饗宴 (光文社古典新訳文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 旧訳よりも読みやすくて、解説も充実していて理解しやすいと評判の、中澤訳。たしかに、噂はまちがいありませんでした。こんなに楽しく読み通せていいんでしょうか、というくらい。今の学生は、恵まれているなあ。
    前にも書きましたが、プラトン、そしてその解説などを読むと、解釈・研究の積み上げの分厚さに驚きます。私自身はそんな境地に達することはできませんが、しかし、そこをめざしていろんな本を読んでいきたいなあと考えています。プラトン研究をしたいということではなくて、読書をするうえでの深さを会得したいということで。【2019年6月2日読了】

  • 青年愛を題材にしているとはいえ、エロスに関する本質的な考察が、この時代において深く哲学されていることに驚きの念を感じ得ない傑作。当時の価値観を基準に理解する視点としての丁寧な解説とともに、翻訳は新しければ新しいほど、現代人の言語世界にフィットするという意味で非常に理解しやすい翻訳書です。

  • かつて人間は二人がひとつに合体した球体状の生物で、さらに男・女・アンドロギュノスという三つの性に分かれていたというアリストファネスの話が面白かった。

    一方あくまでエロスに関する議論の記録という体裁を取っているからか、やや面白みにかける弁舌もあり、"そのまま収録した風"に仕立てている感があった。
    解説によると、話の中身よりも聞こえの良い美辞麗句をたくみに織り交ぜた、ソフィスト的な弁舌をあえて入れているようだ。

    エロスは良いもの(美しいもの)を永遠に所有したいと望む情動である。
    しかし永遠に生きることも所有することも人は不可能であるがために、子をなして美しいものを育てようとする。
    子とは、男性と女性の間に生まれる実際の子供だけをいうのではなく、大人の男性が少年を愛することで育てる「徳」もある種の子だと考えている。
    また受精前の精子のことも、男性が宿している子としてみなしている発想も興味深い。
    ざっとまとめるとこんなところか。

    すぐに感想をまとめなかったせいで、だいぶ記憶がうすれてしまった。
    何年か後に再読したい。

    プラトニック・ラブという言葉の語源は「プラトン的な愛」というのもはじめて知った。

  •  以前の哲学おすすめリストにあったので素直に読んだら、哲学者が語るエロス(わりと少年愛)とは・・・というものだった。えっ。どゆことどゆこと?会社で読んだら恥ずかしい奴(?)とか最初混乱したが、物語としてめちゃくちゃ読ませるので一気に読んで解説を読んだら始めてその真意をくみ取ることができた。
     光文社古典新訳文庫、推しです。あとがき、解説の充実が半端ない。これがあるだけで読後の深まりが全然違う。
     言葉でどこまでも表現していこうとしても出来ないことをソクラテスが考え続けていたのがプラトンの言葉でいま自分が知る。ああ、読書の醍醐味を感じる。
     少年愛って未知の世界・・・とか思っていたら、ギリシャ時代には普通の文化だったのか。とにかく登場人物が生き生き描かれていて、「あ、こういうめんどくさい人会社にいるわ」みたいな感じで読める。
     これを読んで俄然古めの哲学書に抵抗がなくなった。
     これ難しいんじゃないかというタイトルも是非光文社古典新訳文庫で読んでみたらいいと思う(まわしものではない)。

  •  「読書する人だけがたどり着ける場所/齋藤孝」で推薦されてたので読んでみた。

     古典哲学は読むの初めてで身構えていたけど、文学チックな構成と、登場人物ごとに口調を変えてくれる優しい翻訳に助けられて、すんなり読み切ることができた。

     ソクラテスが話し出すところから急に哲学しだす展開がほんとに盛り上がる。ソクラテス以外の人の演説はちょっと期待外れというか、なんか内容薄く感じるなぁと思ってがっかりしながら読んでいたんだけど、ちょうどその部分をソクラテスが批判することでグッと話に引き込まれた。

     このままだと、「ソクラテスはすごい。ソクラテス以外はダメだったな」ってなるとこなんだけど、ソクラテス以外の演説も色々意味があるんだよと訳者の解説が入る。自分だけではたどり着けない場所に案内してくれる解説助かる。そしてプラトンはそこまで考えてこの本の構成をしてるのかと思うと古代ギリシャの深さを感じる。

     内容を要約するほど理解できなかったが雰囲気だけはつかめた。男同士の恋愛関係が一般的だったことがわかっただけで読んだ価値はあった。

  • 会話のための会話ではなく、心に触れるような会話がしたい、心からそう思った。

  •  対話形式で「愛」のあり方について語り合う。ちなみに「饗宴」とは、共に酒を飲むという意味であり、男たちによるパーティーであった。もちろん、女性もいないわけではなかったが、女性はあくまでパーティーの華を添える存在であったという。流れとしては、一通り食事を済ませたあと、神々に御神酒を捧げて、賛歌を歌う。

  • 今までで一番読みやすい作品だったように思う。理解できてるかは別の話として。

  • 岩波文庫に比べて訳が読みやすく、解説が多いので深く理解できた。

  • 時代背景も丁寧なので、だいぶ作品に入り込めた。プラトンはソクラテスを主役に戯曲を書いたシェークスピアのようなものだ。

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著者プロフィール

山口大学教授
1961年 大阪府生まれ
1991年 京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学
2010年 山口大学講師、助教授を経て現職

主な著訳書
『イリソスのほとり──藤澤令夫先生献呈論文集』(共著、世界思想社)
マーク・L・マックフェラン『ソクラテスの宗教』(共訳、法政大学出版局)
アルビノス他『プラトン哲学入門』(共訳、京都大学学術出版会)

「2018年 『パイドロス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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