アデル、ブルーは熱い色 [DVD]

監督 : アブデラティフ・ケシシュ 
出演 : アデル・エグザルコプロス  レア・セドゥ  サリム・ケシゥシュ  モナ・ヴァルラヴェン  ジェレミー・ラユルト  アルマ・ホドロフスキー 
  • パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
3.64
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本棚登録 : 590
感想 : 84
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988113831031

感想・レビュー・書評

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  • 今読んでる「Bookmark」に出てきて思い出し記録。これの原作がバンド・デシネ(漫画)だったことは知らなかった。

    この映画の主題はレズビアンの二人の物語だけど、実はテーマはフランス映画の伝統、「社会階層の違い」なのかなと思った。

    LGBTの割合は2~10%、その中で運命の人に出会うのは難しい。社会階層の違いが二人を阻むならなおさら。そんな寂しさが胸をつく作品でした。

    ただ社会階層問題は普段日本人は意識しないので、この映画がカンヌ受賞しても「なんで?」と感じる方も多いのではないかと思います。

    翻って個人的な話。
    ゲイの友達は何人も思い浮かぶんだけど、レズビアンの友達は控えめにカミングアウトしてくれた一人しか知らない。LGBTの中でも男女の違いによって生きやすさの違い(カミングアウトのしやすさの違い)ってあるのだろうか、っていうのが、この映画観てから気になってる。

  • DVD

    高校生の少女が性に目覚め、一人の女性に恋をし、そして別れる物語。
    とても好みな雰囲気の映画。ただ何年の月日が経っても、主人公のアデル役の女の子が18歳の少女にしか見えないのが残念だった。本当にパルムドール?
    レアセドゥは、ミステリアスな年上の女性で素敵。ブルーの瞳が美しい。

  • LA VIE D'ADELE CHAPITRES 1 ET 2
    2013年 フランス
    監督:アブデラティフ・ケシシュ
    原作:ジュリー・マロ『ブルーは熱い色』
    出演:アデル・エグザルコプロス/レア・セドゥ
    http://adele-blue.com/

    去年のカンヌのパルムドール。3時間の大作ですが文芸坐で観てきました。カンヌでウケる映画は一般には好き嫌い分かれる作品が多いし、個人的にも当たり外れがあるので、これもどっちに転ぶかなあと思いつつ期待しすぎない心構えで観たのですが、結果、うん、あ、こんな感じね、という、わりと突き放した感想でした。面白くないって意味じゃなくて、いかにもカンヌっぽいなあっていう・・・キライじゃないけど、そんなに大絶賛するほどかなあ?っていう、ちょっと皮肉な目で見てしまう自分がいたりして。

    アデルとエマのレズビアンのエッチシーンも、なんていうか、あまりにも開けっ広げで露骨すぎて、淫靡さがないんですよね。最初は彼女らの脱ぎっぷりの良さとナイスバデーだけで「おっ!」っと思うものの、だんだん飽きてきて「え、まだやってんの?」って感じになってくる(苦笑)。全裸よりもチラリズム信奉派なので、過激で過剰なだけものを官能的とは思えない。これはもう、男女だろうが男男だろうが女女だろうが基本は同じです。何年も前に過激なセックスシーンが話題になった「ラスト、コーション」という映画なども、実際見てみたら無闇にアクロバティックなだけで、セックスじゃなくて器械体操見てるみたいな気分になったし・・・。ゆえに、そういうシーンの激しさ=愛情の深さという解釈には至れなかったし、本作もそこは同じ。残念ながら女性同志でのそういう体験はないので、ああいうやり方が標準なのかどうかも謎でした。監督は男性だしね。

    とはいえ、普遍的な恋愛としてとらえた場合の彼女たちの心理描写は秀逸でした。なにせ3時間の長丁場ですから、アデルとエマの出逢いから、なにげないちょっとした会話まで丁寧にたどって、なぜ彼女らが惹かれあったかをきちんと観客もなぞることができる。前半のアデルと学校の女友達との会話とか、ものすっごい執拗で粘着質な感じで、ゆえに女同士のいや~な感じがよく出ていたし。

    美大生→画家としての成功を順調にたどるエマは、そちらの世界に同類も多く、理解ある家族にもカミングアウトしているけれど、普通の家庭に育って教師が夢だったアデルのほうは、家族に打ち明けることもできず、女友達もほとんど離れていってしまう。恋愛感情だけではどうにもならない二人の間の溝、擦れ違い、そしてエマを忘れられないアデルと、別のパートナーを選んだエマの二度目の別れ、さらに再会、そのへんの機微は、男女に置き換えたとしてもすごくリアルに描かれていたと思います。

    アデルちゃんは美人というよりは可愛い系で、童顔なのに妙なエロさがあって好きでした。エマのほうは、ぱっと見ボーイッシュ系でいかにもレズビアンぽいのだけど、だからといって男装の麗人系ではなくあくまで女性なので、そのギャップが個人的にはちょっと苦手だった。アデルの級友役でアデルに同性愛をほのめかす美少女が一人いたのだけれど、アルマ・ホドロフスキー、名前見てもしやと検索したら、やっぱりアレハンドロ・ホドロフスキーのなんと孫!でした。

