- Amazon.co.jp ・電子書籍 (358ページ)
感想・レビュー・書評
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全巻一気読みしました。
表現に凄味があり、物語に否応なしに引きずり込まれる。作中では、カウンセラーの女性が自身への「逆転移」を危惧するシーンがあるが、同じように読者は注意深く距離を取る必要がある。それだけの強さのある作品だと思う。
過激な表現は現代では最早珍しくないが、不快なものやグロテスクなものを直接描きこめば陰惨さを表現できるというのは、頭を叩かれれば痛みを感じるのと同じである。この作品の導入部の凄惨さは、描かれていないところに存在する。
人物の感情や関係性が、蔦植物などで彩られた一枚絵で示される、あのページが発する感情のほとばしり!
私は、経験値が低く、漫画に絵画的なものを感じた経験はこれまであまりない。卓越した技量とはこんなにすさまじいものなのか。とにかく圧倒されました。加えて、前出したフレーズが回収される瞬間の美しさは息をのむほどです。
しかも最初のクライマックスで物語が終わるのかと思ったら、そこまでが導入部だったという……。
神は愛であり運命であり親と呼ばれるヒトであるが、それに支配されるのもまた、愛であり運命であり子と呼ばれるヒトなのだ……。
恥ずかしながら萩尾望都先生の作品はこれが初読です。でも今読んで良かったのかもしれない。多感な子供時代に読んだら、打ちのめされている気がするから。
面白いと軽々に言えない。凄い情熱でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こんなに深くて鋭い心理描写が漫画で表現することが可能なのかと驚かされた。実際に経験していないのに経験したらこうなってしまうのだろうかと思わせられる、しつこくてねっとりとしたtraumatizing な、残酷であり美しくもある描写。なかなか人にはおすすめできないけど、凄い漫画です。
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幼稚園児だった時、母が買ってきたプチフラワーを勝手に読んでいたらこの作品が載っていてすごい衝撃をうけた覚えがある(これが漫画の原体験)