苦海浄土 わが水俣病 (講談社文庫) [Kindle]

著者 : 石牟礼道子
  • 講談社 (1972年12月15日発売)
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  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (212ページ)

苦海浄土 わが水俣病 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • きっかけは新聞で著者の訃報を知り、一度は読んでおきたいと思った。

    てっきり、聞き書きの記録なのだと思っていたが、違うらしい。

    でも、文中からは生々しいくらいに、患者の苦痛が伝わる。方言が一読しただけでは理解できず、読むのが大変だった。

    公害についての知識は、小中学校の時の社会科で習ったが、いつどこで何があったか程度。
    資料集に掲載されていた患者の写真のページを開くのが怖かったのを覚えている。

    手先のしびれから徐々に全体に広がり、歩けなくなり、話せなくなり、動けなくなる。

    自身がなる人。
    身内がなった人。
    それを差別する人。
    ことを起こした会社側の人。
    それぞれの思いが、見える。

    こんな恐ろしいことが身近に起こったのかと、ゾッとした。

    おとなのいのち十万円
    こどものいのち三万円
    死者のいのちは三十万

    会社側から水俣病における死者に対する弔慰金だ。

    人の命は 何にも変えられない。
    ただいつも通りに暮らしてた 幸せな日々が
    突然 反転したことに 呆然とし、嘆き、怒り、受け止め、立ち向かった人々がいたということを、忘れてはいけないと思った。

  • 水俣病患者とその家族の肉声を綴ったルポタージュ…と思っていたら、聞き書きではないことをあとがきで知って愕然とした。坂上ゆき女をはじめ、剥き出しの人間性、凄惨で地獄のような現実、やり場のない哀しさ、切なさ、美しさの織り成す独特の世界でした。

  • これは一編の叙事詩。長年知りながら読まないで来たことが恥ずかしい。

  • 圧倒的だった。

    「文学」にしかできないものがあることを知った。詩的な表現で描かれる近代以前の暮らしと自然。そして、牙を剥いて襲いかかってくる化け物のような近代。

    世界中の人々に薦めたい。

  • 方言が多く、イマイチ理解し辛かったです。

  • 済的には裕福でなくても、新鮮な魚を豊富に食べ、近隣の人たちともつながって、豊かでそれなりに楽しく暮らしていた人びとを、突如として不可解で残酷な病いが襲う。しかも公害という人災だ。メルトダウン後のフクシマも同じではないか。

  • 方言が多用されており、詩のようなリズムと、生身の人間の生を描いたリアリズムがある。が、読みづらい。2巻、3巻と続くようだか、これ以上読む気にはなれない。

  • -2016.2.14
    星五つは全ての人に勧める本、といふ基準で付けてゐるので、これも五つ。ただ、多くの人達からの聞き書きやルポルタージュが相互の関係を明示せずに並んでゐるので、編集前のやうな印象を受けた。意図的なものかも知れないが。
    熊本の漁師の豊かな自然に恵まれた生活と、水俣病に侵された後の暮らしとの対比が痛ましい。責任を認めようとしない政府や企業の姿勢や、水俣市民と被害者との対立など、今日の日本でも良く似た構図が繰り返されてゐる。
    少数の犠牲によりその他大勢が「豊か」になることは倫理的に許されない。ただ、世の中を動かすためには、倫理に訴へるだけではなく、さうした「豊かさ」は構造的な弱さを持つてをり、やがてその他大勢にも同じやうな被害が及ぶことを分かり易く示すことも大切だらう。地球温暖化は、さうした問題の一例だ。

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