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感想・レビュー・書評
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映画はずいぶんわかりやすいように改変されていたんだなぁー、と驚いた。ハダリーの能力とか映画見てなかったら正直よく想像できなかっただったろうな(;´・ω・)結構難解なのですが死者が労働力となる世界>>都合のいい労働者を生み出すために霊魂を上書きしてしまう という技術の応用はいかにもありそうだ。「それは私がやり残したことじゃない。私の意識がやり残したことさ」というのが伊藤計劃のメッセージのようにも見え、また遺稿を引き継ぐというえらい仕事を任せられた円城さんが苦渋の果てに見出した答えのようにも思う。
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伊藤計劃の名前につられて購入。
なんとなく読み飛ばしていたので、完全には理解できていないかもしれない。
とにかく話がわかりづらい……。
ただ、読んでいる間ワクワク感を覚えたのも事実。
舞台は産業革命時のイギリスからロシア、日本など世界各地に広がり、
ゾンビ物と思われたテーマは、いつの間にか世界の存亡(?)につながっている――。
風呂敷の広げ方とたたみ方、そして発想はすごいなあ。 -
とても上から目線のコメントで申し訳ないです。でも、正直な感想です。そもそも、私は伊藤計劃さんの映画が公開されるというのがきっかけで本書などを読み始めました。「虐殺器官」から「ハーモニー」、そして本書をと、発行順に読んできました。3作品を比べると、明らかに本作品は伊藤計劃さんのテイストというか色が薄いのです。違う色だと言った方がいいかもしれません。もちろん、ほとんどの部分は円城氏が執筆しているのだから仕方ないのですが。そんなわけで、伊藤計劃さんの作品として読もうとするのはやめた方がいいです。
ところどころ、あえて伊藤計劃さんを意識した文章もあります。意識の定義みたいなものは「ハーモニー」のそれのようだし。生きている者と死んでいるものとの絡め方は伊藤計劃さんの考えに近いのかなと感じます。
最初に書きましたが、読み方としては、伊藤計劃作品というのを忘れた方が楽しめます。単体の作品として良くできているので、円城さんの作品として楽しむべきなのでしょう。そうしないと私のように何か物足りなさを感じてしまうので。
最後に、伊藤計劃作品として読もうとする人は、読む順番を考えた方がいいかもしれません。もしかすると、最初に本書を読んで、次に「虐殺器官」、最後に「ハーモニー」と続けるのが、個人的には良いと感じました。「ハーモニー」を最後にするのがポイントです。 -
※積読中
脳にデータを書き込むことで蘇生させた屍者が、兵隊や単純労働者として一般に普及した世界の話。亡くなった伊藤先生の草稿を円城先生が引き継ぎ、完成させた作品だ。
ストーリーは面白い。面白いのだがいかんせん文章が冗長すぎる。そして小説で映画をやりたかったのか、演出がハリウッドか007じみていて無理がある。
登山中や長距離を歩く時に、思考が散漫になることはないだろうか。友人のことを考えていたと思えば、次の瞬間には昨日聴いた音楽を思い出すようなあの感覚だ。あの散漫とした思考を全て書き下ろしたような文章といえば伝わるだろうか。余計な文が多すぎて、何日か間を置くと「主人公の現状どうなってたっけ?」と忘れそうになる。
この冗長な文章が全て駄目というわけではない。屍者の軍隊が無言で攻め入るシーンや徒歩で荒野を移動するシーンでは、この文章がとても効果的に機能している。
だがやはり全体で見れば無駄が多い。序盤に出てきた用語を完全に忘れた時点で読破は諦めた。
演出についてはスパイ映画を想像していただきたい。あれそのまんまである。謎の美女が出てきて、主人公に色目使ってハニトラするわけだが、映像の場合登場人物の視線や表情で会話はなくても惹かれていることがわかる。
だが小説ではそうはいかない。きっちり要所要所でキャラの心情を説明していかないと「こいつらいきなり盛り始めたぞ?」と読者は置いてけぼりをくらうし、今回見事に食らったわけだ。
そもそもこの話、プロローグ以降中盤まで主人公の人格を掘り下げる場面がほぼない。容姿の説明もろくにない。これではのっぺらぼうのカカシがハニトラに引っかかるようなものだ。盛り上がるどころかたいそう間抜けな光景だろう。
話は面白かったので、いつか2,3日まとめて時間がとれれば再読したい。 -
伊藤計劃の遺稿を円城塔が引き継いだ作品とのことで、ふたりとも好きなので是非読みたいと思い購入した。あとがきでも触れられているがこれはまさに円城塔の作品で、伊藤計劃に寄せて……などというものではない。題名通り屍者の帝国の話でありながら、歴史改変物で、自分が知っている作品や人物名が次々出てきて、それが色んな意味を孕んでいるところにも興奮をおぼえた。円城塔らしいお話、締め方だった。
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死者に擬似魂を与えることで蘇らせた存在、屍者を労働力や兵士として利用している世界。シャーロック・ホームズに出会う前のジョン・ワトソンが主人公で、屍者をめぐる陰謀に巻き込まれ、アフガニスタン、日本、アメリカ合衆国と世界一周することになる。途中、魂や不死についての考察がえんえんと続く部分が読みづらかった。当時の有名人や小説の人物も登場する。伊藤計劃のプロローグに円城塔が物語を書いたということだが、プロローグだけで世界設定が十分だったということを、読み終わってからあらためて感じた。
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よ…よーやく読み終わった…私の人生で一番!ってくらい読了に時間かかったのでは…。ほんとにキツかった…。
伊藤計劃、前の二冊読むのにもそーとー時間かかったけど、これはその比では無かった…。ググッた感じ、より読みづらかった部分は円城塔のカラーなのかも…。
話はね…オチはすごく好きなんですよ。でもそこに至るまでの「お前らこれくらい知ってるだろ?」的な歴史地理の知識の奔流と、禅問答的なやり取りがほんとに…厳しかった…。
人さまの感想見たら「ググりならがらじゃないと読めなかったけどサイコーでした」みたいなのが散見されたんですが…すまん…私は物語だけに集中したいタイプなので読んでる途中でググらないと読めないのは点数下がるです…(知識なくてすまんね)
アニメの方見たらもう少し解像度上がるかな…。
あ、ネタバレなんですが…
フライデーはSになるのかと思ったらMなのかぁあああああ!!!
という所はとても好き。 -
伊藤さんの作品ではない。
完全に円城さんの書いたもの。
円城さんは、私は合わないから、読んで損したレベル。 -
伊藤氏が書いた序盤以外を、円城氏が引き継いで完成させた作品。
ハーモニーを読んでからこちらを読むと、やはり書き方が別物だなと。これぞ伊藤計劃だ!とワクワクして読めたのは正直序盤だけでした……
ですが別物なのだと割り切って読み進めると、円城氏の独特の文体に慣れた中盤からは作り込まれた設定や重厚なストーリーに引き込まれてどんどんページをめくってしまいました。要はスルメ小説です。映画を見た後に何度か読むと、そのたびに気づきがあってさらに面白いかと。
読み終わってお腹いっぱいになったあとにまたもう一度読み返してみようと思える不思議な作品でした。 -
ヴィクトリア朝のロンドンが舞台というだけで面白い。設定もなかなかの物です。