残酷な神が支配する(10) (フラワーコミックスα) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 全巻一気読みしました。
    表現に凄味があり、物語に否応なしに引きずり込まれる。作中では、カウンセラーの女性が自身への「逆転移」を危惧するシーンがあるが、同じように読者は注意深く距離を取る必要がある。それだけの強さのある作品だと思う。

    過激な表現は現代では最早珍しくないが、不快なものやグロテスクなものを直接描きこめば陰惨さを表現できるというのは、頭を叩かれれば痛みを感じるのと同じである。この作品の導入部の凄惨さは、描かれていないところに存在する。
    人物の感情や関係性が、蔦植物などで彩られた一枚絵で示される、あのページが発する感情のほとばしり!
    私は、経験値が低く、漫画に絵画的なものを感じた経験はこれまであまりない。卓越した技量とはこんなにすさまじいものなのか。とにかく圧倒されました。加えて、前出したフレーズが回収される瞬間の美しさは息をのむほどです。

    しかも最初のクライマックスで物語が終わるのかと思ったら、そこまでが導入部だったという……。
    神は愛であり運命であり親と呼ばれるヒトであるが、それに支配されるのもまた、愛であり運命であり子と呼ばれるヒトなのだ……。


    恥ずかしながら萩尾望都先生の作品はこれが初読です。でも今読んで良かったのかもしれない。多感な子供時代に読んだら、打ちのめされている気がするから。
    面白いと軽々に言えない。凄い情熱でした。

  • こんなに深くて鋭い心理描写が漫画で表現することが可能なのかと驚かされた。実際に経験していないのに経験したらこうなってしまうのだろうかと思わせられる、しつこくてねっとりとしたtraumatizing な、残酷であり美しくもある描写。なかなか人にはおすすめできないけど、凄い漫画です。

  • 森博嗣さんや、吉本ばななさんが触れてらしたので、ずっと気になっていた作品でした。
    (私にとっては)読むのにエネルギーが必要で、最後の巻から遡る形で、少しずつ読んでいます。
    とても印象的だったのは、教会を訪れたイアンが、性的虐待をしていた父の若い頃の姿を見た(感じた)シーンでした。
    これからの結婚生活に希望を持っていて、自分は親のようにはならない、よい家庭を築きたいと思っている若い青年の父の姿を、イアンが見ていて‥心に残っています。
    また、旅先での星空や、自然の中で風がふいた感じに助けられて、少しずつ和らいだり、生きていこうと思う感じの描写も胸に残りました。

  • 幼稚園児だった時、母が買ってきたプチフラワーを勝手に読んでいたらこの作品が載っていてすごい衝撃をうけた覚えがある(これが漫画の原体験)

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著者プロフィール

漫画家。1976年『ポーの一族』『11人いる!』で小学館漫画賞、2006年『バルバラ異界』で日本SF大賞、2012年に少女漫画家として初の紫綬褒章、2017年朝日賞など受賞歴多数。

「2022年 『百億の昼と千億の夜 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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