- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4547286112318
感想・レビュー・書評
-
自身のトラウマを映画という作品として見事に創り上げたエヴァ・イオネスコ。とんでもないものを見てしまったな、という感じ。
作品自体は未完成さが強い。迷い迷いながら創り上げた感が強い。葛藤が垣間見れ、消化できないし、一生付き合っていくであろう傷が痛々しい。来日時のインタビューがまたよかった。エヴァ・イオネスコは4歳から12歳まで母親の道具、人形として写真を撮られていたそうだ。4歳なんて分からないよね、可愛い可愛い言われたら嬉しくなるし、ヌードとかに嫌悪するはずがないもの。
ヴィオレッタ役を演じたアナマリア・ヴァルトロメイの、子どもでもなく女でもないそのままさがすごい。可愛いのに色っぽく、艶めかしい。撮影当時は10歳ですって、美しい。
実話、それも本人の実話をもとにしたもの。ありのままに描いてしまうとホラー映画になると言っていたが想像を超えることをしていたのであろう。描きたかったのかもしれない、ホラーになっても、ポルノと言われても、でもギリギリのラインにして、規制がはいらない本当にギリギリのところにしたことで世界に知らしめたよね。凄かったです。観てよかった詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ベルメール、バタイユ、バルテュス、ロリィタとエロス、死と甘美……。言葉にならないくらいのエロスが郁郁と満ち満ちたなんとも耽美な映画でした。圧倒的な蠱惑と曖昧な幼さに揺れるロリィタ、ヴィオレッタに終始目を奪われます。映画全体を通してホントに美しいシーンしかなくて、絵画を切り抜いたみたいなシーンに何度呻いたことか!
ウラジミール・ナボコフの『ロリータ』とはまた印象が違うロリータ像。ルシール・アザリロヴィックの映画『エコール』を鑑賞し終えた後の感情とも違う、私の中の新たなロリータの萌芽を感じました。大満足です。
実話がもとになっているらしく(調べると、監督のエヴァ・イオネスコ自身の幼少期の経験であるとか。彼女のお母さんである写真家のイリナ・イオネスコが出版したエロティックな写真集『エヴァ』はアングラ界隈で有名かつプレミア価格で、手が届かない代物であるそう)、ヴィオレッタがヌードに嫌悪感を抱いたり、周りから後ろ指を指されたり、クレヨンでお絵描きをしたりママと糸電話をしたりして普通に暮らしたいと思ったり、ママの芸術家としての葛藤だったり、毒親的な一面もリアリティがあって、だからこそ感じる現実離れした世界観と圧巻の演技力!
たしかにヴィオレッタにバタイユの思想を理解させようとするのは無理があるのかも……。ですが、やはり個人的には、少女というエロスをヴィオレッタにはもっと表現して欲しかったとも思っています(まぁ実話ベースですから仮にそうしたら興醒めなんでしょうけれど)。
映画中でルイス・キャロルの少女写真の例えが挙げられますが、キャロルの写真の少女達とはヴィオレッタは違う、恐らくは踏み込みすぎた世界を覗いてしまったんでしょうね。キャロルの写真の少女達はあくまで無垢であるのに対して、ヴィオレッタの写真の嗜好性は明らかに別なところにあったのですから。(少なくともヴィオレッタの中では)
やはり個人的には映画の前半部分が興味深かったです。でもやはり、それに振り回される娘のことも考えると複雑になります……。
鑑賞一回目の感想は今回はこのくらいにして、とりあえず今は「めっちゃいい映画やったなぁ」と余韻に浸ることにします。 -
ヴィオレッタが魅力的すぎて、それだけで価値ある映画に思えた。ファッションも素敵。しかし美しさには影が付き物だということを、ありありと見せつけられた気がした。芸術は法の下で行わなければならない。
-
原題:My Little Princess
レンタルで鑑賞。
母を芸術家として尊敬しているが、母のものではないし、操り人形でもない。
そんな叫びが聞こえてくるような映画だった。
監督、エヴァ・イオネスコの自伝作。 -
ヴィオレッタ/アナマリア・ヴァルトロメイが、10歳。
少女になろうとするのに、
もはや大人のオンナの成熟をした表現ができる。
そのあやしさは、なんとも言えない。
処女のきらめきと言うべきか。
監督の実話の自伝と言うから、よけい不思議だ。
自分を客観的に見ることができている。
視線、姿態、ポージングを指示する母親。
ついには、裸になりなさいと指示する。
それに、従う娘。「芸術」という名において。
学校では、浮きまくっている。子供じゃないのだ。
唯一守ってくれたのは、おばあちゃん。
ヴィオレッタのために、祈ってくれる。
母親は、ロンドンに行き、アップダイクと一緒に写真を撮ることに。
オトコとは、一緒にとりたくない
と言って、反発して、母親からはなれる。
不思議な、あやしい 作品。
女性監督の目線が生きている。