夏美のホタル (角川文庫) [Kindle]

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  • 恵三さんのしんみりした身の上話が、夏美さんの声かけでさらに潤んでくる。空気を換えてくれる弾む声と背中をさするあったかい手。
    夏美さんはとっても魅力的だ。やや内気なしんごくんも。
    田舎の風景は私の子どもの頃のまま。夏は、公民館で柔道を習った帰りにふわりと浮かぶホタル。冬は、星空を見上げ、学校で学んだ北斗七星やカシオペア座をさがしながら帰った。
    森沢明夫さんの描く自然描写はさりげなく美しい。風鈴の音、葉ずれの音、線香花火、ヒグラシの声。そして異質物みたいな雲月さんの角もとれていく。

    才能とは覚悟

    人と人のつながりが
    人と人の絆が信じたくなる
    そんな作品だった。
    爽やかな清涼剤であり、掘り炬燵みたいな作品。
    作者にありがとうと伝えたい。

  • 大きな業績を上げたわけでもない、優れた才能があるわけでもない。
    でも家族のことを思い、家族に愛され家族にとってなくてはならない存在だった。
    それをホタルの舞う、自然あふれる土地で改めて思うとき、そして命がつながるとき。いつか終わりはやってくる。
    派手な人生・映画・ドラマでなくてもいい。
    いちどの人生、みんなで、そうみんなで笑って楽しく過ごしたい。彼らのように。
    人が生きた証ってなんだろう。癒されます。

  • 優しい人ばかりが登場する、強ばった心が解きほぐされるような温かい物語。

    涙腺にダイレクトに攻撃を受けて終盤うるうるしながら読んだ。

    素敵な本との出会いに感謝。

  • 「虹の岬の喫茶店」「海を抱いたビー玉」に続き、森沢明夫さん作品の3つ目として、夏美のホタルを読んでみた(Kindle unlimited読み放題にありました)
    主人公は、カメラマンを目指す大学生と幼稚園の先生として働く女性のカップル。この2人がツーリングの際、トイレを借りるためにたまたま入ったお店で、ある親子と出会うことから話が始まる。
    ある親子とは、若い頃足を悪くしてしまい体が不自由な息子(通称:地蔵さん)とその母親。この2人の醸し出す雰囲気、優しさが文面だけでもひしひしと伝わってきて、それだけでも読んでで心地よい。
    この親子とカップルは親交を深めていくが、最終的にはこの”地蔵さん”は亡くなってしまう。ただ、このカップルと出会ったことで、そこに奇跡が起きる。
    家族の絆、そして本当の愛情とは何か、切ないけれど暖かい、そんな作品に仕上がっている。
    こちらも映像化はしているらしいのでいつか見てみようと思う。

  • ちょっとトイレを借りただけだったのに。
    こんなに関係性が継続するなんてね。心に響くものがあったのか、似ている境遇の誰かと重なったのか。
    変な下心なしで付き合える関係、いいな。

  • 文章から作者の温かみが溢れ出していて癒された。

  • 登場人物みんなの暖かな繋がりにほっこりと感動。筆者あとがきのラストに書かれていた、「人生は出会いと別れの連続だからこそ、別れがとことん寂しくなるよう、その人との今を慈しむ」という言葉が深く染み込む。
    ページ数も比較的少なめで読みやすかった。

  • 写真家を目指す青年とその彼女が、夏休みにたまたま入った山あいの小さな雑貨屋・たけ屋。そこに住んでいる人の良いおじさんと、おばあちゃんとの交流を描いた小説。

    都会にはない暖かな人々との交流や、家族という絆や、人の生死をたくさん考えさせるお話でした。


    って、映画にもなっているんですね。
    だからKindleUnlimitedに入っているんだな、きっと。

    森沢明夫さんの作品は、どれを読んでも心の奥の方が温かくなりますね。


    そういえば、花の形をした風鈴が出てきました。これって、「エミリの小さな包丁」で出てきた、おじいちゃんが作ってる風鈴なのかしら? あれ、この小説の方が早い時期に書かれてますね。他の作品にも、この風鈴、さりげなく出てたりするのかな?

  • 読み終わった後に筆者のあとがきを見たら、しんみりしました。

  • どこまでも美しい自然、どこまでも温かく優しい人々。まさに書中の写真コンテスト評文のように、二次元であるはずの文字が音やニオイ、色などの三次元以上の情報を手に読む者に語りかけてくる。もう一度読んでよかった。

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著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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