謎の独立国家ソマリランド [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • WEB本の雑誌で最初のほうを読んでいたので、読んだことない部分が少なかったらどうしようと不安だったんだけど(そういう点、電子書籍は全体量を目で見られないのが難かもしれない。あと、いずれ書籍化するものはWEBに載せないでくれたほうがいいかもと勝手に思ったり)、もちろん、読んだことない部分が膨大だった。
    でも、膨大さなんて感じさせないおもしろさ!
    いちばんおもしろかったのが、「海賊行為をおこなうための見積もり」を立てるところ。なんだかものすごくわくわくした。見積もりなのに。つまり、ただの妄想なのに。
    やっぱり、そういうどうでもいいっていったらあれだけど、高野さん自身の感想とか考えとか妄想とかがすごくおもしろかった。現地の氏族制度とか、だれとだれが争っていてっていう戦国時代の武将みたいな話は、まさにその武将になぞらえた説明はとてもとてもわかりやすいと思うのだけど、やっぱり細かい部分とかわたしの場合なかなか頭に入らない感じはちょっとあったかも。(すみません。頭が悪いうえに歴史も苦手)。

    あと、笑ったのが、そこらじゅうに肩から銃を下げている人がいるのが、最初こそ恐ろしげだったものの、だんだん、流行りのちょっと変わったショルダーバッグみたいに見えてくる、とか、そういった表現がいちいちおもしろい。

    それにしても、失礼ながらこれまでまーーーったく興味もなかったし、これからなにかわたしがかかわりをもつとは思えない、ソマリランド、という国についてやけに深く理解して、親しみをもつようになった気がする。わたしも高野さんのように、ソマリランド独立を支持したい、とまで思った。

  • クレイジージャーニーでお馴染みの高野さんが、無政府状態と化したソマリランドを珍道中。何度も揺さぶられる価値観は興味深くて面白い。

    なかでもブラックホークダウンのエピソードは印象的。アメリカが善でソマリアが悪という描かれ方は間違っていた!?現地に踏み込んだからこそ判明する数々のリアルは勉強になる。傑作。

  • ソマリアと呼ばれている地域を旅して取材したルポ。

    その辺でニュースを見ている限りでは絶対に分からない現地の情報がこれでもかと詰め込まれている圧巻の本。
    筆者が(ハイになれるという)カートという葉っぱを噛みながら氏族制度を学んでいく姿はコミカルながらももの凄いリアリティを叩きつけてくる。
    こんなに面白い本はそうそうない。

  • 圧倒的な取材力。これぞジャーナリズム。
    国際社会で知られることのないソマリランド、ならびに南部ソマリア/プントランドにどっぷり浸かってその事情を深い洞察力で書き上げた一冊。なぜ国際社会で認められていないアフリカの一小国で、民主主義体制と平和を維持出来ているのかの秘密に迫った迫力ある一冊。かなりオススメ。

  • これは読み応えのある本だった。そもそもソマリランドって国があることすら知らなかったし、関心もそれほど無かったが、この本を読んでどんな国か理解できた。
    近隣の紛争地域とは異なって、至って平和な国になるにはどんな過程を経たのかを著者の入り込む取材によってとてもリアルに感じることができた。
    お酒が禁じられているのでカートというドラッグ見たいな葉っぱをむしゃむしゃ食いながら、現地の人たちから様々なことを聞き出していく著者のパワーに圧倒された。これぞジャーナリストだなと。
    一番驚いたのが、海賊がきちんとしたビジネスとして機能しているところだった。その気になれば船を調達して、人員を配置して、外国人の商船を拉致して、身代金を要求し、調停役の長老と相手国の企業と交渉してもらうことができる。船のチャーター料、船員の人件費、調停役の長老への謝礼等を考えて、身代金の額をいくらにすれば利益がどれくらいになるかを計算するのだという。まさにビジネスだ。そりゃ海賊なくならない筈だわ、と思った。
    他にも氏族を大前提とした民族同士の結びつきや政治のあり方など、いろいろ学べるところが多くてとても面白かった。良書。

  • 高野秀行先生、二作目。
    アフリカあたりに全く知識のない私、なんとか食らいついて読んだ。政治や氏族の内容は正直理解したとは言えないものの、生活習慣や文化面は衝撃の描写と飄々とした筆致のコントラストで抜群にユーモラス。

    ほかのもたくさん読みたい。

  • 随分前に読了、記録

  • 500ページ超の大作。
    正直、ページ数ほどにはソマリランドに興味は湧かなかったが、著者の姿勢というか取材の仕方というか、そのあたりはとても興味深かった。

    ソマリランドの内実というよりもむしろ高野秀行という人が書いている、というあたりに興味を持って読むことができた。

    とはいえ、ソマリランドの人々の生き方は日本とはだいぶ異なるようなので、その点は興味深かった。

    払ってもいい金額:2,200円
    貼った付箋の数:11

  • ジャーナリズムの真髄を見た。

  • アフリカについて全く無知だったが、ソマリア事情に詳しくなれる。
    修羅の国と思われがちなソマリアであるが、ソマリランドと呼ばれる地域は、氏族制を通して復讐の連鎖を止めることに奇跡的に成功し、一定の治安を保っているらしい。
    筆者がカートにハマっていく様子に若干心配になってしまう。

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著者プロフィール

1966年、東京都八王子市生まれ。ノンフィクション作家。早稲田大学探検部在籍時に書いた『幻獣ムベンベを追え』(集英社文庫)をきっかけに文筆活動を開始。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書く」がモットー。アジア、アフリカなどの辺境地をテーマとしたノンフィクションのほか、東京を舞台にしたエッセイや小説も多数発表している。

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