megumi33さんの感想
2022年8月6日
素晴らしい作品だった。 読み終えて、何とも言えない深い余韻のようものを感じる。 途中、主人公のセージが幾度も過去と現在を行き来し、そんなことが繰り返されるので、正直よく判らない部分もあった。 しかし、最後まで通して読んでみれば、それぞれの幾通りもの「あり得た」過去が1箇所で集約され、たった一つの「あるべき結果」になっているように感じられる。不思議なことだが、そう感じたし、幾通りもの過去を読んだときの不自然さはなく、ただ一つの結果-ラストをごく自然に受け容れられた。 この物語は青の王アジュールとセージの恋物語というだけでなく、一つの国の興亡、更に主人公の少年セージが王として人として成長するプロセスをも鮮やかに丹念に描いている。 とても壮大な物語に出会えたことを幸せだと思える作品だった。