かっこうの親 もずの子ども (実業之日本社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • どこにでもいるシングルマザーの日常の話かと思いきや、智康くんの出自には驚きました。
    オフィシャルな?精子提供話は知らなかったので、そういった方法も一つの選択肢なのだと勉強になりました。

    最後も衝撃的なのですが、個人的には別れた夫、阿川の発言が忘れられません。彼の苦しみは察しますが、どうなったらあの発想になり、妻にぶつけられるのでしょうか。しかも、再婚して連れ子を育てる???はあ???意外と主人公はあっさりしてたので、わたしがおかしいのかなっていう感じです。

    何はともあれ、子どもという存在は、尊いですよね。あっというまに読み切りました。

  • 子育て中のリアルなキラキラした感情や情景がいっぱい詰まった本だった。私も二人を育ててきて、そうそうそう、この気持ちとかこの情景ぴったりはまる!と思った箇所がたくさんあった。トモが踊りを見せてくれた後に聞き間違いして言い間違いするところとか、胃腸炎で粗相しちゃった後にオムツを履きなさい!おねしょシーツもするからね!っていうぐちゃっとした感情のシーンとか超リアル。
    そんな文章の積み重ねを読んでいる中で、改めて、子どもたちの貴さを実感し、貴重な日々の時間や掛け替えのない日々のやりとりを大事に大事に過ごしていきたいなとジーンと染み込むように、心の中心が遠赤外線で温かくなるような本だった。
    セラピーを受けてスピリチュアルな経験をするとか、偶然に雑誌の写真で見たAID上の父の子に、そして偶然に巡り会えるなんていう奇跡的なことも、不思議なことにこの本ではわざとらしく感じなかった。普段の私だったら「そんな偶然あるわけないじゃん」とサーっと気持ちが引いてしらけてしまうだろう内容にも、全く違和感なく読んでいけたのは、この本に流れている、子どもへのキラキラした感情と、それに共感した私の気持ちが、違和感を感じることなく読めたんじゃないかと不思議に思う。
    ただ、最後の最後でコウタ君が死んでしまう場面、あれはあれで一つのエピソードとして親から子どもへの思いが凝縮されていて、いろんなものが詰まった部分になっていたが、でも、死んでしまう必要はなかったと思う。死なないほうがよかった。死ななくてもそれでも十分、この本は子育てのキラキラを伝えられたのに、残念だった。
    とはいえ、とてもいい本だった。

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2002年、第42回講談社児童文学新人賞を受賞した『十二歳』でデビュー。07年『しずかな日々』で第45回野間児童文芸賞、08年第23回坪田譲治文学賞、17年『明日の食卓』で第3回神奈川県本大賞、20年『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』で第69回小学館児童出版文化賞を受賞。『明日の食卓』は21年映画化。その他の著書に『消えてなくなっても』『純喫茶パオーン』『ぼくたちの答え』『さしすせその女たち』などがある。

「2021年 『つながりの蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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