あなたの人生の物語 [Kindle]

  • 早川書房
3.81
  • (24)
  • (42)
  • (24)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 475
レビュー : 47
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (374ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • フェルマーの定理にある、「光は自身の最短時間経路を選んで進む」ー ここからの発展でお話が進みます。光はどうして到着する前に最短経路がわかるのだろう?
    確かに、ほんとうにわからない。だって、光は自身で考えることはできないでしょう?どうしてわかるのでしょう。

    そこから映画「メッセージ」につながっていきます。折角なので映画ももう一度観ました。やっぱり好きな映画です。わかっているのに、その選択をしてしまう。家族がいて、娘がいて、それが自分の最善の選択だから。
    深いなぁ。

  • 短編ながら、どれも読み応えあり。
    最後の「顔の美醜について」が
    1番読み越えがあり、好きだった。

  • 人に勧められて読みました。

    SF短編集、と呼ぶには一つ一つが濃く、読みごたえがあります。科学的な理論もゴリゴリ挟んでくるので完全に理解はできないのですが、引き込まれます。
    じっくり本を読みたいときにおすすめかと思います。

    「あなたの人生の物語」こちらは映画にもなったそう。とても静かな感動というか、異星人との交信、と表すととっつきにくいかもしれないですが、メインは愛する事の苦悩や選択等であり、良い物語を読んだな、と余韻にしばらく浸りました。構成力が見事。

    「顔の美醜について」も今度科学が発達していくとなんだかありえそうな話で面白かったな。

  • 『あなたの人生の物語』(テッド・チャン)読了。表題作が好き(タイトルで若干損をしている感)。この、時間の広がりを地図のように同時的に、一瞥性に把握するというイメージには、うまく言葉にできないけどなにか救いというか、荷が軽くなる感じを受ける。やはりというべきか巻末でスローターハウス5に言及されていた。

  • テッド・チャンによる初の短篇集。初にしてスターになっただけのことはある。
    文章が洗練されていてスタイリッシュで、SFというより純文学のような落ち着きがありながらも、設定がしっかりSFとしている。SFは設定が9割だと思っているけど、その点ここに収録されている短篇はどれもかなり個性的な世界観。

    「バビロンの塔」 ★★★★☆
    • 旧約聖書に基づいたSF。てっぺんが見えないほどの巨塔に登る鉱夫ヒラルムの物語。読んでいるだけでその過酷さが伝わってきて辛い。

    「理解」 ★★★★★
    • ホルモン治療の副作用によって、知能が向上した男、グレコ。自分に投薬を行った組織をいとも簡単に欺き、逃走。しかし、そのような人間は自分だけだと思っていたが、実はもうひとり同じ境遇の人間レイノルズの存在に気付く。2人の目指すところを合致せず、想像を超えるバトルが始まる。最後は、レイノルズがグレコに仕込んだ自己破壊のプログラムを、記憶というトリガーによって発動し、グレコは破れる。
    • と、あらすじを説明していても何を言ってるかわからない感があるほどの著者の想像力。通常の人類を遥かに超える知能を得た場合、人は何を目指すのか。

    「ゼロで割る」 ★★★★★
    • レネーは若くして大きな成果を出した実績ある数学者だったが、ある時、数学の存在自体が否定されるような矛盾を証明してしまい、数学者として世界が崩れ去るように精神に異常をきたし、自殺未遂を図った。
    • その夫のカールも20年前に自殺未遂をしている(学生の頃)。自殺未遂の後、精神病棟退院してから、ローラと出会い、感情移入することを学んだ。
    • カールは感情移入することに長け、その自負もあったが、カールにはレネーの感情がわからないことがあった。それはカールがレネーに惹かれた理由でもあったし、悩みの原因でもあった。
    • 正直、初めて読んだときは「ちょっと何言ってるかわからない」状態だったけど、なぜか名作の匂いがぷんぷんするので、読み直したところでやっと理解ができた。時系列的には3から最後の9章まで読み、次に1、2を読むほうが理解しやすいだろう。ちなみに、aはレネーの物語。bはカールの物語。(6だけは2人が一緒にいるシーンだが)

    「あなたの人生の物語」 ★★★★★
    • 本作を原作とする映画『メッセージ (原題: Arrival)』を先に観ていて、オチは知っていたので驚きはなかったけど、SF的な斬新さに満ちていて、幸せなムードも心地よくて、大変な名作だと思う。地球外生命体ヘプタポッドの言語を紐解いていく過程も面白いし、その言語を習得することで過去・未来を見渡すという能力も獲得していくという設定が凄まじい。小説的に言うと、未来のシーンが定期的に挟み込まれていた意味が最後にわかる (ルイーズは言語を獲得しながら、未来が見えるようになっていた)
    • 一箇所だけ、翻訳者の人、やっちまったなと思うところがある。それは、言語学者であるルイーズが「とんでもありません」と言うセリフで、これは典型的な間違った敬語。一方で、別のシーンでは仕事仲間が「ぜんぜんすごい」と言った時にルイーズがその文法的な誤りをツッコミシーンするあるだけに、言語的なミスはあってはならなかったはず。

