火星の人 [Kindle]

  • 早川書房
4.52
  • (121)
  • (59)
  • (15)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 584
感想 : 87
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (520ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • めちゃめちゃおもしろかったー。
    火星にひとり取り残された宇宙飛行士がなんとか生き延びようとする、って話で。NASAの宇宙飛行士なのでそれはそれは頭がよく、科学的知識もそれはそれは豊富なので、水つくったり、酸素つくったり、土つくったり、ジャガイモつくったり、ベッドルームつくったり。最初は、宇宙に取り残されたというのに、ひたすら淡々と科学的な説明をしつつ酸素や水をつくっていくっていう日記で、これが最後まで続いたらどうしよう、と一瞬思ったのだが、その淡々としてるけどユーモアたっぷりの文章にどんどん引き込まれていって。
    とにかくひとりぼっちで火星で死ぬかもしれないのに、まったく、かけらも、絶望や不安や悲壮感がなくて、日々仕事して、あれこれ工夫してお風呂入ったり、仲間の残していった70年代ドラマ見たり、なんだか火星でひとり生活楽しそう、って思ってしまうような感じで。
    わたしは理系に非常に弱いので科学のあれこれ宇宙のあれこれはまったくわからないんだけど、少しはわかったらもっとさらに楽しめるのかも。

    地球側の人たち(最初、だれも出てこないでほんとに火星の人の日記で終わるのかと不安だったけど)もみんなユーモアがあって楽観的で、そしてみんないい人で、人間まだ捨てたものじゃない、って気になるし。

    もちろん、宇宙モノらしく、手に汗握るようなページターナーなハラハラドキドキ場面もあるし。

    SFって、けっこう地球滅亡とか人類の危機とか、そうでなくとも気が遠くなるような年月とか考えてしまい、読むとなんというかすごく不安な気分になることが多い(のはわたしだけ??)のだけど、これはそういう気持ちにならないところもすごくよかったな、と。
    こういう話をもっと読みたいー。

    • niwatokoさん
      ほんとにおもしろかったです! そう、SFって怖い気持ちになりやすいのが苦手なんですが、これはすごく楽しくて。確かに、「アメリカが世界の中心~...
      ほんとにおもしろかったです! そう、SFって怖い気持ちになりやすいのが苦手なんですが、これはすごく楽しくて。確かに、「アメリカが世界の中心~」っていうのはあると思いますが、わたしはもともとアメリカかぶれなので気にならず、さすがアメリカだわ、くらいの気分で(笑)。主人公だって、いくらなんでもここまでポジティブでいられるか、っていうのもありますが、そこがいいところではないかと。たまにはこんなふうにすみずみまで明るく、元気ですかっとする話が読みたいです! 
      2014/12/16
    • takanatsuさん
      niwatokoさん、こんにちは。
      この本すごく面白そうですね!
      「NASAの宇宙飛行士なのでそれはそれは頭がよく、科学的知識もそれはそ...
      niwatokoさん、こんにちは。
      この本すごく面白そうですね!
      「NASAの宇宙飛行士なのでそれはそれは頭がよく、科学的知識もそれはそれは豊富なので、水つくったり、酸素つくったり、土つくったり、ジャガイモつくったり、ベッドルームつくったり。最初は、宇宙に取り残されたというのに、ひたすら淡々と科学的な説明をしつつ酸素や水をつくっていくっていう日記で、これが最後まで続いたらどうしよう、と一瞬思ったのだが、その淡々としてるけどユーモアたっぷりの文章にどんどん引き込まれていって。」
      niwatokoさんのレビュのこの部分に心惹かれました。
      その淡々とした感じ、ツボな気がします。
      SFは難しい、こわい、というイメージがあってあまり読まないのですがその心配もなさそうな本のようなので年末年始に読む本のリストに加えたいと思います。
      素敵なレビュありがとうございます♪
      2014/12/17
    • niwatokoさん
      takanatsuさん、コメントありがとうございます!
      わたしもSFはあまり得意ではなく、同じく、難しいー、こわいー、と思っているんですが...
      takanatsuさん、コメントありがとうございます!
      わたしもSFはあまり得意ではなく、同じく、難しいー、こわいー、と思っているんですが、これは最後までとても楽しく読めました! 水つくるのに酸素と水素がどうとか科学的な話もけっこう書いてあるんですが(でもそれほど難しい話じゃなく、かみくだいて書いてるんだと思う)、そのへんはさーっと流して読んで(笑)。宇宙がどうとか未知の世界がとか大げさなところがまったくなくて、そこが火星というのを忘れるような、狭いキャンプみたいなところであれこれやってるところが地味で楽しいです。読んでみてくださいませ。
      2014/12/17
  • 最近、家庭学習の中で中学1年生の息子に火星関連の動画を結構見せているので、この本もどうだろうと思って再読。火星に取り残されたワトニーの様子は、ロビンソン・クルーソーのようだ(状況は更に過酷だが)。生きることを諦めず、抗い考え動き続け(たまには怠け癖が出たって見逃そう)、ユーモアを失わずにいるワトニーから、息子には色々と感じてもらいたいもんだ。

  • エンタメとしてはマット・デイモンの演技が好きなのもあって映画に軍配を上げるのだが、原作が面白いからこその実写化だなーと。

    電子書籍は、その作品の新版が出ると旧版のダウンロード先がストアから消えることが良くある。ダウンロードできなくなるのではといつも心配になる。この作品もストア掲載が消えていたのでヒヤヒヤする。

