イシューからはじめよ――知的生産の「シンプルな本質」 [Kindle]

  • 英治出版 (2010年11月24日発売)
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本 ・電子書籍 (273ページ)

感想・レビュー・書評

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  •  イシューとは問題の本質であり、その問題を適切に見分けることが大切であるというのが本書の主旨というかイシューです。イシューという慣れない言葉に困惑しておりましたが、問題の本質のことです。YouTubeで見た表現なのですが、イシューとはゲームのボスの弱点のようなもの。弱点も何も調べずにただひたすらにボスを剣で叩き続けるか、弱点を見極め、そのポイントを的確に叩くかの違いだというものが私にとってはすごくしっくりきました。
     ありきたりな解決策を必死こいて進めるより、正しい問題定義(正しいイシュー)でそこそこ頑張った方が、会社や世界における貢献度は高い。冷静に考えてみれば当たり前ですよね。


     最近は内田和成さんの『仮説思考』や山梨広一さんの『いい努力』など、様々な筆者のマッキンゼー仕込み思考術を学んできましたが、今あげた2冊と本書の主旨は同一人物が書いているのではというくらい類似していました。

     仮説思考は答えから考えなさい。情報収集は仮説を証明する為のものだ。と言っていますし、いい努力はゴールを定めて、そのゴールに適した努力をしなさい。と言います。本書はイシュー(どの問題を解決するか)を定めて全力で集中しなさい。
     どれも表現の仕方は違えど、そのどれもが
    1. 結論を決めるのに時間をかけて、情報収集にこだわるな。
    2. 思考停止で愚直な努力はするな。
    3. 情報はリアルな一時情報(現場の情報)を重視しろ。
    と非常にシンプルな構造になりました。私の解釈なので間違ってることもあるかもですが、私はこの3つを会社のデスクに貼ってマッキンゼーに近づいてみます。

  • 問題に取り組む前に、その問題って本当に取り組むべき??っていうことを徹底的に考えよということ。
    量をやればいいということに逃げるのではなく、アウトプットや問題提起の質を上げることを考えることを優先するべきということかな。

    質は初めから上がらないから、専門家や精通している人、先輩に「何を取り上げるべきか」聞いて、それがなぜ取り上げるべきなのかを考える。
    また、問題は「本質を捉えていて」「仮説がしっかりと深いいか」「答えが自分の持っている技術などで出すことが可能か」という観点からいい悪いが決められる。
    これらの条件を満たせば、いい問題となりうる。そのような問題をだすために、問題を分けたり、分析したり、構造化することができる。そして、それらの問題が見えたら、どうその問題を扱ってくのか、解決していくのかということをストーリー化していって、抜けがないようにするということ。

    本を一通り読んで、、
    問題提起の質を上げるということは、これっていいのか?ということを考えて、そのあとの行動のサイクルを早く回していくということかなと。シンプルだけれども、結構難しいそう。とりあえずは、、やってみようかな。。

  • 「すべての仕事に意味がある!」主義に待ったをかけ、本当に大切なこと(=イシュー)は何か考えるべきとしている。個人的に同じ思考をしていたため、読み出しは共感とともに自分の感じていた違和感をするするっと言語化されている感じがして心地よかった。

    中盤から後半につれて、イシューを見つけ質の高い解を出すための手法を説明している。あらゆる場面での手法が並べられるので、一度読んだだけでは理解が難しいように感じた。筆者も言うように、実際に経験していくことが重要であろう。

  • 私はまさに犬の道タイプで、量をすればいい!と思って勉強もしてきた人生だった。
    頭の片隅で、効率が悪いし限界が来ると思っていたが、どうイシューに取り組めばいいか分からなかった。
    この本を通してイシューへの向き合い方を学べた。まだイシューに取り組むことが仕事ではないが、いずれ来るだろうからまた読み返したい。
    一次情報に触れるについて、弊社の社長はそれをしてものづくりをしているからさすがだなぁとリスペクトが高まった。

  • 好きな人がかなり多い、安宅さんの本。
    kindle unlimitedにあったので早速読んでみた。

    要は「ロジカルシンキングをしようね」ということで
    目から鱗が落ちる様な目新しい記述はさほど無い。

    表現として面白いなと思ったのは下記。

    「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに「考えるフリ」をすること
    「考える」=「答えが出る」という前提のもとに建設的に考えを組み立てること

  • 問題解決のときに使える考え方が書かれている。こうした知的生産ができるよう鍛練中。何度も読み返して自分のものにしたい。

  • 課題を解決する時にどのような考え方で取り組むべきか、ひとつの方法を教えてくれる本。

    本のメインメッセージのようなものは序盤に凝縮されているような気がしたので後半部分を読むのが多少長く感じた。

    イシューの質をたかくもっていき、質の高いものから優先的にこなしていく。
    この基本コンセプトは本当に重要だなと感じた。
    あとは他でも聞いたことあるようなフレームワークだったり考え方だったりが出ている印象。