    「七十二文字」 ★★★★☆
    • だいぶ難解かつグロテスクな部分もあり、読むのは大変だけど、独自の世界観の中で、人類の種としての存続の危機から世界を救うという壮大なテーマに挑む物語でもある。
    • 名辞とは、人形に命を与える七十二文字が書かれた紙。人類は、あと5世代のうちに絶滅する運命にある。命名学によって人類を繁殖させようと試みる。

    「人類科学の進化」 ★★★★☆
    • 人類と超人類が共存していて、超人類の科学力は人類のそれを遙かに凌駕していて人類には理解不能なレベル(至っていて、そのために人類の中では超人類の科学を理解しようという学問が流行る…
    • 科学雑誌『ネイチャー』への寄稿だそうで。SFの設定メモのように短い短篇だけど、ユニークで面白い。

    「地獄とは神の不在なり」 ★★★★☆
    • 天使が本当に降臨したり、地獄が見えたりする世の中で、信仰心というものをテーマにしたSF。

    「顔の美醜について」 ★★★☆☆
    • カリー(美醜失認処理)を施すことによって、人の容貌に対する美醜の感覚を失う処置の是非を議論するドキュメンタリー、という体裁を取ったSF短篇。物語的要素が少ない分、少々物足りないけど、最後にどんでん返しもあり面白い。(カリー反対派の素晴らしいスピーチによって多くの人が考えを改めたが、そのスピーチもまた加工されたものであり、受け手の受け取り方を操作したものであった)

  • とても宗教的な話が多くて、しかも、禅的なアプローチと一神教のアプローチを対比させるところがとても面白かった。因果論からの脱却をタコが語る。変分法。光の屈折率。未来はすでに書かれている。一般的な知性は因果律を求めるために作られていて、ある種の欠落がそもそもの前提になっていて、それを埋めていく作業を輪廻を通じてずっと続けていくと結構しんどくない?娘に対しての回想が続く。結果はすでに分かっている中でfalling down with a style。

  • 異星人とコンタクトを深めていくうちに、思いもよらない「理解」へ到達していく言語学者の物語を描いた表題作など、想像力を自由自在に駆使したSFが味わえる短編集です。

    表題作に興味を持って読んだのですが、映画も未見の状態だったので、まったく新しい角度から「人のたどる運命というもの」を描かれているという斬新さを感じました。
    この異星人のような理解を得て、それで人生は一体どうなるのだろうかと考えたときに、この主人公のように生きるだろうという共感と、そうはならないのではというどこかなにかにあらがたいたいような思い、その両方を抱きました。どちらが正解ということはないのですが、主人公がああして選んで生きた人生は、変わらずに尊くいとしい時間だったということが、やさしい語り口から伝わってきました。

    他の短編では、錬金術のある世界で人類の根源の秘密に迫っていく「七十二文字」がファンタジー味を持たせたエンタメぽくも楽しめました。
    一番インパクトを感じたのが「地獄とは神の不在なり」で、天使によって起こる自然災害に対峙する人間たちの姿を描いたもので、これこそ映像で観たいようなスケール感を感じました。大切な個々人を想う気持ちの尊さと、その想いを圧倒する神という存在のあらがえなさ、絶望感がまぜこぜになった、ただの人間はどういう行動をとるのか、という気持ちの揺らぎがリアルに感じられて、昨今の自然災害を思いやるなどしたのでした。

  • 「バビロンの塔」
    「理解」
    「ゼロで割る」
    「あなたの人生の物語」
    「七十ニ文字」
    「人類科学の進化」
    「地獄とは神の不在なり」
    「顔の美醜について」★★★★★

  • SF設定も多いけど、不思議な物語集。
    3賞とるだけのことはあります。
    どの短編も読み終わった後、物語を噛み直してしまいます。

  • 文句なく星五つ。

    ひとつひとつの物語の余韻がすごい。
    バベルの塔のような、天を貫く塔を建てる男たちの物語。
    ある事故の治療から、人智をはるかに超越した能力を手に入れる男の物語。
    数学の論理式は信頼に足らないと気づいてしまった数学者の物語や、時系列の錯綜したなかで娘の一生を語る母親の物語や文字による力で人類の滅亡を防ごうとする物語や、天使の降臨がもはや天災な物語だったり、顔の美醜をわからなくする装置が開発された社会だったり、とにかく多種多様な驚きがつめこまれている。
    それなのにそのすべてが、アイディア勝負にとどまらずに短編であることがもったいないようなストーリーに仕上がっている。


    だからこそ、一篇を読み終えるごとに、ためいきのような、感嘆のような息をついてしまう。
    どこまでも広がりと奥行きをもったうえで物語は、これ以上ないというぎりぎりのところまで弾き絞られて完結する。
    えっ、この続きは?と無粋にも思いをめぐらせてしまいたくなる直前で。


    寡作の作家というが、このクオリティなら納得。

全47件中 1 - 10件を表示

テッド・チャンの作品

あなたの人生の物語を本棚に登録しているひと

ツイートする
×