成功する子 失敗する子 ― 何が「その後の人生」を決めるのか [Kindle]
- 英治出版 (2013年12月18日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (299ページ)
感想・レビュー・書評
-
この手の翻訳本に多いが、アメリカの社会背景を下敷きにしているため、社会背景がかなり異なる日本で育った僕が読むとピンと来ない点が多いことは否めない。「成功」と「失敗」の区分にも様々な意見はあるだろうが、「やり抜く力」など重要な「性格」として挙げられていることには異論は感じない、というか目新しい話でもない。ダックワースの『GRIT やり抜く力』を再読してみようかなと思ったことで良しとしよう。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
- 報われることの少ない退屈な作業にあたるときの粘り強さだったり、喜びや楽しみを先送りにできる能力だったり、計画に沿ってやりとげる傾向だったりするわけだが──大学でも、職場でも、人生全般においても価値のあるものだった。
- ストレスに満ちた環境で育った子供の多くが、集中することやじっと座っていること、失望から立ち直ること、指示に従うことなどに困難を覚える。そしてそれが学校の成績に直接影響する。
- 泣いたときに親からすぐにしっかりとした反応を受けた乳児は、泣いても無視された子供よりも自立心が強く積極的になった。幼児期に感情面での要求に対して親が敏感に応えた子供は自立心旺盛に育った。愛着関係を育むほうが、子供の成長や改善に寄与する可能性がはるかに大きい。
- 達成のメカニズムはふたつに分けて考えるとわかりやすい。動機づけ(モチベーション) と意志だ。長期的な目標を達成するにはどちらも必要で、どちらも一方だけでは充分ではない。多くの人に見られるのは、モチベーションはあるのに意志に欠けるケースである。
- 彼らの得点が高かった理由は簡単だ。ほかの生徒より懸命に取り組んだからである。そして労働市場が 実際に 重きを置くのは、見返りがなくてもテストに真剣に取り組むことができるような、内なるモチベーションを持っていることだ。誰も気がつかないうちに、読替えスピード・テストは成人後の世界で重大な意味を持つ、認知能力とは関係のない技能を測定していたのである。/// IQは低くなかったかもしれないが、目に見えるインセンティブがなくとも知能検査に真剣に取り組めるという資質に欠けていた。シーガルの調査によれば、それこそがきわめて価値のある、持つべき資質なのだ。
- よい子供と悪い子供がいるわけではなく、よい習慣を持った子供と悪い習慣を持った子供がいるのです。
- 思春期に到達するころの子供たちに有効な動機づけは毛づくろいに似たスタイルのケアではなく、まったくべつの気遣いである。誰かが意外なほど自分のことを深刻に受けとめてくれるという──自分の能力を信じてくれて、もっと改善できるからしてみなさいと持ちかけてくれるという──体験が必要なのだ。
- わたしたちが見たところ、高校の成績は学科の習熟度以上のものをあらわにしている。モチベーションと粘り強さ──そしてさらに、よい学習習慣と時間管理能力の有無を明らかにしている。これは当の生徒が大学の教育課程を修了できるかどうかを判断する大きな材料となる。
- ロデリックは大学での成功に決定的な意味を持つ要素は「非認知的スキル」であり、そこには「学習能力、学習習慣、時間管理、助力を求める行動、社交及び学業における問題解決能力」が含まれるとした。
- しかしエリントンが大きくなるにつれ、大多数の親たち同様わたしも気づいたのだが、愛情やハグ以上のものが必要になった。規律、規則、限度などだ。はっきりノーという人間が要る。そして何よりも必要だったのが子供に見あった大きさの逆境、転んでもひとりで──助けなしで──起きあがる機会だった。
- 子供にすべてを与えたい、子供をすべての害悪から守りたいという衝動と、ほんとうに成功者になってほしいならまずは失敗させる必要があるという知識との葛藤である。もっと正確にいえば、失敗を なんとかする ことを学ばせる必要があるのだ。 -
重要なキーワード部分以外はほぼ読み飛ばし。翻訳ゆえ仕方ないのだろうが、非常に読みにくい表現が多くて疲れた。
-
タイトルが偽りというか、ミスリーディングだ。
まず、この本で言う「成功」とは、「大学をドロップアウトせずに卒業すること」であり、「お金持ちになる」とか「社会的地位を得る」とか「幸せに生きる」とか、そういうことでは全く無い。どういう子供が無事に大学を卒業できるかを延々と述べている。
で、「無事卒業できる能力」とは、結局「やり抜く力、誠実さ、レジリエンス・・・うんぬん」であるらしいのだが、じゃあ、その力はどうやって身につけるのかについては、全くといっていいほど書いていない。
貧困世帯の地域で成果を挙げた教師が、どのような人生を歩んできたかとか、本当にどうでもいいサイドストーリーをふんだんに集めて、水増ししたような作品。グダグダの長期連載マンガを読まされた気分だ。
著者のプロフィールによれば、貧困家庭の教育を専門としたジャーナリストらしい。かといって貧困家庭の教育改善の参考になるかといえば、全くならない。ただ現状の貧困家庭の教育の貧しさの事例を知るだけだ。
文章も論点がごちゃごちゃしてて読みにくい。これは訳者のせいではなく、原文からしてそうなのだと思う。
これはひどい。 -
非認知能力についておすすめの本
-
チェス アメリカ 教育格差の話し
-
精神機能のストレスに対応するようにできてない。なので精神ストレスは人間の体を蝕む。特に幼少期に負担をかけすぎると長期にわたって深刻な悪影響が体にも、精神にも、神経にも様々に出てくるようだ。脳の機能と成長プロセスを考えながら、子育てを考えさせられる本。
詳細は下記。
https://note.com/t06901ky/n/n9aa763f6cd2a -
育児書かと思いきやビジネス書の一種。グリットの重要性ですね。