TUGUMI (中公文庫) [Kindle]

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  • 中央公論新社
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感想・レビュー・書評

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  • 若かりし日に流行った本で、当時は「吉本ばななね」程度の認識だったが、改めて読むと確かにすごい。生き生きと情景が浮かぶ文章が美しい。登場人物がどれも魅力的。あっという間に読みきった。ただ今の年齢で読んだからこそ、感じた感動はある。

  • つぐみの一挙手一投足に魅了される。一見突飛に見える行動も裏付けがあり、つぐみらしく納得する。いつ死ぬかわからず、後悔がないように、素直に、思うがままな、死ぬ覚悟を持っているからこその言動。悪意がない暴言も、プロレスやお笑いからも感じる、楽しむ、盛り上げるための方便のよう。もちろんそれはつぐみ自身のためではあるが、真意を理解したまりあは、つぐみがかけがえのない存在になっている。動物は裏切らない、腑に落ちました。

  • 夏に読みたくなる話。この作品の好きな所はつぐみが死ななかったこと、「今までのつぐみ」が死んだこと、そして最後まで「つぐみ」らしさがあったこと。病弱な少女の話ってどうしても死ぬエンディングが多いような気がするんだけど、この作品はそこが焦点ではないし、はじまりから結末まで全て・・・というか作品自体が「つぐみ」らしいなと感じた。

  • ある夏、共に過ごした少年少女の青春のお話を、どの角度から味わうのかは読者に委ねられていると思う。僕は奇跡的な友情ーー人生で一人出会えれば僥倖と思えるほどの親友に出会えたふたりの強靭で美麗な友情関係にこそ感動を覚えた。相変わらず文体に栄養が詰まってる。

  • 情景の描写が美しく、読み進めるにつれ自分の頭の中の世界に色がつくような感覚は初めてだった。
    つぐみの表現しがたい愛らしさや強さは惹きつけるものがあったし、彼女らの過ごしたあの夏は私にも別の形で確かにあり、なんだか懐かしく恋しく感じた。
    "あの頃"を思い出したい日に読む一冊。

  • 素直で真っ直ぐな主人公に憧れた。
    寂れた海辺の町で、孤独とキラキラが入り混じる。
    久しぶりに授業で取り上げてみたくなった。

  • はるか昔に忘れ去った感情を思い出させてくれる一冊。
    お化けのポスト
    春と山本家の姉妹
    人生
    よそ者
    夜のせい
    告白
    父と泳ぐ
    祭り
    怒り

    面影
    つぐみからの手紙
    の12章。

  • 中学生の頃かな、もしかしたら初めて読んだ、子ども向けじゃない小説かも。瑞々しい頃に読んだ、瑞々しい物語というのはやはり特別で。読まないからもう手放そうかと思いつつ、なんだか手放せない(1回手放して、また買ったことがある)。家族の多様さを初めて知ったのもこれかも

  • 中学生の時から繰り返し読んでいる本。特に吉本ばななさんの大ファンと言うわけではないけれど、この本は大好き。もう戻らないひと夏の思い出を描いた透明な物語。あわよくば3人の中に混じって一緒に夏を過ごしたい。

  • つぐみの強い生き方に、感動した。

    権五郎が殺されたことに怒り、穴を掘ってチンピラの1人を埋めたところがグッと来た。

    自分の大切な人が大切にしているものを傷つけられて、真剣に怒れる人は素敵だと感じた。

    病気という不利な側面を持つのに、まるで気にしていないかのように、弱音を全く吐かずに、正しいことをズバリと言える性格がとてもかっこよかった。

    つぐみと恭一の、お互いの価値観を理解し合っている感じや、信用し合ってるからこその会話などが素敵だった。

  • 遅ればせながら、初めて読んだ作品『キッチン』が面白かった、吉本ばなな。
    https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/B00FXNL4BS
     
    勢いに乗って、初期の作品と思われるこの長編小説を、読むことにしました。
     
    語り手は女子大学生の「まりあ」。
    彼女がいとこの女の子「つぐみ」と一緒に暮らした日々を、一人称で回想するシーンから始まります。
     
    海辺の旅館を営む夫妻のもと、二人姉妹の妹として生まれた、つぐみ。
    その母の姉である、まりあの母は、訳あって旅館に住んでおり、まりあは従姉妹であるつぐみ、そしてその姉「陽子」と、三人姉妹のように育ちます。
     
    美少女でありながら、生まれつき身体が弱かった、つぐみ。
    それでいながら、それがゆえに、ひねくれて攻撃的な性格。
    逆に、おおらかな陽子と、思いやりのあるまりあ。
     
    東京で暮らす大学生となったまりあは、生まれ育った旅館がなくなってしまうと知り、帰省します。
     
    旅館の「最後の夏」をともに過ごす、三人の女子たちの日々が描かれていきます。
     
    身体は弱いながらも、強烈な生命力を放つ、つぐみ。
    彼女の行動に翻弄されながらも、つぐみをいたわり思いやる、陽子とまりあ。
     
    夏の海が頭に浮かぶような、空気、音、においの表現。
     
    痛快、切なさ、愛しさ、みずみずしさ。
    一言ではあらわせない、複雑な感情を、味わうことができました。
     
    作者にとってはじめての長編小説だったということですが、あやうさを感じさせない構成と文章力で、今回もいっきに、読み進めてしまいました。
     
    またもや、この作家さんの作品世界に、魅了されました。
    電子書籍版が発売されている作品を中心に、今後も読み進めていきたいと思います。
     
     .

  • つぐみのギラギラした瞳や細い体が読んでいるとき何度も目に浮かぶ。
    人は変わってゆく。つぐみは、自分はそれを望めないのが怖かったのかな。
    弱い体の中のつぐみはの魂は熱く、やることはとんでもないけど、優しい文章に人物にかこまれ、まりあ、陽子ちゃん、恭一、また、まりあの父とのやりとりがよい。愛人関係もあの父だと憎めないな。
    忘れられない夏。いいなー。

  • 初めは、つぐみに対して、なんて奴だって思いながら読んでたけど、次第に憎めないようになった。むしろ、陽子とまりえと恭一の4人の夏に私も参加したくなってしまった。
    この読後感はなんて表現したらいんだろう。

  • 読みやすいけど、どうにものんびりしていて合わなかった。例えて言うならサザエさんみたいな。

    手紙の中にもっと重大な告白があるかと思いきや、意外とあっさりとして若干肩透かし。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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