経験値がものを言う。手慣れた人ほどもてるわけです。で、経験のない人は、経験がないことで、ますますもてなくなるのです〉
    〇率直に言うが、映画による感動には危険な面がある。このことを、ホルクハイマー、アドルノ/著 徳永恂/訳『啓蒙の弁証法──哲学的断想』(岩波文庫、2007年)を導きの糸に考えてみたい。少し難しい本だが、映画、テレビなど映像メディアの危険性について論じた古典なので、この機会に目を通してみよう。
    〇政治や歴史については、専門書をひもとき、質の高い知識を身につけることが求められる。
    〇優れた文学作品は複数の読み方ができる。『1Q84』は推理小説として、あるいは恋愛小説として読むこともできる。私は思想小説として読んだ。
    〇津村記久子『ポトスライムの舟』(講談社文庫、2011)
    天童荒太『悼む人』(上・下巻 文春文庫、2011年)、
    〇松本清張『随筆 黒い手帖』(中公文庫、2005年) と ②松本清張『昭和史発掘』(全9巻 文春文庫、2005 )は、清張が作品をつくるコツについて述べた本だ。メモの技法、発想法についても参考になる内容が多い。
    〇私は、小説はあくまでも娯楽であると考える。現実の歴史を小説によって理解しようとすることはきわめて危険である。司馬文学は素晴らしいので大いに読むべきだ。しかし、司馬史観はあくまでも物語の世界の話と考え、現実と混同しないことが重要と考える。
    〇太宰治の作品では、 ①『走れメロス』(『走れメロス・おしゃれ童子』所収、集英社文庫、1999年) と、 ②『思い出』(『晩年』所収、新潮文庫、2005年) をあわせて読んでみると面白い。
    〇秋山 虔/編『シグマベスト理解しやすい古文新装版』(文英堂、2008年)、② 市 古 貞次/校訂・訳『日本の古典をよむ⑬ 平家物語』(小学館、2007 )
    〇ヘーゲル/著 長谷川宏/訳『歴史哲学講義』(上・下巻 )冲方 丁『天地明察』(上・下巻 角川文庫、2012年)
    回想録を読むことは、その著者の人生を読者がそのまま体験するようなものだ。回想録を読む際の注意についてヘーゲルはこう記す。 〈回想録の作者は高い地位についていなければならない。上にたってはじめて、ものごとを公平に万遍なく見わたせるので、下の小さい窓口から見あげていては、事実の全体はとらえられないのです〉(①上巻・15 頁)  最近は普通の人の歴史を描いた民衆史がブームだ。しかし、歴史的事件のプレイヤーだった高い地位についていた人の回想録を読まないと歴史の本質的な流れをつかむことができない。
    〇ヨゼフ・ピーパー/著 稲垣良典/訳『余暇と祝祭』(講談社学術文庫、1988)
    宇野弘蔵『経済学の効用』(東京大学出版会、1972年) は対談本なので比較的わかりやすい。
    〇北海道大学大学院の山口二郎教授が編集・著述した、 ①『札幌時計台レッスン 政治を語る言葉』(七つ森書館、2008年) は、レベルが高くかつわかりやすい良い本だ。
    『セメント樽の中の手紙』(角川文庫、2008年) が傑作だ。
    〇マックス・ヴェーバー/著 脇圭平/訳『職業としての政治』(岩波文庫、1980年) と、小牧ひろし『代議士は毎日何をしているのか──代議士諸君の生態学』(草思社、1983)
    ある国の政治家の水準が当該国民の平均から 著しく乖離することはない。
    〇大橋武夫/解説『統帥綱領』(建帛社、1972年)松下幸之助/述 松下政経塾/編『リーダーになる人に知っておいてほしいこと』(PHP研究所、2009年)
    〈軍隊志気の消長は指揮官の威徳にかかる。いやしくも将に将たるものは高邁なる品性、公明なる資質および無限の包容力をそなえ、堅確なる意志、卓越せる識見および非凡なる洞察力により、衆望帰向の中枢、全軍仰慕の中心たらざるべからず。かくのごとくにして初めて軍隊の志気を作興し、これをしてよく万難を排し、艱苦を凌ぎ、不撓不屈、敵に殺到せしむるを得べし〉〈高級司令官は予めよく部下の識能および性格を鑑別して、適材を適所に配置し、たとい能力秀でざる者といえども、必ずこれに任所を得しめ、もってその全能力を発揮せしむること肝要なり。賞罰はもとより厳明なるを要すといえども、みだりに部下の過誤を責めず、適時これに樹功の機会を与え、もってその溌剌たる意気を振起せしむるを要す〉
    〇中谷巌『資本主義はなぜ自壊したのか──「日本」再生への提言』(集英社文庫、2011)
    トクヴィル/著 松本礼二/訳『アメリカのデモクラシー』(第1巻〈上・下〉、第2巻〈上・下〉 岩波文庫、2005・2008年)
    「イスラエルを地図上から抹消する」という目標を、イラン、ヒズボラ、アルカイダ、ハマスは 執拗 に追求している。
    〇田辺寿夫、根本敬『ビルマ軍事政権とアウンサンスーチー』(角川oneテーマ 21、2003年)
    〇白戸圭一『ルポ 資源大陸アフリカ──暴力が結ぶ貧困と繁栄』(朝日文庫、2012年)
    グレアム・グリーン/著 加賀山卓朗/訳『ヒューマン・ファクター』(ハヤカワepi文庫、2006年)
    〇エンゲルス/編  向坂逸郎/訳『マルクス 資本論』(全9巻 岩波文庫、1969・1970年) と、その入門書フランシス・ウィーン/著 中山元/訳『マルクスの「資本論」』(ポプラ社、2007年) を紹介する。
    世界の名著と呼ばれるようなテキストは複数の読み方が可能なのである。だから、自分の読み方をきちんと決めておかないと『資本論』を理解することはできないのである。
    秘密情報のほとんどが公開情報から得られるというのは真実だ。もっとも無数の公開情報は、文字どおり 玉石混淆だ。公開情報から、有益な情報(それには国家が秘密にしているものが少なからずある)を選び出すコツがある。偽情報や、いいかげんな情報を排除することだ。そのために重要なのは、常識を身につけることである。
    〇読書習慣のついていない人は、最底辺にいくことになってしまう。1回プリントアウトして、紙を使って推敲する。それからメールを打つ、という習慣をつけるだけで、だいぶ表現力が変わる。すると、読解力も必ず鋭敏になります。いいのは、古本屋で安い全集本を買って読むことです。文学だったら、世界の文学、日本の文学、歴史なら世界史と日本史。文章がしっかりしているものをある程度の量、読まなければいけません。全集として長年生き残っている作品は、文章がしっかりしています。

