八犬傳(上) (角川文庫) [Kindle]

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  • KADOKAWA / 角川書店
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  • 山田風太郎 再発見キャンペーン第二弾、「八犬傳」。南総里見八犬伝と言えば言わずとしれた曲亭滝沢馬琴が後半生のほとんどを費して完成した超長編、日本伝奇小説の開祖だが、僕自身は当然そんなものを読んだことがあるわけはなく、小学生のころに児童用に編纂された八犬伝を読んだことがあっただけ。風太郎は、この南総里見八犬伝の冗長なシーンを巧みにカットして、現代風の物語として再構成するだけでなく、戯作者 馬琴の姿を並行して描くことで、実と虚を巧みに融合させ、最も退屈かつ作品の大半を占める第九輯を鮮やかに要約している。もちろん、風太郎の読者からすれば、両方とも虚の世界であることに変わりは無い。

    正史と裨史の対立は、風太郎が一連の明治物によって追いかけたテーマの一つで、この「八犬傳」においても馬琴と北斎の対話(こーゆー飛躍したダイアログが、風太郎の魅力の一つだ)によって繰り返しその意義を問われることになる。その他にも、悪業罰報の因果が果たして虚か実かという馬琴と鶴屋南北の論戦も面白く、八犬伝の魅力が減退していった境界をここに求めた風太郎の想像力には恐れ入る。

    八犬伝の魅力を余すところなく伝え、かつその欠点を巧みに覆い隠した佳作と言える。

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