    少しくらいはこういった考え方を使えるようになりたい。

  • 企画立案において参考になる切り口が多かった。試していきたい。

  • 仕事を取り組む際に、その仕事に取り組むべきなのか、イシューは何かを考えることについて。

    コンサルの思考法についてなので、既視感はある。社会人になったばかりだと読むと良いかも。ある程度のベテランになってくると、社内教育なんかで聞いたことある内容になるかも。

  • 普段の業務に直結する本。もはや業務の教科書。
    要約にとどまらず、言葉の定義を全て抑え骨の髄まで解釈したい。何度も読み返す。


    ・読んだきっかけ
    →ストーリーラインや絵コンテ、などの言葉は知っていたが定理付けが曖昧なので、ロジカルに理解したかった。また、2024年事業計画を立ている真っ最中で業務にすぐに活用したかった。
    ・どんな本か?
    →端的に表すと”問題を解く前に、問題の「見極め」をしているかどうか”

    ・個人的な要点(問題解決の5ステップに併せて)
    ①「解く前」に前に「見極める」
    ・良いイシューとは
    1)本質的な選択肢(答えが出ると今後の検討方向性に大きな影響を与える)
    2)深い仮説がある(新しい構造で説明できるもの、ヒント:「共通性」「関係性」「グルーピング」「ルール」
    3)答えを出せる(既存の手法、あるいは現在着手しうるアプローチで答えを出す
    ・良いイシューを出す手順は、本質的な分岐点や、構造的な理解、存在の否定。
    しかし、それでも出せないときは5つに沿い取り組むことが重要だ
    1)変数を削る
    2)視覚化する
    3)最終系からたどる(To BeからAs isを逆算)
    4)So Whatを繰り返す
    5)極端な事例から考える

    ・イシューと仮説を言葉で表現するときは以下の3つを意識
    1)主語と動詞を入れる(特に誰とっても成り立つ主語であればそれはまだイシューとして甘い)
    2)WhyよりWhere、What、How(Whyには仮説がなく、何についてはっきりさせようとしているのかが明確になっていない。)
    3)比較表現を入れる(「Aではなくて、むしろB」)

    ②イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
    ・ストーリーライン作りには「イシューを分解する」という作業と「分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てる」という作業
    ・イシューを分解する作業はMECEに、もしくは、意味のある分解をする(フレームワークの活用なども大事)
    ・典型的なストーリーの流れ

    ・ストーリーラインはサブイシューの並び変え(So What?or 空雨傘)、段階によって書き換えていくことが重要
    ▼書き換えポイント
    ◯立ち上げ段階:
    何が見極めどころであり、一体何を検証するためにどのような活動をするのか、という目的意識を揃えるため
    ◯分析・検討段階:
    イシューに対する仮説の検証がどこまでできているのか、分析結果や新しい事実が生まれるたびに肉付けするため
    ◯まとめの段階:
    プレゼンであればサマリー、論文であれば最初の要約のベース

    ③ストーリーを絵コンテにする
    「軸の整理」:分析とは比較をすること どのように軸を組み立てるかが大事
    ★分析の大半を占める定量分析の型は「比較・構成・変化」という3つに絞られる

    ④実際の分析を進める
    ★前提と洞察の部分から分析を始めること
    ★イシューから始めること。「どんなデータがあればサブイシューも含めて分析が可能か」バイアスを持たず、正しいデータだけを集めることがすべてではない

    ⑤「伝えるもの」をまとめる
    「一つ、聞き手は完全に無知だと思え」「一つ聞き手は高度の知性を持つと想定せよ」



    ・要約
    バリューの本質=イシュー度×解の質(イシュー度の方が大切)


    問題解決の5ステップ
    ①「解く前」に前に「見極める」
    ②イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる
    ストーリーライン作りには「イシューを分解する」という作業と「分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てる」

    ③ストーリーを絵コンテにする
    ④実際の分析を進める
    ⑤「伝えるもの」をまとめる


    ①「解く前」に前に「見極める」:前倒しで具体的な仮説を立てることが重要だ
    イシューと仮説を言葉で表現するときは以下の3つを意識
    1)主語と動詞を入れる
    2)WhyよりWhere、What、How(Whyには仮説がなく、何についてはっきりさせようとしているのかが明確になっていない。)
    3)比較表現を入れる(「Aではなくて、むしろB」)

    ---------
    そもそも仮説が必要な理由
    1)具体的にスタンスをとって仮説に落とし込まないと答えを出し売るレベルのイシューにならないから
    2)必要な情報・分析すべきことがわかるから
    3)分析結果の解釈が明確になるから

    良いイシューとは
    1)本質的な選択肢(答えが出ると今後の検討方向性に大きな影響を与える)
    2)深い仮説がある(ここまでスタンスを取るのか、というところまで一気に踏み込んでいて、常識を否定・覆すような洞察がある)
    3)答えを出せる(既存の手法、あるいは現在着手しうるアプローチで答えを

