物語 イスラエルの歴史 アブラハムから中東戦争まで (中公新書) [Kindle]
- 中央公論新社 (2008年1月25日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (398ページ)
感想・レビュー・書評
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高橋正男「物語 イスラエルの歴史」中公新書
旧約聖書の物語やそれがどれだけ歴史性を持つのかの考古学的考察から始まり、より歴史的に明らかなバビロン捕囚、ヘレニズム時代、イエスの時代、ローマ帝政下でのユダヤ人離散、イスラムの勃興、十字軍時代、アイユーブ朝、オスマン帝国時代を経て、第一次世界大戦以降のユダヤ人帰還運動、イスラエル建国以降のアラブとの紛争までの長い長い歴史が描かれている。第一次大戦以前からユダヤ人のパレスチナ帰還運動が始まっていた。大戦時のイギリスは戦争を有利に運ぶためアラブにもユダヤにもフランスにも空手形を連発していたが、その後のイギリスは委任統治領パレスチナを経営するなかでユダヤ人ホームランド建設とアラブ人の対立をどう解決するかについては地道に模索し続けていた。イスラエル建国後については相当端折った記述になっている。なお、著者がイスラエルの大学院で学んだことも関係しているのか、やや視点がユダヤ・イスラエル寄りのようにも感じる。著者自身は欧米視点でなく地元中東社会の観点から記述したと言っている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルにある「物語」と言うには、読みづらい書かれ方ではあった。
・人名等に対する注釈が本文中に、それも物によってはかなりの長さで差し込まれていること
・所によっては内容が時系列になっていないところがあったこと
が理由
イスラエルの近現代の状況の大まかな理解と、そこに至る歴史を知るにはいい本だと思う -
今日はバルフォア宣言からちょうど100年ですね。あの不安定な地域に平和が訪れる日は来るのでしょうか。民族自決でいう民族の定義って何でしょう。そんなことを考えた読書でした。