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感想・レビュー・書評
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SF小説としても、ミステリー小説としても傑作と名高いアシモフの『鋼鉄都市』。1953年発刊なんですね。そのうち読もーと思って放置してたんですが、この度ようやく読み終わりました。宇宙へ進出したそれぞれの人類がその星で社会を形成している未来。一方地球は人口増加によって都市は逼迫、巨大な人工ドームを作り地球人類はその中で暮らしていた。宇宙から舞い戻ってきた人類のことを「宇宙人」と呼び、人と見分けが付かないほど精巧に作られたロボットがいる社会の中である殺人事件が起こる……。
いまや古典中の古典に入る小説なので、後続作品である『ブレードランナー』や『スナッチャー』等、ロボットやAIを扱っているSF作品の原型があちこちにあって逆に新鮮に感じます。作品的にはとても完成度が高い上にいま読んでもしっかり面白いのがすごい。名作って時代を経てもずっと読まれる強度の高い作品のことをいうんだよなあと当たり前のことを思ったり。主人公であるベイリをホームズのポジションに、相方のロボット・ダニールをワトソンのポジションに(逆に捉えても大差ないかな)置くことで、SFとしてもミステリーとしても楽しい出来になっています。移民の問題や、AIによって仕事を奪われる問題も孕んでおり、先見性の高さも窺えます。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
脳の本を読んでいて、将来的に「知能爆発」(=AI が更に高性能 AI を作り出し、高性能なAIが更に高高性能な AI を作り出し、…)が起きて、人類が排除される危険について書かれていたので、昔観た『アイ・ロボット』という映画を思いだし、その原作を読みたいと思った次第。
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続編『はだかの太陽』を読む前に読み返した。
以前読んだときの記憶は「面白かった」しか残っていない状態だったが,このSFミステリーは二度目も最後まで楽しめた。
この物語が名作であり,アシモフが類い希な大SF作家である事実は揺るぎないが,ただそれでも,今となっては1953年に発表されたこの物語には,世界観の端々に古くささを感じざるを得ない。それは『ファウンデーション』シリーズでも感じたことだった。ネットやパソコンが当たり前になった時代を生きる私たちとアシモフの時代とでは,既に世界を見る感性が異なっているのではないかと思ってしまう。登場人物の女性(この物語ではイライジャ・ベイリの妻ジェシィ)が実に男性視点で古くから思われがちのステレオタイプで魅力に欠けることも,古くささを感じる一因のように思える。
ただ,この古くささをもってしても非常に面白いのは,アシモフの物語には人間というものの真実が追求されているからではないかと思った。
ロボットを毛嫌いしていたイライジャが,その実際的な思考によりダニールを受け入れていく様,度々の葛藤や怒りなどは非常に興味深く,淡々と論理的に語るダニールもまた非常に魅力的だ。ダニールがパートナーとしてそこにいて様々な助言をしてくれるならどんなに有益だろうか。
この作品は,やはり一度は読んでおくべき古典SFなのだろうと思う。 -
何ヶ所かある鋭い観察力や考察による哲学的観念論や思想がめちゃくちゃ面白い。ミステリードラマの部分以外の設定や未来展望、状況なども凄く良い。何度もそれについて考えたり覚えておきたいほど惹かれた。なんだけど最期まで読んでも全く主人公を好きになれなかったところや章の終わりに驚愕の一手を振りかざすみたいにしてキメてくるドヤ感がちょっとテンション下がったりして全体的にミステリードラマ自体が面白くなかった。最初はワクワクと楽しんでいたのになー。それ以外にないだろうと思うような推理や結末も爽快とは言えず。
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最後の一文が良い……!
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1953年にすでにこんな世界が発表されていたなんて驚いた。第二次世界大戦後、武装を解除し、双方歩み寄るのが主流であるといった世の中に生きていたが、先日突然戦争がはじまり、世界情勢も不穏になってきた。そんな時にこの話を読むと、70年前に発表されたこの作品がまさに近い未来のような気がしてならなかった。
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読みやすい。
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昔のSF
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アイザック・アシモフの作品





