- Amazon.co.jp ・電子書籍 (1760ページ)
感想・レビュー・書評
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【あらすじ】国の資産である「闘蛇」を世話する母は、処刑される寸前、禁忌を犯して娘・エリンの命を救った。やがてエリンは、闘蛇と同様に国が大切に保護する「王獣」に惹かれ、母と同じ「獣ノ医術師」を志す。想いの強さから王獣と心を通わせるようになったエリンは、王国の戦いに巻き込まれ、過酷な運命を背負うことになるーー。外伝1冊を含む、全5冊の合本。
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【感想】
本編4冊を分解すると、前半2冊はエリンの子ども時代で、自らのルーツを探していく過程。後半2冊は、結婚し、子どもを持ったエリンが、自らの運命と戦っていく話。本来は前半2冊で完結していたはずの物語らしいけれど、後半もあってよかった。個人的には、後半の方が面白く読むことができた。前半は、闘蛇や王獣の謎を解いていくSF的な要素が多いけれど、後半は政治的な駆け引きなどが中心になっているからだと思う。闘蛇や王獣という存在は、おそらく例えでしかない。便利なものを得た時に、それをどう使うかは人間次第だし、戦いが止むことはない。それが人の性だから。「児童文学」というジャンルらしいが、むしろ大人向けの作品ではないかと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
まじでおもしろいっすわ。
親と子の関係もそうですし、生物の生き様から人の生き様とか、人の生末とかを見たりできます。親から教えてもらったことの意味を自分が大人になって理解できるように、物語の中で登場人物が成長していく様が見れます。それを見ながら自分もそうであったなあと思ったり、その痛みあ温かみを感じたりすることができるのです。それをファンタジーの中で、空想上の生き物、王獣、闘蛇という重要なキャラクターの生態を解き明かしながら進んでいくのです。ああ、よくできている世界観。
よし、この著者の他の作品を読んでみよう。 -
すごい面白い
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再読。これは、大人になって読み返すと、昔とは全く違うことが見えてくる。複雑に絡まった政治的な抗争の中で生きるエリンの幸せを願わずにはいられない。イアルとエリンの馴れ初めもしっかり二度読みした(笑)
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全世代読めて、何十年後も読まれているんだろうなっていう良い文章だった。
知的好奇心、集団と個人、制約みたいなことについて思いを馳せながら読んでいた。
学んだところで争いはなくならないけど、見て学ぶことでそれについて目を背けずに考え続けることができるってのは1つの救いかなと思った。 -
やはり上橋菜穂子さまは素晴らしい!
IIの王獣編で、ちょっと残念だったと感想書いてしまいましたが、すべて読み終えると、そんなふうに思ったことも忘れて、もう満足感しかない!
エリンの最期はショックやったけど。
そういや、しょっぱなに母があのような形で処刑されたのもショックやったな。読んでいてつらかった。。子どもは読めないだろう。
ついついお話の世界に入り込んでしまう私。中年にもなって。
生物を、人間の都合でその生を、歪めてしまってよいのか。そうした歪められた生を生きる獣は、そのことをどう感じているのか?わからない。かわいそうだと思っているのは、ただこの私。わかりえることはない。。
現実には、人間は、人間自身の生をもコントロールしている。どこまでいけば、自然でないことになるのか。それで、真に幸せになるのかーそれもまた、人それぞれで、わかりえない。。
平和であるために人々に事実を知らせないことよりも、リスクをおかしても、真実を人々が知るべきであるのか。国の平和のために、防衛はどうあるべきなのか。
いくつものテーマが、私の生きる現実に重なって、そこもまた、ひきこまれる一因だろうな。
アクション満載の本編から外伝にうつると、ワクワク感が急激にダウンして、恋愛話のトロトロ感にとまどうのだけど、入り込みすぎてた頭を冷やすのにはちょうどよかったかも笑 -
主人公エリンの内にある、青白く燃え上がるような怒りと悲しみ。
読みすすめるのが痛い、辛い、悲しい、苦しい。それでも読んでしまう。
「精霊の守り人」でもそうだが、主人公の強く激しい生き方は、凡庸な私には天地がひっくり返っても真似できない。なのに、白けることなく感情移入できる。
なによりもそこが凄いと思う。 -
主人公が王獣や闘蛇の謎を解いていく先には災いがまっていると知りながら、謎を解いていくところに、人間は好奇心を抑えることが難しいと感じた。
著者プロフィール
上橋菜穂子の作品