  • プロジェクト・ヘイル・メアリーが面白すぎたので、過去作に遡って読んでみた。トラブルに巻き込まれて火星に残された主人公が、自身の科学の知識を元にトラブルを解消し、なんとか生き残っていくという話でした。いろんなトラブルが発生するけど、とても前向きに対処している姿が非常に印象的でした。小説も面白くはあったけど、映像で見てみたいなと思う作品でもあるので、映画版である「オデッセイ」もそのうち見てみたいな、と思ったりしました。

  • おもしろかった。胸が躍るような気持ちで読み進むんだ。

    宇宙飛行士がトラブルで火星に立った一人残される設定は、昔懐かしい「ロビンソン・クルーソー」を思わせる。ただし、文明から切り離されているとは言え空気も水も野生動物も存在し、近くを船が通ることすら期待できる無人島と、火星とでは生き延びる困難さがまったく異なる。火星へ数回の探検隊が送られている世界が舞台だが、そのテクノロジーは現代とほとんど変わらず、地球から火星に行くのにも年単位の時間がかかるのである。そんなところにたったひとりで取り残されたら死ぬしかないと思うのだが、限られた資源を最大限に生かす工夫と不屈の精神、そして何よりもユーモアで生き延びていくのである。

    この「ユーモア」というところがとっても素敵で、いつの間にか主人公が大好きになる。取り残されたことだって、やむをえない、仕方がないと分かっていても、自分の命のことだから、どうして見捨てたんだと恨みの一つも言うのが普通であると思う。しかし、彼はそうしない。合理的・科学的な分析をすることで自分を宥めつつ、ユーモアと優しさを忘れずに、自分を置き去りにした人たちを思うのである。まいったなあと思う。

    そういう主人公の凄さが、結末のとても大きな幸せ感につながるのだろう。テクノロジーの勝利でもあり、人間の持つ意思とかアイデアの強さもとても感じるけれど、その背後にあるものがグンと出て来るラストはある意味思いがけず露骨で、だからこそ強く胸に迫ってきた。うまくいったか思えば次の困難がやってくるという繰り返して、胸を躍らせはらはらとしながら読んでいったが、このある意味「おめでたい」ラストはとてもよかった。

    いい本を読んだと思う。さて、映画は観るか?

  • NASAの火星探査プロジェクト〈アレス3〉に参加した宇宙飛行士のマークは火星で事故に遭い、彼は死んだものと思った仲間たちは地球への帰路についてしまった。NASAともロケットとも交信するすべのない状態から、マークはいかにして生き延びるのか。火星サバイバルSF。映画「オデッセイ」原作。


    初っ端からめちゃくちゃハリウッドっぺー!しかも90年代っぺー!ので、映画化されたのも納得。“アメリカ人が理想とするアメリカ人”的なマークのキャラクターと、NASAの面々が地球で繰り広げるジョークの応酬がマジで30年前の映画っぽいのでなんなんだよと思いつつ、ここまでポジティブな小説を読むのも久しぶりだなぁと思った。
    マーク本人が「NASAに頼らず一人でなんでも決めてたころが懐かしい」とこぼす場面もある通り、NASAのターンよりマークの一人語りの方がずっと面白く、通信不可能になるたびに喜んでしまった。マークのログは火星でのHow to サバイバルになっていて、それが全然知らないキャンプ知識を語っているユーチューバーの動画を見るような楽しさなのだ。
    キャラクターはルイス船長とフライトディレクターのミッチが好きかな。マークと同じく二人ともリスクをとって生存に賭けることができ、他人を信頼し自分の責任をきっちりとれる人物。ルイスみたいなキャラが70年代ディスコのファンだと面白い、って感覚は古臭すぎると思うけど。ヨハンセンが若くて可愛いという理由で男性陣からハラスメントを受けるのも嫌。
    そんなわけで、小説としてはノリきれないところもありつつ、空想科学読本としてはとても楽しかった。作中、「火星にくること自体、不必要な危険でしょうが」とルイスが言う通り、そもそも宇宙に行こうなんて思わなければ火星でサバイバルすることだってない。NASAのプロモーションかよ、と鼻白む気持ちもありつつ、やっぱり宇宙飛行士は人類の夢を背負っているのだなぁと思いました。

  • 停電中にkindleにて読了。冒険譚。
    映画にもなったし評判も良かったので選んだ。火星に取り残されて、死にたくなるような状況でも明るく目の前のすべきことをする人の話。時には怒りに暮れてわめいたり物を壊したりする(アメリカ人らしい)ところもあるが、すっきりした後は、できる事を手を付けて、道が開けていく。見習うべきヒーロー。感動もあって、星五つ。

  • 終盤あたりで「これはガチ宇宙オタクの火星にいったらとうするかのシミュレーション小説だな」と気づいた。
    インテリの本気を是非読んでほしい。

  •  初版本。火星でロビンソン・クルーソー。息子が中学生の時に、読書感想文のネタ本にした。結構なボリュームがあるのだが、よく読んだなあ。生きるために、知恵を絞り努力するところが自分と比べて…。そんなをこと書いていた。

  • 主人公のマーク・ワトニーがとにかく素晴らしい。楽観的だけど慎重。悲観的だけど大胆。あらゆるアイディアに対して検証と妥当性確認をこれでもかと言うほどに丹念に繰り返すエンジニアの鑑。知識とユーモアの歯車による推進力。マーク・ワトニーが素晴らしい。

全87件中 1 - 10件を表示

アンディ・ウィアーの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
村上 春樹
池井戸 潤
米澤 穂信
ロバート A ハ...
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×