初めに読んだときは、2巻で唐突にサウナチャンピオンの話が終わってしまい、なんとなく放り出された気持ちで読みました。「高校に舞台を移したんだな」程度の感想で。この漫画は1巻が一番良くて、後は尻すぼみだな、なんて思っていました。
しかし数年後に読み直すにあたり、この3巻にジワジワとはまっていきました。
まずは「貧乏という言葉から何を想像するだろうか?」のくだりが刺さりました。私が最初にこの漫画を読んでから数年の間に、経済的に困っている人が自分の習慣を顧みない姿を現実で見てきたことで、このシーンの救いのなさが胸に重くのしかかったのだと思います。
そしてマコト君のお母さんとのエピソード。お泊まりに来ておねしょをしてしまった本庄に、お母さんは「失い続ける人生の中で、すべてを失っても、そこからまた始められるような場所を築きなさい」という意味合いのことを語りかけます。
私はこの言葉をまだうまく咀嚼できていませんが、3巻通して一番心に響いたシーンです。
またこのエピソードの冒頭で本庄が、レリーフを掘っていた頃の話だと自分で既に言ってるのに、「1980年か・・・やれやれ 1980年といえば 私がレリーフを掘っていた頃の話じゃないか」って繰り返すところが、ちょっと面白いようなちょっと格好良いような、粋な印象を受けたのも、後年になって読み返してからのことでした。
今では定期的に3巻だけ読み直すようになっています。