  • 高校生のアデルは、交差点ですれ違ったブルーの髪の女性エマと視線を交わした瞬間、心を奪われた。偶然にもバーで再会を果たし、知的でミステリアスなエマにますます魅了されていく。週末、ふたりきりでデートに出かけ、見つめ合い、キスを交わし、そして互いを求めあった。初めて知る愛の歓び。情熱と刺激に包まれた運命的な愛に、アデルは身も心ものめりこんでいく……。
    トマと付き合いながらもエマに惹かれるアデルの戸惑い、文学が好きで勉強中のアデルと美術の勉強中のエマが惹かれ合い愛し合う展開(アデルがエマの絵のモデルになったり、エマがアデルの論文の手伝いをしたりデモに参加する中で惹かれ合い愛し合う)、レズビアンである娘に理解のあるエマの両親やアデルの両親との交流、芸術を追究出来るエマと堅実に夢を追究するアデルの生き方の差違を越える情熱的な恋、自由に夢を追究するエマに憧れながらも置いていかれそうな寂しさを感じエマとの同居を同僚に隠してるアデルとアデルに文学に挑戦して欲しいエマのすれ違い、自由でアーティスト気質なエマを演じるレア・セドゥのクールな魅力とピュアで情熱的なアデルを演じるアデル・エグザルコブロスの魅力、傑作恋愛映画です。

  • なんとも言えないような切ない余韻が尾を引くように残った映画だった。

    アデルの無防備な半開きの口元、ぐしゃぐしゃの髪の毛、口の周りを汚して食事を頬張る子供っぽさと、時々ドキッとさせられる妖艶な色っぽさとのギャップ。
    エマの男性的な魅力、目を細める仕草だったり、控えめに微笑む表情、大人の包容力。
    パルムドール受賞作か、なるほど。

    高校生のアデルが、エマと出会い、恋に落ちて、別れるまでの3時間弱の長い尺の映画だけど、テンポは始終とってもゆっくり。
    海外ドラマのような早いテンポが好みの私だけど、この作品は、退屈してしまいそうなぐらいゆっくりのテンポが逆に心地よかった。

    アデルの不器用な生き方が、なんとも切ない。
    エマは、正真正銘の根っからのレズビアンだけど、アデルは、レズビアンというより、バイセクシャル寄りで、女性が好きというよりも、"エマ"という人間が好きになり恋に落ちてしまったという感じ。

    安定と無難を求めるアデルと刺激を求める芸術肌エマは、育ちも性格も付き合う友人も求めるものも全くの正反対。
    そんな二人だけど、本気で惹かれ合って、愛し合った。

    アデルは、エマを愛していたからこそ、始終不安にかられ、それを埋めるように浮気をしてしまう。
    エマは、アデルを信用して愛していたからこそ、浮気と嘘が許せなかった。

    大事な転機だったり鍵となるような部分を、わざわざ説明せずにバッサリと省いて「そこはご想像にお任せ」的な粋な計らいが、ものすごく素晴らしいと思った。

    ブルーは、エマの大好きな色だった。
    アデルは、ブルーの勝負服を纏ってエマ会いに行く。
    でも、もうエマは、ブルー離れ(アデル離れ)してしまっている。
    アデルは、”もう完全に終わってしまった"ことを悟る。

  • とても良かったです。
    普遍的な、でも上質な恋愛映画でした。
    出会って、別れて、戻れないと知る。それでも、お互いに気持ちは抱き続ける。。
    切ないけど美しいです。

    アデルのアデルさん、幼く無防備に見えてでも時折妖艶で、初めの方は食べ方と口がずっと半開きなのちょっと…と思ってたけどだんだんと好きになりました。感情が表に出まくるのすごい。
    それよりエマのレア・セドゥさん…拝見するの「ミッドナイト・イン・パリ」以来ですが今回もとても素敵でした。大好きな人に笑顔を向けるときに眩しそうな顔になるの堪らないです。

    序盤の高校?の描写かなりキツかったけれど。なんであんな人たちと一緒に居るんだろう…アデル、彼女たちほんとに友だちとして好きで付き合ってるのかな?と。エマと出会ってからの方が生き生きしてた。
    ふたりが一緒にいるときすごく幸せそうなのですが、芸術を志す人と、安定を求める人と、長くは続かないだろうな、って感じさせるのも儚くて。
    でも別れた後にカフェで再会するシーン、泣けました。言葉も、言葉に出してないふたりの気持ちも伝わってくるのがもう。。
    生涯に一度、出来るか出来ないかの恋だろうな。それが幸せかはわからないけれど。
    3時間、あっという間でした。フランス映画、好きです。

  • 1時間で交わって、2時間で別れて、3時間でもう元には戻れないとわかる。

    いってみればこれだけなのに、必ずブルーを入れる画面作り、極端にクロースアップのカメラ、集中するときに外界の音が聞こえなくなってくるような音づくり、そしてもちろん主演ふたりの演技、などなどで、極めて圧力の大きな映画だった。
    つまり引き込まれた。

