感想・レビュー・書評

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  • 小説6本、粒揃いの作品ばかりで満足です。
    マンガでは左京亜也センセの「12時からはじまる」が新連載。路地裏のバーが舞台で、今のところエロのエの字も見当たらない再会ものの様相です。どうなるのか楽しみ。
    氷室雫センセの「ウルフくんとイナバさん」はますますかわいい!変身イナバくんにこっちもドキドキです。

    一穂ミチセンセの「さよなら一顆」は、宝石買取店での出会いから始まるセンチメンタルな恋物語でした。情緒豊かな描写で淡く甘い雰囲気の中に生々しい情欲が見える、センセらしい作品。

    安西リカセンセの「ビューティフル・ガーデン」は今回イチオシのすてきなラブストーリーでした。新進気鋭の製品デザイナーで、ゲイであることを隠さない倫。そんな彼が気になったのは取引先の製造会社営業のイケメン年下男。ゲイを否定して倫を警戒する伊東をからかい半分で誘惑したのですが。
    …胸が熱くなりました。やさしくて切なくていい話です!タイトルもぴったり。イラストがもう少しだったかな。

    鳥谷しずセンセは今回2本。両方比べると、うっかり?続いて「後編」になってしまった「契約から始まるものは」がエロレベルが半端なく高度で萌えました。華道家が「まるで花の芽吹きのようで」とたとえると異様に卑猥です。新たなHENTAIが登場。
    「恋よ、ハレルヤ」は、学園を舞台にした教師と理事長代理でやってきた敏腕弁護士のロマンティックなラブ。こっちは体育座り萌えw少し、奥ゆかしいHENTAIです。

    久我有加センセの「嘘つきと弱虫」も再会ものでした。人生タイミングは大切ですね。音也の後ろ向きな気持ちが切なすぎ。でも、ムギのやさしくて一途な気持ちに嬉しくなりました。

    BL小説大賞期待作の「君と孤独の星座をみせて」は、官僚ものBL。官僚という縁遠い世界が舞台になっていますが、シロウトにもわかりやすく説明されていて、それでいて本格的な描写で想像が広がり引き込まれました。

    母と自分を捨てた父親への恨みから官僚となった椿は、日々ストレスで不眠が酷くなっていたある日、二世議員の礼二郎に気に入られ彼の家に連れて来られてしまいます。でも、なぜかそこで熟睡してしまい困惑。それを機に、礼二郎に対する反発を感じつつもどんどん惹かれてしまう椿でしたが、思わぬ計略に巻き込まれ。
    …いろいろツッコミどころは多かったです。ページ数のせいだと思うのですが、そんなに政治の世界は甘くないのでは。記者に追っかけられたりしそうですが。礼二郎のキャラがぼんやりとしてはっきり見えてこなかったのももったいないです。全体的に色気も足りなかったような…まぁ、鳥谷センセのあとに読むと誰でも足りなくなりますがw椿がもっと色っぽくてもよかったです。
    BLというよりは官僚お仕事の比重が勝っていたけど、しっかりした描写で最後まで読ませる強力な魅力がありました。
    このジャンルはこれからもますます需要がありそうなので、この方にはこれからも官僚もの描き続けて欲しいと思いました!

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著者プロフィール

2007年作家デビュー。以後主にBL作品を執筆。「イエスかノーか半分か」シリーズは20年にアニメ映画化もされている。21年、一般文芸初の単行本『スモールワールズ』が直木賞候補、山田風太郎賞候補に。同書収録の短編「ピクニック」は日本推理作家協会賞短編部門候補になる。著書に『パラソルでパラシュート』『砂嵐に星屑』『光のとこにいてね』など。

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