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- / ISBN・EAN: 4532318409191
感想・レビュー・書評
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二次大戦末期、双子の兄弟は両親と離れ、母方の祖母の家に疎開する。
村人から魔女と呼ばれる祖母から重労働を強いられる2人だったが、肉体的、精神的な訓練をしながら、たくましく生き抜いていく。
双子が逞しいだけでなく、残酷でもあるのは戦争をしている大人たちを見ているからだろう。
無表情に視線を向けてくる双子に、観客を含め大人たちは心の内を見透かされている気がして怖いです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
兄弟にとって生きていくとは…
戦争で最早、人は人でなく、家族も倫理も宗教も全てをないがしろにしてしまっていた。そんな世の中には、ずるくて汚くて自分だけが良かれと動物のように生きている大人たちが蠢いていた。半ば親に捨てられた兄弟は、父の言いつけを守り、聖書を読み、教養を身につけ、子供が生き残るための術を市井から学んだ。より純粋に真っ当で利口な大人になるために自分たちを律して生きていた兄弟は、父母や聖職者、警察、軍人など指導者や為政者たちの言動と行動の違いに気づいてしまう。
一卵性の双子の美少年たちのあの眼差しにはうっとりしてしまう美しさが潜んでいた。悲しみと憂いと憤りを湛えるあんな目で見つめられたら声が出なくなってしまうかもしれない。双子とは不思議な存在だ。各々が自分であり分身であるような…最後は思わぬ展開だった。大事な分身を手放してしまうなんて及びもつかない展開に数年後、大人になった彼らの再会を空想した。
とても切ない悲しさがあるけれど逞しさにうち惚れるような潔さを感じるいい作品だった。 -
第二次世界大戦末期の1944年8月14日。双子の兄弟(アンドラーシュ・ジェーマント、ラースロー・ジェーマント)は母親に連れられ、村人から“魔女”と呼ばれる祖母(ピロシュカ・モルナール)が暮らす国境に近い田舎へ疎開する。
母親と別れた兄弟に与えられた仕事は、薪割りと水汲み、そして鶏や豚への餌やり。祖母の家の敷地には川があり、その先は外国だった。
やがて仲良くなった隣家の少女と一緒に、町の酒場で寸劇などをして小銭を稼ぎ始める。また、森の中では兵士の遺体を発見し、そこから武器を盗む。
その一方で、母親が自分たちに送ってくれた物資を祖母が隠していたことを知る。
いつまでも迎えに来ない母親を忘れるため、精神を鍛える訓練で母の手紙と写真を焼き、残酷さに慣れる訓練として虫や魚などの生き物を殺す。
兵士の遺体から奪った手榴弾を司祭館のストーブに投げ入れた兄弟は、女中に大火傷を負わせたことから警察に連行され、拷問を受ける。
2人を助けたのは、祖母の家の離れに住む外国人将校だった。
戦争が終わったとの噂を耳にして、祖母と一緒に収容所を見に行くが、そこには何も残っていなかった。
そして、外国語を話す軍隊がやって来る。その戦車に乗せてもらった隣の女の子は、死体になって帰ってきた。死にたいと言う女の子の母親の求めに応じて、家に火を点ける兄弟。
やがて、赤ん坊を抱いた母親が車でやって来るが、空から落ちてきた爆弾で赤ん坊とともに命を落とす。2人の遺体を埋めていた祖母が、発作を起こして倒れる。
そこへ、兵士として戦っていた父親(ウルリッヒ・マテス)が現れ、墓地に埋葬するために母の遺体を掘り起こすが、その際に赤ん坊の存在を知る。
そして祖母が亡くなる。言われた通りに祖母の遺体を清め、母親の隣に埋めた兄弟は翌朝、逮捕を逃れるために逃亡を図る父親を国境の鉄条網へと案内する。
だがそれは、2人にとって“別れ”という最後の訓練でもあった。
アゴタ・クリストフの世界的ベストセラー小説を映画化。
原作と同じく抑制された演出で描かれる過酷な状況をサバイバルする双子の兄弟の生きざま、道徳も倫理が通用しない過酷な状況、魔女のようなおばあちゃんなどのキャラクター、理不尽な状況でサバイバルするための様々な過酷な訓練のハードボイルドな描写が組合わさって、凄みのある傑作人間ドラマ映画に仕上がっています。 -
全編が重苦しくて辛辣な衝撃作。ストーリーに引き込まれるわけでもなく、映像に目を奪われるわけでもないのに、一瞬たりとも目が離せない緊張感が持続する。原作は有名だけれども未読。これを見て、次はぜひ読んでみようと思った。
辺鄙な田舎へ疎開させられた双子の兄弟が綴る、戦時下の日常日記。強くなるための訓練。負けないための訓練。求めていたものは与えられず、世界に溢れた欺瞞を目にしながら、彼らは本能的に生存していくことを選ぶ。ずっと2人で1つで生きてきた双子の彼らだったが、やがて親族が全滅した時、彼らは1つの選択をする。
双子の兄弟の飢えた目が印象的。ふてぶてしいおばあちゃんの表情が印象的。
慕ってくれていたはずの我が子に家族であることを拒絶された母親と父親の末路は、とても他人事とは思えなくて息苦しかった。 -
「悪童日記」観る。ちゃんと双子を起用している。丁寧に作られているが、原作の凄みには一歩及ばず。例えば祖母の家、庭が綺麗すぎると思う。原作は「悪童日記」「ふたりの証拠」「第三の嘘」と3部作。2,1,3の順で好きだ。大人になって完徹で読んだ本は「悪童日記」だけ。ぜひ原作を読んで!
「悪童日記」原題は"Le Grand Cahier"大きな日記。これを「悪童日記」と訳した?人に拍手を送りたい。 -
小説をきっちり把握してないのに
映画ものすごく楽しみにしてた
そして期待を裏切らなかった
今のところ今年入ってから観たものの中では
だんとつですき
続編があるなら本当に楽しみ -
大好きなアゴタ・クリストフ原作の悪童日記の映画化。これ、第二弾、第三弾があるならすごく気になる。どう映像化するのか…
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原作を読んだ印象よりもずっとずっと双子の残酷さが減っていた。性的描写もぼかされていた。
原作を読んでいるときはあまりの双子の残酷さ無敵さに、もうやめて…こいつら化け物だよ…と思いましたが、映画では時代に翻弄される可哀想な少年たちに見えた。
普通になっちゃって、ちょっと残念かな。でも、暴力的で性的描写も多い原作に寄せた映像化が難しいのはよくわかる。
この映画は全三冊の原作のうち一冊目です。続きが気になる。 -
シアターキノにて鑑賞。字幕版。
原作を2/3ほど読んだ状態で観てきました。
かなり原作に忠実に、淡々と繋がっていくエピソード。
原作感想で粗方書いてしまったので言葉はみつからない感じです。
ただ原作では痩せている設定のおばあさんをあの方が演じた点はとても素晴らしかった。 -
“双子”という存在の魅力にはじめて触れた作品の映像化、ということで期待を込めて視聴。
あの不透明な底知れなさや現実と非現実の曖昧な不気味さは薄れてしまったけど、独立した映画としては面白かったです。
日記に描かれた双子を示すイラストが、紙にインクが転写されたものだったのが個人的には一番とても印象的でした。
鏡に映った像がまったく同じではなく、左右反転した関係にあるように、彼ら双子のありかたも同じなようで実は鏡像関係であったのかな…と、ラストじんわりと思いました。