論語 (岩波文庫) [Kindle]

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  • 岩波書店
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感想・レビュー・書評

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  • 孔子ら諸子百家が活躍したのは春秋戦国時代(紀元前500年ごろ)。宗教ではなく哲学。君子とはどうあるべきか、君子にはどう従うべきかというのは現在の我々には適用しにくい教えも多いが、一方で心に響く教えも多い。

    漢文、書き下し文、日本語訳文が並列して載っていて、書き下し文を口に出して読んでみると、余計にその教えが好きになるのでおすすめ。

    余談だが、表紙の顔回が孔子の後ろに着いていく絵が可愛いし、尊い(笑)

  • 2.3

  • ついに読み終えた。高校時代以来。

  •  春秋時代末期の思想家、孔子が弟子との会話を通してその生き方についてまとめた本である。全部で20編あり文脈は関係なく名言を羅列している形式。
     今から2500年前、平和な日常と比較するとその時代は大きく異なるものであっただろう。戦争で領土を奪い合い、自らの地位をかけて睨み合う。その時代の金言にも関わらず、その多くは今にも通ずる。子はどれほど世界を達観し、どれほど人を見ていたのだろうか。人を欺き、人と優劣をつけ、自分の利益のために生きるという煩悩にまみれた現代人にとって読むべき書であることは言うまでもない。
     経済界の偉人、渋沢栄一を含む多くの人に影響を与えたこの書は、自分の人生観・仕事・友情・家族・恋人、あらゆることに教えを授けてくれる。その中でも心に響いた言葉をあげようと思う。



    「巧言令色、鮮なし仁。」

    現代語訳:言葉上手の顔よしでは、ほとんどないものだよ。仁の徳は。

    言葉巧みに世間を歩んでいる人は、誠実さというものがほとんどない。言葉ではなく行動で示すこと。自分の言葉に重みを持つことを教えてくれる。




    「人の己をしらざることを憂えず、人をしらざることを憂う。」

    現代語訳:人が自分を知ってくれないことを気にかけないで、人を知らないことを気にかけることだ。

    人は愚かであり、自分以外の視点を持つことができない。そのため人にやってもらうと嬉しいことを、なぜか自分からできない。返報性の原理と同じで、自分がやってほしいことは率先して人にやるべきなのである。ああなんて愚かなんだ。




    「利によりて行えば、怨み多し。」

    現代語訳:利益ばかりにもたれて行動していると、怨まれることが多い。

    怨まれることがダメだとは思わないが、利益最優先の行動はいい気がしない。利益は後。道徳心を以てして行動をしたい。特にこれから仕事をするにあたって。




    「中人以上には、以て上を語ぐべきなり。中人以下には、以て語ぐべからざるなり。」

    現代語訳:中以上のものには上のことを話してもよいが、中以下のものに上のことは話せない。

    人に教えるにあたっては、その教えられる人の能力に拠らなければならない。そもそも未熟なる者が人に教えを授けることは愚かなこと極まりないが、その教えが自分本位であれば、それはただの自己満足である、そのように感じた。




    「君子は人の美を成す。人の悪を成さず。小人はこれに反す。」

    現代語訳:君子は他人の美点を成し遂げさせ、他人の悪い点を成り立たぬようにするが、小人はその反対だ。

    立派な人間は人の強みに目を掛ける。クソ人間は人の弱みに目を掛ける。人の弱みに漬け込んで何になろうか。強みを見つけてそれを手助けする、なんて美しいことなんだ。




    「速やかならんと欲することなかれ。小利を見ることなかれ。速やかならんと欲すれば則ち達せず。小利を見れば則ち大事ならず。」

    現代語訳:早く成果を上げたいと思うな。小利に気を取られるな。早く成果を上げたいと思うと成功しないし、小利に気を取られると大事は遂げられない。

    視野を広げる、ただその一言に尽きる。偉大なるものには、影の部分で大量の時間をかけた努力が行われている。何を急ぎ足になろうか。




    「過ちて改ざる、これ過ちと謂う。」

    現代語訳:過ちをしても改めない。これこそが過ちである。

    ミスをすること、間違えること、勘違いすること、何かを成し遂げようとするときにつきものである。しかし間違えることに問題はなく、自らを顧みず自らを直視しない。それこそが最もいけないのである。自分のミスから逃げ出さず強い人間になりたい。




    「君子に三畏あり。天命を畏れ、大人を畏れ、聖人の言を畏る。小人は天命を知らずして畏れず、大人に狎れ、聖人の言を侮る。」

    現代語訳:君子には三つの畏れがある。天命を畏れ、有徳の先輩を畏れ、聖人の言葉を畏れる。小人は天命を知らないで畏れず、大人に馴れ馴れしくし、聖人の言葉を馬鹿にする。」

    運命に争い勝手すること、有徳な先輩に馴れ馴れしくして尊敬しないこと、昔からある名言に耳を傾けないこと、全て愚人が行うことである。自分は不束者であることを理解し、徳のあるものへの敬意が大事である。



     これ以外にも数多くの名言が残る。それら全てに通ずることが、他人を敬い、自らを省み、道を以てして行動する。そして自らの言葉に責任をもち、過ちを改め勉学に励み、世のために生くる。これこそが仁のある人間であろう。
     現代を生きる人間としての行動原則をこの書から感じた。

  • 一昨日は走りつつ岩波文庫、論語を購入
    何も予備知識なく当たってもしんどいと予想し、100分de名著の解説とともに読む。結果正解だった。
    そもそも論語は孔子の言ったことを前後の意味のつながりなく束ねていったから、通読に意味は無さそう。コンセプトが各文のなかに散りばめられ、それを集めていくような作業を通して孔子の教え=人間学を学ぶような読み方が良さそう。
    中庸、温故知新、etcなど、ここが原典となるものは多い。新たな発見として、温故=昔の評価されているものにひっかけて、知新=自分の解釈を加えて考える、という読み方が解説されていた。[正解]ではなく、自分の頭で考えよう、と。実際に論語の中にもあった。学んで思わざれば則ち(くら)し、、でも難しいよね。正解探しちゃう

  • 512の短文が全20篇で構成されている。篇の名称は各篇の最初の二文字(または三文字)を採ったものであり内容上の意味はない。前10篇を「上論」、後10篇を「下論」と呼んで区別したりもする。
    学而第一(がくじ)
    為政第二(いせい)
    八佾第三(はちいつ)
    里仁第四(りじん)
    公冶長第五(こうやちょう)
    雍也第六(ようや)
    述而第七(じゅつじ)
    泰伯第八(たいはく)
    子罕第九(しかん)
    郷党第十(きょうとう)
    先進第十一(せんしん)
    顔淵第十二(がんえん)
    子路第十三(しろ)
    憲問第十四(けんもん)
    衛霊公第十五(えいれいこう)
    季氏第十六(きし)
    陽貨第十七(ようか)
    微子第十八(びし)
    子張第十九(しちょう)
    堯曰第二十(ぎょうえつ)

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著者プロフィール

1920年、三重県生まれ。東北帝国大学法文学部支那哲学科卒業。文学博士。東北大学名誉教授、追手門学院大学名誉教授、日本学士院会員。2003年、勲二等瑞宝章受章。著書に、『秦漢思想史研究』(平楽寺書店)、『管子の研究』(岩波書店)、『淮南子の思想』(講談社学術文庫)などがあるほか、訳書に、『論語』『荀子』『荘子』『韓非子』『孫子』『大学・中庸』(いずれも岩波文庫)など多数。2006年、逝去。

「2022年 『死と運命 中国古代の思索』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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