2035年の世界 [Kindle]

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  • PHP研究所
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感想・レビュー・書評

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  • 未来を予測する、という言葉には背景によって意味が異なってくる。

    未来予測本というと、〇〇年に経済が崩壊する!なんていうトンデモ本が思いつくが、実際に現状を分析して未来に何が起こるかという未来学という学問も存在する。また、未来学では完全に未来は予測できないので、あるシナリオのもとでどうなるか?という分析も多い。

    例えば軍事や地政学で世界がどうなっていくか?というタイプの本も存在する。例えば100年予測などはその典型的なタイプだ。

    一方で、高城剛の予測は技術や文化に重点が置かれている。本書は未来に起こりうる100の項目について短い説明が並ぶタイプの本である。目次を見てみると、いかにも未来というキーワードが並んでいる。例えば、薬事ロボット、生体情報対応広告、移動可能な家、空飛ぶ自動車、小惑星アポフィス、ILCから新エネルギー、などである。

    キーワードだけ聞くとぶっ飛んでいて、ドラえもんの道具かと思うようなものもあるが、実際に説明を呼んでいるみると、すでに行われて実在する研究やアイデア、すでに実用化されている例などが挙げられており、現実味を感じる。沢尻エリカの元夫で、チャラそうな中年というイメージが先行するが、世界を飛び回っていろんなことを見聞しているのは伊達ではないと感じる。

    例えば、「空飛ぶ自動車」。夢物語に聞こえるが、すでにアメリカのテフラジア社という会社が二人乗りのスカイカーを販売予定だという。ボタン一つで羽根が展開し、公道から飛び立つことも技術的には可能だが、法律的に難しいので滑走路から飛ぶ必要があるという。
    本書は2014年に書かれた本なので、調べてみたら、Terrafugiaは中国の浙江吉利という自動車会社に買収され、予算と人員を得て今では予約注文を受けているところだという。また、大手のボーイングやエアバスもプロジェクトに着手しているという。

    文化などの点でも先進的な事例をもとに予測が展開されている。例えば、「スモークフリーと脱アルコール」。ヨーロッパでは喫煙やアルコールに対する規制が強いところがある。それは単なる禁止ではなく、「喫煙やアルコール摂取はクールじゃない」という考えが浸透してきているからだ。日本だと、禁煙は広まってきているが、アルコールに関してはまだまだだろう。しかし、ヨーロッパではハードリカーと呼ばれるウイスキーなどの度数の高い酒は規制がかかってきている。私が住んでいるノルウェーでも、スーパーで5%までのビールは買えるが、ワインやウイスキーを含む度数の高い酒は政府指定の酒屋に行かないと買うことができない。また、スーパーは夜遅くまで開いているが、ビールは夜8時までしか買えず、それ以降はビールの冷蔵棚にシャッターが降ろされる。

    さらに、「オートマトン」という項目。もとは自律的に動く機械人形のことだが、今ではAIの進化によって自分自身でオートマトンを生み出すロボットになっていく未来があるという。いわゆる技術的特異点(シンギュラリティ)であるが、そうなったときに人間が行う職業として残るのは「精神世界に精通した人」だという。AIに職を奪われた人は仮にAIのほうが優秀だとしても人間のセラピーを受けたがる。人々が求めるものはより「人間らしい」精神の癒やしになるという分析だ。そういう意味では科学全盛のこの時代においても未だに様々な宗教がなくならないことは合点がいく。



    昨今のコロナウイルスに関連すれば、「有害物質は化学からバイオへ」の項目は興味深い。かつての日本や少し前の中国のような健康を害する公害は化学物質が原因だった。しかしこれからは遺伝子組み換えに基づく「バイオ物質」が脅威となる。それは遺伝子組み換えのプロセスによる人為的な可能性もあるし、気候変動などの自然による可能性もある。そして例としてインフルエンザの近年の広がり方を指摘している。


    新書であるし、学術的な本ではないため、ソースが不明瞭なものもある。しかし、高城剛氏自身多くの書籍を著していて詳しい説明は彼自身の著作にあるものも多い。例えば自転車を活用した「バルセロナモデル」ならNEXTTRAVELERシリーズにバルセロナがある。一つひとつは見聞きした話なども多いが、上のスカイカーの例のように検索して調べていくと知らない世界が広がっているものも多い。

    未来がどうなっていくのか考え、自分がどう行動するかを考える上で入口となる本であるように思う。

  • 面白い。実現するのかなぁ。遺伝子検査は受けてみたいな。
    デザイナーズベイビーは嫌やなぁ。気持ち悪い。生理的に受け付けない。そうでない子に対する差別が生まれそうやし。
    子供の頃、夢見てた未来にはワクワクしたけど、この本に書かれている未来には気持ち悪さしか感じない。
    「有害物質は化学からバイオへ」と、未知のウイルスについても言及している。新型コロナを予言?

  • 著者は非常に勉強している事が充分に伝わってきた。特に医学の部分で死なない人間には興味をそそわれた。

  • おもしろかったです。エビデンスは弱いですが、広範囲にわたっており、楽しめます。2014年の本なので、一部は検証できつつありますが、コロナは予言?できていたのか、と思います。

  • よくある未来予測だが、エビデンスが弱く、精度はあまり高くないと感じた。一方、見聞の広い高城さんならではの視点・切り口も多いので、ファンの方は楽しめると思う

  • 2014年時点で20年後を俯瞰する。まさか新型コロナが世界を変えることは想定していないはずだが、かなりの引き金になって日本は変わろうとしている。

  • これから20年人類は体験したことのない変化に直面している。特に遺伝子工学によって人類は信じられないほど長寿になる。
    同じく多くの仕事がロボットに置き換えられるらしい。
    この本は著者の私的な予測の本です。仕事をしながら世界を放浪し各国の研究機関の研究者学者の話を聞いて感じたキーワードを100項目にまとめたものです。

  • 知らない技術もあり参考になった。
    ただところどころ根拠に欠けると感じた

  • とんでもなく変化しているのは把握していますが、どんな世界になるかは想像できない。6年以上前の本ですが、夢のようなことが書いてあって楽しく読めました。

  • 20年後の世界を今の延長から予測する内容。
    様々な分野が網羅されており、本当に20年後になるかはさておき、数年後に読んでも概ね方向性としては同意できる内容で面白い。
    言われてみればそうなるよね、というものも多いが、それを言われなくても分かるように思考のトレーニングは日々行いたいと思った。

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著者プロフィール

高城 剛(たかしろ つよし)
1964年東京都葛飾区柴又生まれ。
日本大学芸術学部在学中に、「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。自身も数多くのメディアに登場し、NIKE、NTT、パナソニック、ソニー・プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。2008年より、拠点を欧州へ移し活動。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。著書に『世界はすでに破綻しているのか?』『空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか?』『カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ!?』(集英社)、『ヤバいぜっ! デジタル日本』『オーガニック革命』(集英社新書)、『2035年の世界』(PHP研究所)、『人生を変える南の島々』『LIFE PACKING2.1 未来を生きるためのモノと知恵』(パブラボ)などがある。

「2017年 『不老超寿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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