  • インテリジェンスのプロは雑だんお中d、え相手の情報がどの程度精確かについてさりげなくチェックする。
    ネットばかり見ていると馬鹿になる。スマホばかり使っていると、ネットで使われている言葉g、話ことばだから。ネットでは瞬時に反応するので、話ことばでものを書くようになる。書き言葉の能力が衰えれば、読解力は当然衰える。ネットの影響をいかに立つのかが、今後の重要で新しい論点になる。

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    2021/10/4〜10/7

    週刊プレイボーイに連載されていた佐藤流読書術。1つのテーマにつき2冊の本を取り上げ、その背景などを解説。いつもながら、私とは全く違う本の読み方(深い!!)で参考になる。

  • 週刊プレイボーイでの連載を再構築したもの。57のテーマに関して、毎回2冊の本を取り上げて関連づけながら論じる。テーマは大きく3つのカテゴリに分類され、「人生を豊かにする書棚」「日本という国がわかる書棚」「世界情勢がわかる書棚」となっている。

    人はみな野蛮人で、そこから抜け出すことはできないけれど知的な野蛮人にはなれる、知識をつけるためには読書を置いて他はない、というのが根底。

    テーマが幅広く、著者の博識さには感心するが、いまいち深く刺さってくるものはなかった。結局自分が読書に求めていることと、本書が謳っている読書が別物だからだろう。あるいは元々が単発の連載だからか、おそらくその両方。

  • 白昼の死角 高木
    詐欺の心理学 ブルーバックス
    ぼくのマンガ人生 手塚治虫 岩波新書
    ポストライムの舟
    利休にたずねよ
    世界十五大哲学

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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