    仮説を持つためのコツ
    ①一次情報(誰のフィルターも通っていない情報)に触れる
    ②基本情報をスキャンする
    ③集めすぎない・知りすぎない

    ②イシューを分解し、ストーリーラインを組み立てる(解の質を高めるための作業
    ストーリーライン作りには「イシューを分解する」という作業と「分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てる」という作業→イシューの構造を明らかにしてその中に潜むサブイシューを荒い出すことができる。

    「イシューを分解する」
    目的:
    1)課題の全体像が見えやすくなる
    2)サブイシューのうち、取り組む優先順位の高いものが見えやすくなる
    注意点:
    1)ダブりも漏れもなく、かつ、意味のある分解をする(フレームワークの活用なども大事)
    2)サブイシューについてもスタンスをとって仮説を立てる(曖昧さを排除し、メッセージをスッキリさせるほど必要な分析のイメージが明確にする)

    「分解したイシューに基づいてストーリーラインを組み立てる」
    目的:分解したイシューの構造と、それぞれに対する仮説的な立場を踏まえ、最終的に言いたいことをしっかり伝えるために、どのような順番でサブイシューを並べるのかを考える
    注意点:新しい気づき・洞察が得られるたびに、書き換えて磨いていく

    ▼書き換えポイント
    ◯立ち上げ段階:
    何が見極めどころであり、一体何を検証するためにどのような活動をするのか、という目的意識を揃えるため
    ◯分析・検討段階:
    イシューに対する仮説の検証がどこまでできているのか、分析結果や新しい事実が生まれるたびに肉付けするため
    ◯まとめの段階:
    プレゼンであればサマリー、論文であれば最初の要約のベース

    ③ストーリーを絵コンテにする
    「絵コンテ作り」とは、ストーリーラインの個々のサブイシューに対して、必要な分析・検証のイメージ(個々のグラフや図表のイメージ)をまとめること。→3つの作業に分けられる「軸の整理」「イメージの具体化」「方法の明示」
    「軸の整理」
    ★分析とは比較をすること どのように軸を組み立てるかが大事
    ★分析の大半を占める定量分析ですが、実は分析の型は「比較・構成・変化」という3つに絞られる
    「イメージの具体化」
    比べた結果、違いがあるかどうか
    「方法の明示」
    どうやってデータを取るのか、どんな分析をしたのか

    ④実際の分析を進める
    ★前提と洞察の部分から分析を始めること
    ★バイアスを持たず、正しいデータだけを集めることがすべてではない
    よくあるトラブル
    ・トラブル①:ほしい数字や証明が出ない
    対策:構造化して推定する・足で稼ぐ・複数のアプローチから推定
    ・トラブル②:自分の知識や技では埒が明かない
    対策:人に聞きまくる、解決のめどがつかなければその手法に見切りをつける


    ⑤「伝えるもの」をまとめる
    「ストーリーラインの磨き込み」と「チャートの磨き込み」が要素としてある

    ストーリーラインの磨きこみには3つのプロセスがある
    ①論理構造を確認する
    ②流れを磨く
    ③エレベーターテストに備える:20~30秒で概要を簡潔に説明できるようにする

    チャートの磨きこみ
    ①1チャート1メッセージを徹底しましょう。
    ②縦と横の比較の軸を磨いてください。
    サブイシューに答えを出せる明確な比較にします。
    ③メッセージと分析表現を揃えましょう。

    • サイパソさん
      分かりやすい要約をありがとうございます!
      自分も勉強になりました。
      マッキンゼー出身の方あるあるで、「聞き手は無知だと思う」「空雨傘」「ME...
      分かりやすい要約をありがとうございます!
      自分も勉強になりました。
      マッキンゼー出身の方あるあるで、「聞き手は無知だと思う」「空雨傘」「MECE」「1チャート1メッセージ」が徹底されているのも興味深かったです。
      引き続き投稿楽しみにしてます!
      2024/01/04
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著者プロフィール

慶應義塾大学 環境情報学部教授。ヤフー株式会社 CSO(チーフストラテジーオフィサー)
データサイエンティスト協会理事・スキル定義委員長。東京大学大学院生物化学専攻にて修士課程終了後、マッキンゼー入社。4年半の勤務後、イェール大学脳神経科学プログラムに入学。2001年春、学位取得(Ph.D.)。ポスドクを経て2001年末マッキンゼー復帰に伴い帰国。マーケティング研究グループのアジア太平洋地域中心メンバーの一人として幅広い商品・事業開発、ブランド再生に関わる。2008年よりヤフー。2012年7月よりCSO(現兼務)。全社横断的な戦略課題の解決、事業開発に加え、途中データ及び研究開発部門も統括。2016年春より慶応義塾大学SFCにてデータドリブン時代の基礎教養について教える。2018年9月より現職。内閣府 総合科学技術イノベーション会議(CSTI)基本計画専門調査会 委員、官民研究開発投資拡大プログラム (PRISM) AI技術領域 運営委員、数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度検討会 副座長なども務める。著書に『イシューからはじめよ』(英治出版、2010)

「2020年 『シン・ニホン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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