未必のマクベス [Kindle]

著者 :
  • 早川書房
4.08
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感想・レビュー・書評

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  • 年末の休みに、普段あまり手が伸びないエンタメ系小説をkindleで。どうせ読むなら腹いっぱいになるものがいいだろうと、「異色の犯罪小説にして恋愛小説」という惹句にひかれて選んだ一冊。
    交通系ICカードの販売に携わっているビジネスマンと、彼らのビジネス展開を中心に据えた極めて現実的な設定で、まず引き込まれる。その一方、主人公の人間像がどことなく透明で、感情移入には至らない。それでも、そんな彼らがつとめて冷静に殺人に関わる姿に、無謀にも「自分ならどうする?」などと自問してしまうほど没入する。(本文中にも登場する)沢木耕太郎の『深夜特急』を彷彿とさせるアジア各地を舞台とした目まぐるしい展開を経て、最後はタイトルにある『マクベス』のような悲劇の読後感が残る。
    もう腹いっぱい。中だるみなど一切ない長編は予想以上の満腹感で、時間を忘れて読み通した。

  • 恋愛小説。

    (旅行好きなので)「旅って何だろう?」からはじまる冒頭のモノローグに引き込まれた。そこから展開される謎と翻弄される主人公たち。

    悲劇になぞらえて進んでいくプロットと、ハードボイルドでどこか破滅的な調子がとてもよく合っていた。読みながら、どこかで運命のレールを外れてくれと祈っていたのは私だけではないと思う。

    ミステリという感じではないので、精緻なトリックや勧善懲悪を期待して読むのはおすすめできない。

    結末はもうすこし違った方向に行く方が個人的には好みだが、それも含めて読後の余韻に長く浸れる本。最高です。

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