銭形平次捕物控 001 金色の処女 [Kindle]

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  • 2014年6月11日発売
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  • 昭和のテレビ時代劇といえば「水戸黄門」に「暴れん坊将軍」、「大岡越前」、「桃太郎侍」、「大江戸捜査網」、「必殺仕事人シリーズ」と数々あるが、「銭形平次」は1人の役者(大川橋蔵)が主役を務めたドラマとしては、888話という世界最多の話数を誇る。18年に渡って、年間50数話を放送し続けたというから、ほぼ休みなしに毎週放送があったということだろう。岡っ引の親分、平次の活躍を描く捕物帖である。
    大川の水際立った美男ぶりに、舟木一夫が歌う「男だったら一つにかける」の主題歌、そして最後は平次が投げ銭で鮮やかに悪者を掴まえる、比較的爽やか系のドラマだったように記憶しているのだが(何分、筆者も幼かったので今一つ記憶が定かでないw)、いやいやどうして、原作はなかなか大人の雰囲気である。

    本作は平次の最初の手柄話という設定で、後に平次の女房になるお静もまだ嫁ぐ前である。1931年初出。その後、第二次大戦を挟んで、57年までに383編が発表されている。
    時は家光の治世。南町奉行与力筆頭の笹野新三郎に呼び出された平次は、内密の命を受ける。先ごろ、上様が雑司ヶ谷の鷹狩に出かけた際、騒ぎがあった。何者かが将軍に向けて矢を射たのだ。幸い、上様には当たらなかったが、矢じりには猛毒が塗られていた。その曲者も見つからぬのに、上様はまた雑司ヶ谷に出かけたいとの仰せだ。どうやら鷹狩自体よりも、途中で立ち寄る薬園を預かる本草家の美しい娘にご執心の様子。誰が止めても聞かないので、明後日に鷹狩を行うことになったが、それまでに曲者を捉えてほしい、と。
    請け負った平次は、どうもその薬園が怪しいと睨む。薬園には忍び込めなかったが、関わりの深い化粧品屋に目星をつける。何とか探りを入れようと、互いに憎からず思うお静に、その店に買い物に行き、様子を見てきてほしいと頼む。
    ところがお静はその店で囚われてしまう。そういえば昨今、美しい娘ばかりがかどわかされ、数日後に殺されて発見される事件が相次いでいた。おかしなことに、皆、身体に金箔を置かれた痕跡があった。
    さては。お静の身を案じる平次。
    果たして、上様襲撃事件と娘誘拐事件の関連は。平次は無事にお静を救い出すことができるのか。上様を狙った下手人は捕まるのか。

    事件の展開はやや無理筋で、いや、そんなことあるかいな、とツッコミどころは多々ありそうではある。だが、ですます調の滔々とした語りは心地よく、何となく流れに乗せられて気持ちよく読み終えてしまう。
    黒魔術風のおどろおどろしい場面、絶体絶命のピンチを鮮やかに切り抜ける平次など、見せ場も多い。
    「彌造(やぞう:着物の中で握りこぶしをつくり、その手を胸のあたりに置いて、着物を突き上げるようにしたさまを人名のように表わした語(コトバンク))」、「酉の刻(午後5時~7時)」といった時代がかった言葉が使われるかと思えば、「感興」に「インスピレーション」、「繊弱」に「デリケート」とルビが振ってあってモダンな印象も残す。
    江戸を舞台にしながら、どことなくファンタジックな野村・平次ワールドである。

  •  
    ── 野村 胡堂《銭形平次捕物控 001 金色の処女 20140611 Kindle》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B00KXMH30A
     
    (20180530)(20180627)
     

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