    レア・セドゥは大好きな女優で、今回も知的で奔放で正直な芸術家という役どころをこなしていた。
    浮気に気付いたときの烈火のごとき罵りもよかった。
    つねに眩しそうにしている表情や、笑ったときのすきっ歯も魅力的。

    が、今回は主演のアデル・エグザルホプロスが演技ではなく本物に存在するかのようで、凄まじかった。
    シャルロット・ゲンズブールのように捲れ上がった唇。ジュリー・デルピーをもっと親しみやすくしたような。
    スパゲッティをはじめとして、とにかく食う、寝る。
    踊っていても寂しい顔。エマがそばにいないから。
    エマがそばにいても寂しい。エマには私の知らない世界がある。そのときの目線。

    生まれが違う。階級が違う。価値観が違う。
    いまさびしいのは、あんなに激しく愛することはもうないだろうとわかっているから。

    別れても人生は終わらない。
    仕事もあるし、ずるずると会っては拒絶されたりもする。
    ここはたまたま同性愛者だっただけで、人と人が恋をして破れれば、だいたいこうなる。普遍的だ。

  • アデルのように、咽び泣き、思う。

    果たしてエマはアデルを本気で愛していたのだろうか。愚問が残る。
    若者同士が次から次へと恋愛をするように、人生の中のたった一瞬の恋人関係だったのか。育った環境や社会的立場、階級、思想にズレを感じていくうちに、エマが他の女性を好きになってしまった、そしてアデルが男と浮気をした、ただそれだけの事だったのか。
    ストーリーとしてはアデルの視点から物語が進むが、エマの過去のトラウマや恐怖心、苦悩や葛藤が見え隠れする。

    まぁ、男女間でも同性愛でも同様なことは往々にして起こり得るが、同性愛という障壁や苦悩は計り知れない。


    ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    そして、翌日もう一度見返して、感じた。
    エマはアデルを愛するが故に、彼女の幸せを願うが故に別れることを選ぶ。
    アデルが求める安定を願って。

  • 女子高生アデルと青い髪の女性アーティスト、エマの恋の話。
    エマは表情がリバー・フェニックスみたいだなと前半ずっと思いながら見ていた。
    あんな笑い方されたら恋にも落ちます。
    二人の関係の描き方がとても丁寧だった。
    私はもう少しテンポが速い方が好きだし、何よりアデルが好きになれなくて引いて見てしまったにだけど、そこは好みの問題。
    ラストも結び方としてはいいものの、何となく腑に落ちないところがあって、それは二人だけに焦点が合い過ぎていて周囲がこちらに見えて来ないことと、丁寧なのに時々ぽんと二人のことでさえ飛ばしていくことだった。
    けれど、原題が「アデルの人生 第一章と第二章」だと知って納得した。
    これはアデル個人の話、そしてそれはまだ終わらない。
    恋愛を中心としながら実は片方だけの話だったというところで、「(500)日のサマー」を少し思い出した。
    ただ、アデルは原作のタイトルが「ブルーは熱い色」だそうなので、本来は二人を描いたものだったのかも。

  • アデル演じる、アデル・エグザルホプロスの。
    口の周りをパスタソースで汚し。
    ナイフについたソースを舐めて取り。
    くしゃくしゃの髪型も。
    口を開けて無防備に寝る姿も。
    全部全部ありのままの彼女の様で。
    どんな曲がかかっても身体の中から沸き起こる感情と共に踊る彼女は、自分に正直で。
    時にセクシーで。
    求められる事を求め。
    揺れ動く感情も素直に。

    エマ演じる、レア・セドゥの肌の色の白さと中性的な雰囲気がまた更に個性を発揮していて。
    アデルを見つめる瞳は、真っ直ぐでいつだって偽る事なく。

    ドキドキで、口数が減り・目が泳ぎ。
    別れの挨拶のキスに、寂しさが溢れる姿に。
    恋の始まりを、自分の事の様に置き換え。

    取り戻せなくなってしまった現実に。
    どこに誰と居ても笑えない日々に。
    犯した罪の大きさ・過ちに自分を責め。
    終わってしまった恋の残した想い出の欠片達が溢れていて、苦しくなりました。

    心が此処にあらずになり、青い髪からブロンドへ。
    青に惹かれ、脳裏に焼き付いたあの日を追いかける彼女。
    2人がすれ違っていく様が、色を通して描かれ。

    体温も。唇の感触も。あの日の指使いも。
    昨日の事も。今日の事も聞きたい。
    誰と会って、何をして…。

    肌が憶えている記憶。
    色が魅せた世界。

    自分とは違う価値観も。
    観ている世界が違っても。
    肌で抱き合う2人は美しく。

    約3時間という長さ。
    フランス映画特有の飛び交う会話も。
    議論する姿も気にならないくらいで。

    そして何より、劇中のボロネーゼを口の周りが汚れるのも気にならないくらい夢中で食べたいと 笑
    心で感じる事の出来る作品でした。

    10代後半から20代前半の子供から大人への階段を登る時に恋した思い出は、いつまでも色褪せる事なく刻み込まれるのだなと。
    あの日の自分に照らし合わせて感傷に浸りました。

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